出張から帰って来る新幹線の中で、
ここ2日間の自分の行動を振り返ってみた。
運がよかった…と心底思った。
磯子駅に降りてからも改札口でのバッグの返却手続きはスムーズで、あっという間だった。
本当は見つけて届けてくれた人に御礼をしなくてはいけないのだが、
「権利を放棄されていますので」と駅員さん。
「まず、中に入っていた物を教えてもらえますか?」と質問され、
財布の中身を思い出しながら答えるのは、
遺失物届けを出しだ交番と同じだが、
数時間前、重い気持ちで答えたのが嘘のように自然に声が弾んでいた。
キャッシュカードやクレジットカードは、
自分で把握できていたが、
財布には予想外の物も入っていた。
最後に
「外国のお金が入っていますか?」
と訊かれた時に、
「あぁ…そういえば、入っています」
と答えたが、
2、3枚のシンガポールドルが持ち主を特定する決め手となったようだ。
それに加えて、顔写真入りパスポートのコピーまで入れていた事がわかった。
これにはゾッとした…
(犯罪組織か何かに拾われていたとしたら…)
偽装パスポートを作る格好の材料だ。
7年前のメガネを外した顔は、当然今より若いが、
ごくごく平均的な、アジア系中年女性の顔で特徴がない。
そのコピーが入っていた仕切りの隅の方に明治神宮の小さな御守りが入っていた。
(これが護ってくれたのかも…)
見ず知らずの人に拾われて、無事に帰って来たバッグと財布の中身を思い出しながら、
これからの事を考えた。
また、どこかで同じ失敗をやってしまう可能性はないか…?
と。
その日の夕方、帰宅後に
見つかったキャッシュカードの
《発見届け》をネットバンキングで手続きした。
地銀のカードは、来週月曜日でないと使用はできないとの事だったが、
メガバンクのは、手続き後すぐに使えるとの事だった。
この際、ゆうちょは通帳だけ残してキャッシュカード不要にしようか…。
問題はクレカだ。
再発行すべきか、それとも思い切って減らすか…
管理できないなら減らすべきだろう。
これを機にカード類を思い切って減らす。
これは、終活の必須項目だ。