昨日は予報どおり、
午後から雨が降り出してきた。
渋滞を予想して、
早めに家を出て国道17号を走っている途中、
信号待ちをしていると
ダッシュボードの上に何かがいるのに気づいた。
みれば体長1.5cmの小さなスイッチョン?だ。
どうやら、家の庭でウッカリ乗せてしまったらしい…
1時間半かかる道のりを、ゆっくり走るのには邪魔にならないだろうと思いながら
なるべく視界に入ってきて邪魔をしないでほしいと願いつつ、
目的地に着く頃には、
その存在さえも、すっかり忘れていた。
仕事を終えた夕方5時すぎ、
小腹が空いてコンビニに立ち寄って車に帰って来ると、
ダッシュボードの上に乗ってコミカルな動きをしているヤツが、目の前にいるのに気づいた。
( あぁ、まだいたのか…)
家の庭で乗せてしまったのだから、連れて帰らなきゃいけない…
そうは思っても、
狭い車内でピョンピョン飛び回られるのはうっとうしい。
だいいち、外は大雨だ。
それでなくても運転に慎重にならなければいけないのに…
ヤツは運転中の集中力を著しく妨げる。
ジッとしているのは、ごくわずかな時間だけで
フロントガラスに飛び移ったり、
時にはハンドルにしがみついたり…あっという間に飛び移る姿は、
まるでタイムループしてるかのような速さだ。
その動きに感心しつつも、
( 目の前をウロウロするなよ!)
と文句を言いながら、
容赦なく視界に入ってくるヤツを、うっかり手で払いのけて潰さないよう慎重に運転し、
2時間近くかけて、ようやく帰り着いた時には、
すでに雨も上がっていた。
( さぁ、着いたよ!降りて!! )
と、声をかけたところで
どうせ、ヤツにはわけがわからないだろう…
さてと、どうやって降ろすか。
フロントガラスに止まっているヤツを、
小さなメモ帳の端で、そっとチョンチョン突つくと、
すぐにピョンと、どこかに飛び跳ねた。
探せば、運転席の足元…
ドアを開けて、もう一度、紙切れで突つくと
今度は、タイミングよく外に飛び出した。
いずれも目で追えない素早さだ。
どこにいるのかと目を凝らして見れば
車から50cmほど右後ろの
雨で濡れたコンクリート敷きの地面でキョトンとして、
いったい何が起きたのだろうと呆然としているようにも見える。
これも何かの縁だったのかしら…
考えてみれば、
こんな小さな虫にとっては
車内という異次元の中で、半日も過ごしたことになる。
これからのヤツの無事を祈りつつ…。
気になれど 誰とは訊かず 送り盆