『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

濃密化

2020-10-09 06:13:00 | 生活
コロナ禍の今、
【ピンチはチャンス】
でもあり、
個人的に『死と再生』の
通過儀礼の期間と捉え
“生き直し”を実践している。

もう、人生の残り時間が
少なくなってきたので、
どうやって「濃密」に生きるか
というんで、オフ日ともなると、
ゆっくり寝て居られず、
色んなことを一日に
“幕の内弁当”のように
ギューギュー詰めにしている。




去年の夏、
松川浦の灯台で
3.11の大津波で立ち枯れになった
大木の枝を持って帰ったので、
それを利用してオリジナルの
点前台子(だいす)を拵えてみた。

作りかけのパロックギターの
作業台の空スペースで
接着作業をした。

デスク正面壁には、
パリコンの製作部門で優勝した
世界一のリューティエ(製作家)
桜井 正毅さんが来福時に
頂いた色紙と
仲間のリューティエとの
スリーショットが飾ってある。






半日乾燥させて、
晩には茶室に搬入したら、
なかなか侘びた風情が
いい景色であった。

なにせ、
あの大津波をかぶり
9年もの間、
潮風に吹かれて
枯れ切った枝なので
“味わひ”が有る
なんてもんじゃない。

同じく枯れた白竹と
互い違いに並ぶと
その対比の妙も
感じられる。

「真・行・草」の
台子の格式から言うと、
まさしく「草之草」とも言える
砕けにくだけた前衛的な
作風になった。

そういや、
3.11の翌年に
津波被害のあった松林から
枯れ枝を持ちかえり、
それをバロックギターの
ブリッジに仕立てて
売りに出したこともあった。

松川浦では
数百の人が犠牲になられたので、
その慰霊・鎮魂のための
製作をした。




古物店を巡っていたら、
作家物の備前茶碗が
690円という
信じられない値段だったので、
ほくそ笑んで買って帰った。

見ようによっては、
たしかに、これ以上ない
というほどの「カセ胡麻」が
一面に付いて、
今、泥水の中から上げたような
“汚れ”のようにも見える。





裏を返すと
高台にはちゃんと銘が彫ってある。

自然油の溶け流れた「垂れ玉」、
緋色の筋目の「火襷(ひだすき)」、
還元焼成による「桟切(さんぎり)」、
強還元状態による「青灰」、
白地部分が残る「抜け」、
真っ黒な「焦げ」、
…など等、肥前のあらゆる特徴が
一碗に結集している『超レア物』で
これこそ『ザ・ビゼン』である(笑)。

こんなのが、
千円以下で手に入るとは、
「ふたつ悪い事 さてないものよ」で、
先日の忌まわしい出来事を耐えた
神様からのご褒美なのかもしれない、
と思わざるを得ない。

なので、やっぱり、
【ピンチはチャンス】
なんだなぁ…。

午前に、
“侘びた”台子を拵えたら、
午後に、
“寂びた”茶碗を見出した。

【弟子の心構えができると
 師匠が現れる】
という格言のように、
まさに、シンクロニシティックな
現象である。

明日は、
この台子と茶碗で
お弟子さんに
お濃茶を立ててあげようと思う。





まだ、
持ち手になる裏側が
初(うぶ)感があったので、
贋作家が使う手法で、
麦茶パックと抹茶で
半日ほど土鍋で煮てみた。

こうすると、
茶渋が滲みて、
時代掛った風合いが
即席に出せるのである。

姑息な手段だが、
せっかく高価な濃茶を練るのに
真っ新(さら)のものでは
やりたくないのが
茶人の心情である。






茶道具屋さんには、
早くも、令和三年の
道具類カタログが届いていた。

室礼も季節を先取りするのが、
茶の流儀だが、
それでも、せいぜい、
ひと月ばかり早く…
というのが常法だが、
茶道界では、もう来年の干支作品が
創られているのである。






お昼は、
最近よく出かけている
庶民的な割烹で、
カツ重を頂いてきた。

古くからの老舗なので、
さすがにハズレのない
味であった。





オフ日で
夕飯当番だったので、
晩は、こないだ新潟土産の
スパークリング・ワインを開けようと
ワンプレート・フレンチにすべく
買い出しに出かけた。

プレートを設置してみたら、
偶然にも、バラで買ったものが
同じ「ノリタケ」のシリーズもので、
片やゴールド・フレーム、
片やシルバー・フレーム、
だったことに初めて気付いた。

二つ並べてみたら、
さながら、
夫婦茶碗のような
「金さん」「銀さん」だった(笑)。




『ポワレ・ド・ドラード・オー・テリーヌ』
(鯛のポワレ テリーヌ添え)
を拵えた。

鯛は塩胡椒してから
キッチンペーパーに包み
ほどよく脱水してから
焼いた時に身が縮まないように
1時間ほど室温に戻した。

ブール・クラリフィエ
(澄ましバター)
とレモンオリーヴ油で
皮目をパリリと焼き上げ、
あとは余熱で火入れした。

フードプロセッサーで
すり身にしたものは、
テリーヌ型と
ジャンボ・マッシュルームに
鋳込んで
オーヴンで火入れした。

マッシュルームから
滲み出たジュを
生クリームで伸ばし、
ブールモンテ
(バター繋ぎ)し、
仕上げにディルを加えて
ソースとした。

ドイツパンの
『ハルツ』で買った
クルミ入りバケットが
これによく合い、
新潟の「セイベル」種の
スパークリング・ワインも
ブリュット(辛口)で
ヴィアン・マリアージュだった。





ちょうど、夕飯前に、
大学ギター部後輩のTから
先日送ったCDの返礼として
東京の老舗店の
クッキーが送られてきた。

三十種ちかいクッキーが、
缶の中に隙間なく
みっちりと詰め込まれており、
その独特のパッキングに
カミさんと感心してしまった。

フレンチ・サパーの後、
コーヒーと共に
いいデセールになってくれた。

丁重なお礼状も添えられており、
Tの実意丁寧な人柄が偲ばれた。


***

夕飯後は、
茶室で、琴を弾じ、
書室で、志ん朝の
『二番煎じ』を聴きながら
行書の稽古をし、
眠くなった頃にベッドに潜ったが、
(充実して、濃密な一日だったなぁ…)
と、一日を振り返ってたら
眠りに落ちた。


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