外山滋比古さんが亡くなった。
96歳と言えば、長寿のほうだとは思うが、
もう新刊が出なくなるのか…と思うと、
淋しい…。
私も読者の1人で、先生のファンでもあった。
最初に読んだのは、
出張先の駅のコンコースにある本屋で偶然、手にとった《思考の整理学》だったが、
それ以降も、
特徴的でインパクトのあるお名前を見つけては読み漁った。
著書の中の何をどれだけ覚えているか、というと忘れっぽい私には些か覚束ないが
一番印象に残っているのは、
ある著書の中にあった、一時期、問題視された『よろしかったでしょうか?』
という言葉遣いについての行だ。
否定するどころか、
《過去形にしているのは遠回しに気遣っているわけだから目くじら立てて否定するほどの事ではない…》
と、
やや肯定的に述べておられた事だ。
言葉癖や若者言葉を、
「パブリックスピーキングや接客マナーの場面では使わないようにしましょう」
と、
口を酸っぱくして企業研修や新人スタッフ研修で言い続けてきた私には、
眼から鱗だった…。
( そういう見方もあったのか…)
と、
言語学者でもある先生の言葉に対する柔軟さと知見の深さに感銘を受け、
表面上の判断しかできなかった自分の浅はかさを反省した。
それらの著書は、
私のような者にでも、わかりやすく軽妙なタッチで書かれた文体が多く、
とても読みやすくて
毎回新しい学びがあった。
本当に勉強させてもらった。
これからも私は、
外山滋比古という名前にときめきながら、
読み続けることだろう…
外山先生、
ありがとうございました。