町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

東西線初の量産型VVVF編成、05系6・7次車

2023年02月19日 | 首都圏の地下鉄

1988年より営団地下鉄(東京メトロ)東西線の主力として増備が続いた05系は、4次車の最終増備分からドア幅を拡大したワイドドア仕様になり外観に大きな変化が生じましたが、67次車である1924編成では再び通常の1300mm扉に戻されました。しかし6次車では千代田線の06系・有楽町線(当時)07系同様に座席配置が4-6-7-6-4人掛けになり、窓割が不均等になった他、電動車がユニットを組まない1M方式に変更されました。メカニズム面ではIGBT素子を用いたVVVFインバーター制御装置を本格採用するなど先頭部形状は在来の編成と同一の形態ながら中身は別物と言える仕様になりました。2018年からはB修繕工事が開始されています。

6次車に当たる0521編成。67次車の中では一番最初にB修繕が20189月〜20194月に掛けて施行され、運用復帰は73日のことでした。工事内容は主電動機のPMSM(永久磁石同期電動機)化とそれに対応するVVVFインバーター制御装置への更新、外観の帯色配置変更、先頭車へのスカート新設、行先表示のフルカラーLEDへの換装、灯火類のLED化など非常に多岐に渡ります。更新後は千代田線向けの16000系に近い性能になり、制御装置が発する磁励音も同一となりました。

行先表示には直通先の路線名を表示するようになりました。外観の印象がかなり変化し、最新世代の走行機器で固められる一方で、屋根状の集電装置はシングルアーム化されず旧来の菱形を継続使用しているのが面白いところです。

修繕により白系の化粧板に更新され明るさが増した車内。バリアフリー対応の為、車椅子・ベビーカー利用者の為のフリースペース新設や袖仕切り大型化、更にドア上のLED表示の液晶画面化で令和世代の車両と比較しても遜色ない設備になりました。しかし座席が片持ち式ではなく蹴込板が存在する構造のままなど、時代を感じる部分も見受けられます。

ドア上の液晶画面は、もうすっかり首都圏で御馴染みの扉開閉表示灯を備えた17インチ画面の三菱電機セサミクロを採用し情報量が格段に向上しました。セキリュティ面から防犯カメラも併設されています。

現在はアルミリサイクルカーの24編成が未だ修繕を受けていないのが少々気になりますが、しばらくの間は安定した活躍を見せることと思います。

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相模鉄道への進出叶わず…都営6300形3次車

2022年12月15日 | 首都圏の地下鉄

都営地下鉄の三田線は、長らくJR田町駅に程近い東京都港区の三田を起点に、超巨大団地で知られる板橋区の高島平方面へ向かう路線で直流1500V・架線集電方式に20m車体の4扉車が運用される路線ながら起点・終点のどちらからも他社への直通運転を行わない単独の路線でした。一番最初に開通した区間は都営6号線として巣鴨~志村間(現在の高島平)間で、その先の西高島平までは東武鉄道の高島平線として計画されており埼玉県の大和町(現在の和光市)まで建設の上、東上線と直通運転を実施、都心側も現在の浅草線の西馬込方面へ延伸し東急大井町線・田園都市線方面へ直通する予定でした。このような経緯から三田線は先述の規格で建設されましたが、1965年に突然東急が直通運転の計画を銀座線(後年半蔵門線に変更)に改め中止を申し入れ、さらに東武鉄道も有楽町線との直通に舵を切り、三田線と東武東上線・東急田園都市線との計画は実現しませんでした。しかし1968年に再度延伸が計画され、1985年には最終的に路線を目黒までとし、東急目蒲線(現在の目黒線)との直通が決定的になり現在に至ります。

散々振り回された感がある三田線の計画ですが、路線は変更になったものの当初の東急乗り入れは2000年9月26日より開始され、直通開始直前の8月10日には全区間でATOによるワンマン運転とホームドアの使用が開始されています。これらに対応するべく、初代車両の6000形の置き換え用として2000年6月から大量に増備されたのが写真の6300形3次車で、VVVF制御の半導体素子をGTOサイリスタからIPMに変更し、導入コストを下げるために一部の設備を簡素化しているため初期車両とは様々な相違点が生まれています。

目黒線に乗り入れて複々線区間を行く6300形。製造当初より8両編成化が想定されている設計で、車両番号も56号車が欠番になる方式でしたが、残念ながら本形式については登場以来の6両編成のままの運用に留まり、12次車は廃車、3次車も新横浜までの運用となり相鉄線への乗り入れは行わないことになりました。

車内設備は初期車を踏襲する部分も多いですが、座席配置はすべてロングシートとし車端部に設置されていたボックスシートは廃止されました。また化粧板仕上げのドアはステンレスのメーカー標準品を使用しているものの写真でも判るように都営地下鉄独特の四角形の手掛けは何故か採用されているのが面白い点です。

車内案内表示器はLED2段式のスクロールタイプです。東急や東京メトロではLEDからLCD(液晶画面)への換装が進行していますが、こちらはそのままの状態を保っています。

残念ながら8両化が達成出来ず置き換えとなってしまった6300形ですが、残る3次車もいつまで活躍出来るか注目ですね。

※2018年の記事を加筆・修正

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通勤ラッシュ対策の切り札ワイドドア車・東京メトロ東西線15000系

2022年12月03日 | 首都圏の地下鉄

都内屈指の混雑路線である東京メトロ東西線では朝の通勤時間帯の列車の遅延が問題になっており、輸送改善が課題になっていました。従来の051418編成で混雑対策の為に扉の幅を1.8メートルとしたワイドドア車を導入していましたが再度ワイドドア車の増備を行うことになり、当初は0514次車として計画されていましたが有楽町線・副都心線向け10000系で採用された設計を取り入れ新たに15000系として登場しました。2009年末から導入され営業運転は2010517日から開始していますが、05系ワイドドア車は19911992年の増備だった為、18年振りのワイドドア車となりました。

車体は0513次車同様、アルミ合金製ですが車体強度の向上や廃車時のリサイクルを考慮した単一合金化など更なる改善が加えられています。側面の窓・扉の配置は05系ワイドドア車に類似していますが、先頭車の乗務員室直後のドアも含めて1.8メートル(05系ではこの部分のみ1.3メートル)としており、先頭車の全長が52センチ長くなりました。本形式のフルカラーLEDによる行先表示は東京メトロ初採用となっています。

2017年までに10両編成13本の130両が製造され、代替で05系の内初期に製造され高周波分巻チョッパ制御を採用していた14次車が置き換えになり、01030613編成4本は3両編成化(余剰中間車は廃車)の上で千代田線の北綾瀬支線に転用、その他の編成はインドネシアへ譲渡されるなど大きな動きが発生しています。

車内設備も0513次車がベースですが、配色が大幅に変更されライトグレーの化粧板に妻面壁を木目調、座席は濃いブルーのモケットになりました。近年の車両では珍しく戸袋窓が復活しており採光性も向上しています。

車内案内表示装置は10000系で実績のある液晶画面ですが、画面サイズを17インチに拡大したものが全ドア上に設置されました。中野方先頭車(CT215000)に送受信装置が搭載されており、拠点駅では高速無線通信を使用し広告映像の自動更新を行っています。

ホームドアの普及で扉が適合しなくなったり想定した以上の混雑緩和が見込めないなどの理由から姿を消して行くワイドドアの車両ですが、東西線では最混雑時間帯の運用で本来の役割を発揮しており、ホームドアもそれに対応するものが設置されています。現在は新型コロナウイルスの影響で旅客が減少傾向ですが、通勤通学輸送では依然として需要の高い首都圏ならではの車両として今後も長く活躍しそうですね。

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車体設計変更でスタイリッシュにイメージ一新、東京メトロ東西線05系(8〜10次車)

2022年11月03日 | 首都圏の地下鉄

1988年から営団地下鉄東西線の輸送力増強と5000系置き換えの為に登場した05系は、同時期に導入計画が進められていた03系をベースに開発され、様々な仕様変更を繰り返しながら増備されました。5000系非冷房車が全廃された1994年度で一旦増備は終了しますが、5年後の1999年からは正面スタイルや走行機器を大幅に変更した8次車が登場し、別形式のような装いになりました。1999年から2001年まで増備されたグループは、新デザインの正面に0607系からの流れである4-6-7-6-4人掛けの座席配置を引き継いでおり不均等な窓割りを有する特徴的なグループです。

増備再開まで時間が空いたことから新形式のように外観を一新した05810次車。1999年に初登場し、スピード感をコンセプトに縦曲線主体の構成になり、斜め配置されたことで吊り上がった目のようにも見えるライトケースが印象的です。帯の色も紺に近い青と濃いめの水色にした他、営団地下鉄時代は誤乗防止対策で東西線の車両であることを主張する為、大きな「S」のシンボルを乗務員室扉後部に貼り付け、側窓上のマークもサイズを拡大したものを取り付けていました。登場から長らく各停運用時は行先のみの表示でしたが、近年には種別表示も行うように修正されています。写真の28編成は9次車で、WS-ATCは5000系の廃車発生品を搭載しています。

中央線の緩行線を走行中の10次車に当たる32編成。行先表示が近年になりフルカラーLEDに換装されました。8次車からVVVFインバーター制御装置がIPM2レベルの三菱電機製MAP-214-15V83形を搭載していましたが、10次車(3133編成3)は日立製作所のVFI-HR2420D形に変更され筐体の外観が異なります。表示器がフルカラーLED化されたこともあり、近年の新造車と比較しても見劣りしませんが屋根上の菱形パンタグラフが登場した時代を感じさせる部分です。この後の11次車は半蔵門線の08系の設計を反映させるようになり、正面形状は踏襲されながらも車体や機器が再び変化しました。

片持ち式座席と大型袖仕切りで、それまでの05系とは全く異なる雰囲気になった車内。座席のクッションはやや硬めで、モケットも無地の赤系(優先席部は青系)になりました。座席が片持ち式化された事に伴い、非常用ドアコックがドア上右側に設置されています。

車内案内表示器は当初LED1段表示タイプを搭載しており、直通運転を行うJR東日本中央総武緩行線・東葉高速線にも対応していましたが、17インチ液晶画面に換装されドアチャイムも営団タイプからJR東日本で使用されている標準タイプに変化しました。

今のところ、B修などは受けていない05810次車ですが、ホームドアにも支障が無く接客設備も現代の水準を満たしているのでこれからも主力車としての運用が続くでしょう。営団地下鉄時代の面影を残す形式として、末永く活躍して欲しいものです。

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シンプルデザインの快適移動空間、都営三田線6500形

2022年09月01日 | 首都圏の地下鉄

来る東急新横浜線開通に伴い東急目黒線では車両の8両化を推し進めており、東急では30005080系への新造中間車増結と新形式3020系導入、東京メトロ南北線は90002次車以降に中間車増結、埼玉高速鉄道は保安装置改造のみと対応が分かれていますが、都営三田線では600012次車を新形式6500形で代替廃車し8両化を進める事になりました。実に22年振りとなる三田線向け新形式車両ですが、浅草線・新宿線では総合車両製作所製のステンレス車を導入する一方で三田線向け6500形は近畿車輛によるアルミ車体となっています。

車体デザインのコンセプトは、「スマート+コンフォート」を掲げており都市の一部としての存在感を表現する為、シンプルな箱型にしていると公式で触れられていますが、灯火類以外は殆ど目立たない平らな正面スタイルは話題を呼びました。6300形では帯色が青と細い赤帯の2色でしたが、本形式では明るめの青を窓周りに配しています。

6500形は2022年度中に8両編成13本の導入が発表されており、東急新横浜線開通後は新横浜までの直通が確実視されています。しかし、現時点では新横浜線開通と同時に開始される相模鉄道との直通運転に対応する機器が搭載されておらず、当面は東急車両のみが相鉄への直通を担う事になりそうです。しかし将来的に詳細なダイヤが決定すれば直通対応化も検討することが示唆されている為、いずれは相鉄線内まで遠征する姿が見られるようになるかも知れません。

ラインカラーの青を基調に清潔感を演出した車内。袖仕切りや荷棚、妻面貫通扉にガラスを多用して開放感を持たせているのは近年の標準的なスタイルですが、ドアの手掛けは一時期の都営地下鉄車両特有だった四角形の形態が復活しているのが面白い点です。

車内案内表示は訪日外国人を始めとした観光客の利用が増加していることから、動画広告+左右一体型の旅客案内用の3画面として、情報量を大幅に充実させました。開閉時のドアチャイムは標準的な3打点タイプです。

2023年度の新横浜線開通後の時点では、新横浜までの運用に留まる6500形ですが、東京メトロ9000系と共に相鉄線への早期進出を期待したいですね。

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