この土日で500頁を一気読みした。
映画の公開時に予告編を観ながら、
( いやいや、先ずは原作を読んでからだな…)
と、思っていた。
話題作だということは知っていたが、
原作を読み進めるうちに、ぐいぐいと引き込まれていった。
誰もが思うように、
ここに描かれた音楽の世界観をどう映像化するのだろう…
と考えた。
と、同時に
私の頭の中には終始“あるシーン”が浮かんでいた。
以前、読んだ中村紘子さんの
『チャイコフスキー・コンクール』
…だ。
シーンとは言っても実際に見たわけではなく、
そこに描かれていたエピソードを
私が勝手に想像しただけだが、
著者・中村紘子さんの視点と
この『蜜蜂と遠雷』に登場する
審査員・ピアニストの視点が重なった。
映画『蜜蜂と遠雷』は、
“音楽の使い方が素晴らしい”
という評論家?らしい人の記事も読んだ。
コンクールで演奏される曲は
誰でもが知っているショパンのバラード1番やバッハの平均律、
サティやラフマニノフ…
バルトークやプロコフィエフと
バラエティに富んでいる。
小説では、これらの曲に
恩田陸さんの作家独自の創造力と豊かな感性によって
壮大で複雑なストーリーが付け加えられている。
“音楽は、こういう風にして表現し、聴くものよ”
と言われている様で、
これまで何も考えずに聴いていた私は、
自分が如何に凡人であるかに気づかされ、
イマジネーションの無さに落胆しつつも、
( でも、何も考えずにボーッとして聴くのもいいんじゃない?)
…と、開き直る。
恩田陸さんも
『映像化は絶対にムリだと思っていた』
と言っていだが、
小説のままを映画化しているわけではないだろう…
ピアニストが演じるわけじゃないし。
『マディソン郡の橋』のような原作を超える映画もあるが、
この恩田陸さんの原作を超えるのは、
どう考えても無理だと思う…。
映画では登場人物の1人、
高島明石の役を松坂桃李さんが演じている。
小説の中でも重要な役どころで、演技力が要求される登場人物だ。
もう一つ、
どうしても気になっていることがある…
天才少年、風間塵のイメージだ。
小説の中の彼は、言動がとても幼い…
そのせいで、
私の頭の中で描いた彼の姿は子どもで“声”はボーイソプラノだ。
(ー ー;)
コレは大きな誤解だ。
16歳といえば、とっくに声変わりしているし…そんなわけないじゃないか!
と打ち消してはみたものの、
最後まで、
私の頭に浮かぶ風間塵のイメージは、
16歳ではなく、12歳くらいの男の子だった…。
一度描いたイメージを打ち消すのは容易じゃないのだ。
原作と映画のイメージのギャップは大きいかもしれない。
それはそれで面白いと思うが、
映画では、どんな役者さんが風間塵を演じているのだろう…。
映画を観た方、
どうでしたか?