お手製の白ネルの小さい 袋の口に、 針金を縫い付けた柄を持って、 邦子は瀬戸引きの珈琲沸しからドクドクと その袋へ、ジャバとモカを半々に挽いた粉を 含んで、ドロリとしたのを注ぐと、 袋のネル地に濾されたのが、チョボチョボと 下の珈琲碗に湯気を立てて溜まってゆく。 やっと一杯になると、自分の分は後廻しにして、 牛乳入れと砂糖壺を揃えて、 卓袱台に置いたとたん、向こうの部屋から 「おい」と信也の呼ぶ声がした。 吉屋信子作 「良人の貞操」 |
昨日とは打って変わって、“朝から太陽” となりました。
やはりお天気はいいですね。
そして昨日より、ちょっぴり下がった気温も。
凛とした空気は、シャキッとした気分になります。
ただ、今日は少々風も。
北風ですから エミリー によれば、“がみがみ女” ですね。
さて私は又々、吉屋信子の本を。
一息入れる・・と言ったのは、つい昨日の事ですのに。
その舌の根も乾かぬうちに取り出したのは、「良人の貞操」。
現在でも良人の貞操って、あまり馴染みありませんものね。
妻の貞操なら分かるのですが・・。
尤も今では貞操の言葉自体も、ほとんど耳にしませんけれど。
この小説の書かれた昭和11年は、さぞかし・・
~なんて思いますと、もうたまりません。
“どんな小説・・?” と興味を持ってしまったという訳です。
でも、それにしては今日のブログタイトルと内容が一致しませんね。
“あれっ” と思われた方も多いのでは・・と思います。
失礼しました。と言いますのも今日の引用文。
実は 「良人の貞操」 の巻頭部分なのです。
何分にも感化されやすい私の事。やはりと言いますか・・
無性に珈琲を頂きたくなってしまったのです。
珈琲は出来るだけ1日1杯と決めているのですが、今日は既に2杯目。
部屋の雰囲気も昭和に近付けました。ラヂオ、扇風機と。
ひとまず小説は置いて、薔薇の雑誌を取り出したという訳です。
花だけでなく、こんな薔薇グッズの写真も見ていて飽きません。
薔薇のブローチ、イヤリング、靴。
“こんな薔薇のビーズのバッグも、いいわ・・”
イケナイ、イケナイ・・。今、一生懸命物を減らそうとしていますのに。
欲しくなってしまっては元の木阿弥ですね。