クリスマスが来るたびにワクワクした。
プレゼントを貰うことが楽しみだったというより、
ツリーを飾り付けする時が一番愉しかった。
ある年のクリスマスに、
父が本物のモミの木を、どこからか貰ってきて
それが大き過ぎて家に入らず、
仕方なく庭に飾って家の中からコードを引っ張り、
電飾をつけた瞬間の光景が目に焼き付いている。
クリスマスの定番料理は、
父が趣味のハンティングで獲ってきたキジの丸焼き。
厚い鉄釜にバターを溶かし、
そこに下ごしらえをしてハーブなどを挟んだキジを丸ごと、
時間をかけて蒸し焼きにしたのを
家族で切り分けて、
塩こしょうとマヨネーズをつけて食べる。
クリスマスは子供の頃から毎年必ず家族と旅行し、伊香保温泉の料亭旅館で過ごしていたという夫に
唯一自慢できるのは、
子供の頃から食べていたキジの丸焼きだ。
我が家は当時、普通のサラリーマン家庭だったが、
釣りやハンティングなど父の趣味のおかげで
新鮮な魚や鳥獣を料理したものが、
日常的に食卓に並ぶのを当たり前のように食べていた。
最近、めっきり食が細くなった私に
夫は
「子供の頃に食べていた物を食べると良いそうだよ」
というが、
あの新鮮な魚類やキジ、ヤマドリなどは
もう二度と食べられない…
想い出の中の味なのだ。
メリークリスマス!