声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

憂国

2012-09-23 00:30:47 | Diary
「日本人の右傾化」
ワシントンポストが報じた記事に
「ああ、やっぱりそう見られているのか…」
と思った人は多いのではないでしょうか?

右傾化は、この数ヶ月一番気になっていた事です。

実は山本五十六記念館を訪ねたり、
大和ミュージアムを訪ねたりする
中でふと、感じたのが最近の日本人
の思考の傾向が
開戦前の日本と段々似てきているの
ではないかという事でした。

その当時は、新聞などの媒体を利用
して、一般市民を煽ろうとする
国粋主義者たちの意図的な発言も
あったようですが、明らかに戦争
を肯定する動きが国民全体に蔓延
していました。

敗戦後は安保闘争などの学生運動は
あったものの、
「あの事件」までは、右寄りの
思想自体がクローズアップされる
事もなかったように思います。

「あの事件」とは
三島由紀夫の割腹自殺です。

私は当時、市ヶ谷の陸上自衛隊総監部
のバルコニーに立って演説する三島由紀夫
の様子をTVで観ていました。
楯の会という団体の存在も、その時
初めて知りました。

三島文学に親しみ、三島という
作家に憧れていた中学生の私にとって
偉大な作家の起こした事件は
とても不可解で哀しい出来事で
それ以降も、ずっと私の心の中で
尾を引いていたように思います。

事件から8年後の昭和53年に
陸上自衛隊に入隊した際、当時の
事を知るN元陸将から、
三島事件で刀傷を受けた友人がいるとの話を聞き、
自衛官達にとっても一般世間以上にショッキング
な出来事であった事を改めて感じ
ました。

自衛隊と右翼は思想的に近いイメージ
がありますが、実はそれは大いなる
誤解です。

私が在籍中にも月に一度回って来る
駐屯地正門での守衛勤務では頻発に
「右翼を警戒せよ」との通達が
出ていたのを思い出します。

あれから30年、私がいた頃とは
自衛官の意識も随分変わって来てい
るように思います。
PKOや紛争国への海外派遣などで
危機感から退職する自衛官もいる
ようです。

四十数年前、三島由紀夫が訴えた
憲法改正論は
平和ボケした自衛隊を糺すという
目的と自衛隊自体の存在価値を問う
ものでしたが、それらは否定され
曖昧にされ、今日に至っています。

そんな中で出て来た尖閣や竹島の
問題…。
一気に吹き出した領土問題に
専守防衛さえもが揺れています。

初めて「NO」と言ったからといって
即、右傾化と決めつけるのはどうか
と思いますが、傾きつつあるだけで
これ以上エスカレートしないよう
祈るばかりです。

とは言え、日本人は思慮深い国民
ですから、武装する事で威嚇しても
解決しない事は誰もが知っています。

必ず、近いうちに平和裏に解決できる
…そう信じたいのです。



清水由美 





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