朝6時20分、
前夜の月が西の空にぽっかりと浮かんでいた。
今日、12月17日は郷里の従弟の命日…
最後に会ったのは3年前の9月24日の実妹の長男の結婚式で、
それから3ヵ月もしないうちに呆気なく逝ってしまった。
今日でまる2年、
本来なら三回忌だけれど、遠く離れているのを遠慮してか、
郷里からは何も連絡が来ない…
こうやって、親戚同士も疎遠になっていくのだ。
(−_−;)
郷里で暮らす数少ない親戚の中で一番年長の従姉などは、
「いちいち車で送迎するのが手間だから声もかけてくれないのかも…」
と、訝る。
81になる従姉は、
5人兄弟の末っ子だった私の実母より、16才年上の長兄の娘である。
従姉の母親は戦争で夫を亡くし、
忘れ形見のひとり娘だった従姉を置いて実家に帰されたらしい…
祖母の性格からすれば、
女が1人で幼児を連れて生きていくのは大変だから…との気遣いに加えて、
長男の血を継ぐ人間を自分のそばに置いておきたいという思いもあったのだろうと察する。
その従姉と私は1つ屋根の下で本当の姉妹のように育てられた。
このところ頻繁に従姉から電話がかかってくるのは、
彼女がすでに独居であることに加えて
老犬介護の真っ最中だからである。
従姉の唯一の家族である11才の雑種のナツは、
耳に悪性腫瘍ができていて獣医からは、
「これ以上、処置の仕様がない」と言われたらしい。
電話口で泣きながら電話してきた従姉だったが、
最近は落ち着きを取り戻し、
「考えてみれば私だって、どうなるかわからないんだもの…ナツが先に逝ってくれたほうが安心よね」
と話す。
そんな従姉を思いながら、
私は今再放送している《カムカムエヴリバディ》を、初めてきちんと観ている。
実は、リアルタイムで放送されている時は辛くて途中で観るのをやめてしまった。
その原因が、主人公の安子の娘ルイと従姉の境遇がよく似ているから…
あの時代は同じような戦争未亡人や戦争遺児が日本中に数え切れないほどいた事だろう…
そんな話を夫にすると、
「そうか…確かに初期の話は重いよなぁ」
という。
「だけど、あのカトウトキコが出る辺りは面白いぞ」
「はぁ?…カトウトキコ?」
「うん、あの歌のうまい人…岡山市内の商店街を走った人」
「それ違うんじゃない?」
2人で考えたが、名前が出て来ない。
「ザワワ、ザワワって歌った人だよね?」
「涙そうそう…を作った人でしょ?」
ここまで出ているのに名前が出て来ない。
ダメだ…
いよいよ怪しくなった。
(−_−;)