この頃の私は公開時に見逃して
ずっと後になって観る…の繰り返しだ。
(なぜ、あの時に行かなかったんだろう…)
と考えてみると、
実父の認知症が始まり、
施設に入る入らないでゴタゴタしていた時だったか…?
それとも、
県外出張が多い時期でタイミングを逃したか…?
このblogで4、5年前を振り返ると
どうやら、その両方だったようだ。
小栗監督とは、
地元ご出身という事もあって、
私も夫も、公私でお付き合いする機会があった。
私の場合は仕事で、
夫の場合はプライベート…
なので、
監督は、私達が夫婦だとは気づいていないはずだ。
プライベートでしか会ったことのない夫の話しでは、気取ったところがなく気さくな方だったとの事だったが、
私の知る監督は、
シンポジウムなどで聴衆と激論を交わすなど、たまに熱くなる時もあって、MCの私は、どうやってこの場を収めようかとハラハラした事もあった…。
この《FOUJITA》は、
監督にとって前作の『埋もれ木』以来、実に10年ぶりの映画だが、
やはり、映像の美しさが際立つ作品だ。
直前に全くタイプの異なる『コンフィデンスマン』を観たせいか…
冒頭でフジタのアトリエの風景が映された瞬間に、ハッとした。
(これは“絵”かしら?)
それに続く煙突の並ぶ街の俯瞰や、
黒いクラシックカーが通る街角の風景なども、
切りとって、そのまま額に入れて飾りたくなる…
ため息が出てくるような美しさだ。
前半の1時間はパリの生活、
後半の1時間は帰国後の日本…
まさに、明と暗…
対照的な映像だった。
エコール・ド・パリの画家フジタは
帰国後、戦争画家となり《アッツ島玉砕》を描く…。
見終わった後で、余韻に浸りながら、
エコール・ド・パリの詩人アポリネールの
《ミラボー橋》を聴いている。
レオナール・フジタの絵といえば人物画を思い浮かべる人が多いけれど、
私が一番好きなのは、
《ホテル・エドガー・キネ》
パリの下街を描いた風景画だ。
写真は、以前、新国立美術館で開催されていた《貴婦人と一角獣》展で購入した絵葉書。
《FOUJITA》でも出てくるが、
実物はとても大きく、
タピスリーの精密さに圧倒されたことを思い出した。
今日は原爆忌。