浅草の三社祭の影響か
今日の京成上野周辺は、
大きなキャリーバッグを手にした外国人観光客でごった返していた。
駅構内から出たところの路上には
似顔絵描きや占い師に混じって
菅笠を被って薄茶色の袈裟を着た托鉢のお坊さんが一人佇んでいる…
まるで、そこだけが
いかにも昭和の風景を回想するシーンによくありがちな、
編集された動画のように紗がかかって見えていた。
その前を、
先ほど改札口から出てきたらしい甲高い広東語だか北京語だかの女性観光客たちが会話しながら慌ただしく横切っていく。
JR不忍口へ急いでいるのだろう、スクランブルの信号が変わるか変わらないかのうちに
ガラガラと土産物で膨らんだ大きなキャリーバッグを引きずりながら、
次から次へと列をなしてセカセカと通り過ぎた。
その列を逆行する私は、
何度も彼女たちのバッグとぶつかりそうになりながら間を縫うように京成上野駅に急いだ。
数人と接触しそうになる度に、
「ごめんなさい!」
と言っている私の声が届かないのか、
何の反応もなく通り過ぎて行く人ばかりなのに軽い違和感を持ちながら、
( あぁ、そうだった…この人たちには人とぶつかっても謝る習慣がないんだ)
と納得しつつ、
ようやく息子との待ち合わせ場所である京成上野駅に10分遅れで到着したが、
息子の姿が見つからない…。
電話すると、パン屋の前だと言う。
駅構内にパン屋があるのか?それとも外なのか?
息子の話は、いつも説明不足だ。
パン屋は反対側の構内出口付近にあった。
薄グレーのニットシャツに濃いグレーのデニムジャケットを着た息子が
壁に寄りかかって所在無さげに、ぼさっと立っていた。
長男と会うのは、今年の正月以来だから5カ月ぶりだ。
「お待たせ」
小走りで近づく私に黙って頷く息子。
あまり表情を顔に出さないのは相変わらずだ。
上野から京成電車で約15分、
青砥駅に着くと、
上野の雑踏とは全く違う、
いかにもベッドタウン風の街並みが広がっていた。
目的の“かつしかシンフォニーヒルズ”まで、静かな街並みをゆっくり歩く…
車道側を歩いていた長男が、
「こういう所の方がオレは好きだなぁ」
とぼそっとひと言…。
「そろそろ都会の生活が辛くなったんじゃない?」
と、ふと思いつきで言ってみる。
「毎日、電車に乗って通勤するのが苦痛なんだよなぁ」
という息子に、
「高崎からだと新幹線通勤で1時間だよ」
と、ついでに言ってみる。
「いや、電車に1時間乗るのなら変わらないし、まだ当分、今のところでもイイや」
確かに…。
そういえば朝ドラで、
草刈正雄が「いつでも帰ってこい」と言っていたなぁ…。
帰る場所があるのはありがたい事には違いないだろうが、
実際のところ、
住むところはあっても仕事するには不便だろう…
「1番年長の人は何歳?」と聞くと
「55くらいかなぁ…」と答えた。
息子の勤める会社は平均年齢30代と、若い人が多い。
実力が認められてフリーになって活躍する人も多いと言う。
日本中どこに住んでいても仕事ができればいいのに…と、
この頃は特に思う。
それまでは、
「いつでも帰ってきてね」
なんて言葉は、なかなか言い出せない…。
今日の京成上野周辺は、
大きなキャリーバッグを手にした外国人観光客でごった返していた。
駅構内から出たところの路上には
似顔絵描きや占い師に混じって
菅笠を被って薄茶色の袈裟を着た托鉢のお坊さんが一人佇んでいる…
まるで、そこだけが
いかにも昭和の風景を回想するシーンによくありがちな、
編集された動画のように紗がかかって見えていた。
その前を、
先ほど改札口から出てきたらしい甲高い広東語だか北京語だかの女性観光客たちが会話しながら慌ただしく横切っていく。
JR不忍口へ急いでいるのだろう、スクランブルの信号が変わるか変わらないかのうちに
ガラガラと土産物で膨らんだ大きなキャリーバッグを引きずりながら、
次から次へと列をなしてセカセカと通り過ぎた。
その列を逆行する私は、
何度も彼女たちのバッグとぶつかりそうになりながら間を縫うように京成上野駅に急いだ。
数人と接触しそうになる度に、
「ごめんなさい!」
と言っている私の声が届かないのか、
何の反応もなく通り過ぎて行く人ばかりなのに軽い違和感を持ちながら、
( あぁ、そうだった…この人たちには人とぶつかっても謝る習慣がないんだ)
と納得しつつ、
ようやく息子との待ち合わせ場所である京成上野駅に10分遅れで到着したが、
息子の姿が見つからない…。
電話すると、パン屋の前だと言う。
駅構内にパン屋があるのか?それとも外なのか?
息子の話は、いつも説明不足だ。
パン屋は反対側の構内出口付近にあった。
薄グレーのニットシャツに濃いグレーのデニムジャケットを着た息子が
壁に寄りかかって所在無さげに、ぼさっと立っていた。
長男と会うのは、今年の正月以来だから5カ月ぶりだ。
「お待たせ」
小走りで近づく私に黙って頷く息子。
あまり表情を顔に出さないのは相変わらずだ。
上野から京成電車で約15分、
青砥駅に着くと、
上野の雑踏とは全く違う、
いかにもベッドタウン風の街並みが広がっていた。
目的の“かつしかシンフォニーヒルズ”まで、静かな街並みをゆっくり歩く…
車道側を歩いていた長男が、
「こういう所の方がオレは好きだなぁ」
とぼそっとひと言…。
「そろそろ都会の生活が辛くなったんじゃない?」
と、ふと思いつきで言ってみる。
「毎日、電車に乗って通勤するのが苦痛なんだよなぁ」
という息子に、
「高崎からだと新幹線通勤で1時間だよ」
と、ついでに言ってみる。
「いや、電車に1時間乗るのなら変わらないし、まだ当分、今のところでもイイや」
確かに…。
そういえば朝ドラで、
草刈正雄が「いつでも帰ってこい」と言っていたなぁ…。
帰る場所があるのはありがたい事には違いないだろうが、
実際のところ、
住むところはあっても仕事するには不便だろう…
「1番年長の人は何歳?」と聞くと
「55くらいかなぁ…」と答えた。
息子の勤める会社は平均年齢30代と、若い人が多い。
実力が認められてフリーになって活躍する人も多いと言う。
日本中どこに住んでいても仕事ができればいいのに…と、
この頃は特に思う。
それまでは、
「いつでも帰ってきてね」
なんて言葉は、なかなか言い出せない…。