協会けんぽ(旧・政府管掌健保)では、今年も被扶養者の再確認(検認)を実施するとのことで、そろそろ事業所あてに調書が届くころだ。
ところで、社会保険における「扶養」と税務上の「扶養」とは、収入要件等の違いもあるが、それ以上に、性格面で大きく異なる点がある。
それは、社会保険(中でも健康保険制度)における「被扶養者」は、保険料を全く負担せずに給付を受けられるということだ。また、厚生年金保険加入者の被扶養配偶者は、国民年金制度の「第3号被保険者」として、これも国民年金保険料を負担することなく、老齢その他の基礎年金を受ける権利を有することになる。
このため、社会保険では被扶養者の認定に関して杜撰な事をすると制度自体を揺るがしかねない事態にもなりうるので、健康保険協会や健康保険組合等は、資格取得時や被扶養者が増えた時に確認するほか、その後も定期的に、被扶養者の再確認(検認)を実施することになっている。
協会けんぽはあまりうるさくないが、多くの健康保険組合では、ここ2年ほど、特に「仕送り額」に重点を置いて調査しているとのことだ。
被扶養者とすることができるのは、基本的には「3親等内の親族」とされているが、そのうち、配偶者・子・孫・弟・妹・直系尊属(父母・祖父母など)については、同居していなくても認められる。ただし、別居している者には、その者の収入を上回る金額を被保険者から仕送りしていなければならない。
しかし、現実には、被扶養者が仕送り額を上回る収入を得ていたり、ひどいケースは全く仕送りをしていなかったり、という事例が目立つようになってきたので、それを厳しくチェックするようになったようだ。
仕送り額の調査に際しては、銀行の出入金明細や現金書留の控等、客観的に確認できる資料があればベストなのだが、『仕送り状況申立書』(組合によって名称が異なる)をもってこれに代えることを可能としている組合もある。ただし、その場合でも、次回検認時には客観的資料の提出を求めることとしているのが一般的だ。
健康保険組合でこういう動きになっていることを考えれば、現在はこれほどまで厳しい調査を実施していない健康保険協会(協会けんぽ)の加入者も、別居している被扶養者があるなら、被扶養者名義の銀行口座へ毎月一定額を振り込むようにしておくのが良いだろう。
そうするのが、一見面倒そうに思えても、結果的に手間の掛からない方法と言え、また、間違いも起こりにくいので、ぜひ推奨したい。
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