町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

京急最後の白い細帯を纏う1500形・VVVF編成も置き換え開始へ

2023年02月05日 | 京浜急行電鉄

2019年3月、標準塗装で最後まで残存していた800形827編成が運用離脱し、長年標準塗装だった赤い車体に白の細帯を纏う塗装は1500形のみとなってしまいました。同時に京急最古参車両となり、2021年には新1000形による置き換えも正式発表され普通鋼製車体・界磁チョッパ制御の4両編成から廃車が始まりましたが、2023年度からは14両の廃車計画(6両編成1本・4両編成2本と思われます)が明らかになっており、VVVFインバーター制御編成の置き換えも開始されることになりました。

エアポート急行で運用中の1500形アルミ車(駅名改称前に撮影)。6両編成は現在全編成がVVVFインバータ制御ですが、元々は界磁チョッパ制御の8両・4両の編成として製造されたものが2代目1000形の導入開始で不足していた6両編成に組み替えられることになり登場しました。全電動車編成と4M2T編成の2種類の組成がありましたが、性能向上の為に2006年からIGBT素子を用いたVVVFインバーター制御に改造され、現在に至ります。その後1600番台の電動車を1500番台に改番を実施した為、非常に複雑な組み替え工事になりました。写真は旧1619編成を改番した1573編成で、三菱電機のVVVFインバーター制御装置を搭載しています。

1600番台の車号は新1000形6両編成に充てる為、2013年から改番が開始され、2016年8月の旧1625編成→1577編成を最後に完了しました。写真は逗子・葉山駅に改称後に撮影した1581編成で、改番前は1631編成を名乗っていました。こちらは東洋電機のVVVFインバーター制御装置で、発する磁励音が異なっています。

末期になると大師線専用車になっていた感がある界磁チョッパ制御・普通鋼製車4両編成。登場当初は戸袋窓を設けていましたが、アルミ車に合わせて閉鎖され差異が小さくなりました。若干丸みを帯びている正面が識別点です。
鋼製車は先述の通り120キロ運転対応改造を受けていない為、ほぼ大師線か、ごく稀に本線普通列車で運用されますがアルミ車体の4両編成は優等列車の増結にも使用され、1000形初期車と組んだ異形式8両編成でエアポート急行運用に就いた姿も確認されています。写真の1505編成は2022年3月15日に久里浜工場へ回送され、廃車となりました。

2001年からの更新改造でクリーム系の配色にバケットタイプの座席になった車内。写真はアルミ車編成で、乗務員室直後の2人掛け座席以外は片持ち式に改造されていますが、普通鋼製車では通常タイプのままシート交換・袖仕切設置を行った為、座席の下に蹴込みがあり容易に識別可能です。改造VVVF車は主電動機点検蓋は必要無くなったものの、写真のように埋められず残されました。ドア上には更新時に2100形が以前設置していたのと同じLED表示器とドアチャイムを設置しましたが、チャイムの導入は京急の車両ではこれが初めての事例でした。

各種改造のお陰で新1000形と遜色無い水準の1500形ですが、既に登場から38年の月日が経過し、アルミ車両も35年、VVVFインバーター制御の1700番台車は更新を受けないまま31年(1990年度導入の1701編成は事故廃車済み)も走り続けており、遂に本格的な置き換えが始まることになりました。他方で、京急から多数の車両譲渡を受けている高松琴平電気鉄道では2024年からバリアフリー対応車両を導入する計画を発表しており、それがこの1500形になるのか今後が非常に気になるところです。

※2019年の記事を加筆

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ステンレス車体で新たな潮流、京急1000形8・9次車

2022年12月13日 | 京浜急行電鉄

京急では初代1000形と700形を置き換える為、快特用2100形の実績を基に2002年より汎用通勤車として新1000形の製造を開始しました。外観は2100形を3扉・ロングシート仕様とした趣でしたが、2007年増備の6次車からは無塗装ステンレス車体に赤と白帯デザインのカラーフィルムを貼り付ける方式に改められ、外観は大幅に変わり従来の京急といえば塗装仕上げの赤い電車のイメージを覆すデザインになりました。

本線普通列車運用に充当される1447編成。9次車に区分される編成で2009年に4両編成832両が増備されています。全車両が電動車(デハ)とされ、中間に付随車を組み込む事で6両編成化に対応する設計となっており、品川寄り中間車には付随車への給電用パンタグラフの準備工事が施されるようになりました。4両編成は写真のように単独の他、8両編成の増結や2編成併結のエアポート急行などを中心に運用されています。

空港線方面のエアポート快特に充当される1097編成。2008年登場の8次車で、基本的仕様は6次車に準拠していますが、外観は冷房装置横のランボード形状が変更されています。走行機器はSIMENSから国内製に回帰し、主電動機は編成に関係なく三菱電機、VVVFインバーター制御装置については8両編成が三菱電機製MAP-138-15V174形、4両編成と11次車より加わった6両編成では東洋電機製RG694B-M形を搭載(何れも1500VVVF化改造車と同一品)し、発する磁励音も異なっています。

車端部のボックスシートが廃止され、1500形以来のオールロングシート仕様となった車内設備。メーカー標準品を使用しつつも座席の形態や巻き上げ式カーテンを設置する側窓部など、独自の個性も伺えます。67次車と比較すると座席の袖仕切り部分に横方向の手摺りが追加され、早くも変化が生じました。

車内案内表示器はLEDスクロール式を全てのドア上に配置しています。この形態は2009年増備の9次車まで続き、現在主流の17インチ液晶画面に改められるのは京成成田スカイアクセス線開通準備用に製造された10次車からでした。

ステンレス製の1000形は車体仕上げや前面形状、車内設備の変更を繰り返しながら製造されており、1500形の置き換え用にも引き続き相当数が増備される予定です。この先どこまでバリエーションを増やすのか、今後も目が離せない形式ですね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

汎用通勤車として大活躍を見せる京急600形(1〜3次車)

2021年08月21日 | 京浜急行電鉄

京急では1994年に日本初の地下鉄乗り入れ対応オールクロスシート車両として600形を導入しました。登場直前までは1500形が8両編成・VVVFインバーター制御で増備されていましたが、13次車はそれに倣い台車以外は同一の機器とされ、過渡期の車両であることを印象付ける構成になりました。登場時は2人掛けと1人掛けを転換する事が可能なツイングルシートと呼ばれる可変座席が搭載され注目されましたが、経年劣化や機能維持の困難さで2004年度よりロングシートへの改造が施工され、現在は京急各線を始め成田スカイアクセス線にも充当される汎用性の高い通勤車として幅広い活躍が見られます。

アクセス特急に充当中の602編成。新100010次車以降と共に、スカイアクセス線開通時から対応車両として運用されています。13次車では菱形パンタを採用していますが、扉部の特徴的なドアステッカーと共に本形式が最後の装備品となりました。4次車からはシングルアームパンタに変更され、機器構成も見直されています。

606編成は2005年施工のロングシート化改造と共に車体を青塗装に改め、「KEIKYU BLUE  SKY TRAIN」として広告貸切編成になりました。赤い車体に白の帯が主体の京急の中では一際目立ち、文字通り異色の存在です。行先表示をなるべく切れないように撮影したつもりでしたが、シャッタースピードが足りなかったのでちょいブレ気味ですね

2100形と品川での並び。正面ワイパーカバーが当初グレーだったものの、視認性向上の為にアイボリーに変更され新しい正面スタイルが確立し、2100形や新1000形アルミ車にも引き継がれ新たな京急の顔となりました。形式の切り文字は更新工事の際に設けられています。

更新工事が施され、新1000形に近い設備を持ちドア上液晶画面の設置などが施工されている車内。乗務員室直後の座席は進行方向向きで、この設備は快特用2100形にも踏襲し良好な眺望から好評を博しています。床は1500形VVVF車同様に駆動装置点検蓋のみ設置されました。

1500形の置き換え計画で注目が集まる京急の車両ですが、実は600形も初期車登場から30年目が近付いており、菱形パンタグラフやGTOサイリスタによるVVVFインバーター制御装置など、時代を感じさせる部分が目立って来ました。置き換えの車齢まではまだまだ先なので今後も変わらず他形式と共に主力車両としての活躍が予想されますが、再び何らかの更新などが行われるのか注目したいですね。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

京急1500形、置き換え計画が浮上。

2021年08月11日 | 京浜急行電鉄

現在の京急の旅客車両の中では最古参になり、遠くない将来に置き換えが予想されていた1500形ですが、東洋電機技報第143(100020次車電機品)に於いて、令和4(2022)年度以降も、順次1500形置き換えによる製造が予定されている旨の記述がありました。これにより1500形の代替車両は新1000形になる事が判明し、更なる増備が続くことが確定しています。先ずは普通鋼製車体・界磁チョッパ制御の4両編成が最初の廃車になるかと思われますが、アルミ車体・VVVFインバーター制御車の処遇にも注目が集まります。

都営浅草線から直通の快特運用に就くアルミ車体・新造VVVFインバーター制御の1713編成。京急川崎行きなのは撮影当日に人身事故発生で三崎口行きから急遽変更した為です。1990年からの増備車は界磁チョッパ制御からGTOサイリスタによるVVVFインバーター制御に変更され、正面にはスカートを設置するようになりました。1713編成は1992年度の落成で、東洋電機製の制御装置を搭載していますが中間のデハ1715+デハ17162両のみ三菱電機製となっており、発する磁励音が異なっています。なお、1500形初の廃車は2012924日に追浜〜京急田浦間で発生した土砂崩れで脱線したVVVF車第一陣の1701編成で、現在は1706のみが残され金沢検車区構内で訓練機材に使用されています。

別の日に成田スカイアクセス線アクセス特急に充当される1713編成。原則として京成本線・成田スカイアクセス線乗り入れは停車駅予報装置を設置している車両に限定されている関係で600形・新100010次車以降の編成が使用されていましたが、列車無線のSR化に伴い他編成にも新設され10次車以前の新1000形や1500形も充当できるようになりました。自社線内でも幅広い運用に使用されている1500形ですが、京成線・北総線内では普通列車が原則だった為白眉とも言える運用です。

更新工事を施工された車内。前回記事にした元界磁チョッパ制御車と比較すると、主電動機点検蓋が不要になり廃止され、駆動装置点検蓋のみ設置されるようになりました。近年はホームドア用のQRコードを貼付けの為、一部のドアの注意を促す特徴的な円形ステッカーが剥がされています。

界磁チョッパ車同様、更新工事施工の際にドアチャイムと共に新設されたLEDによる車内案内表示。京急線・都営浅草線のみならず乗り入れ可能な区間全てに対応しています。

他形式に比べるとやや地味な印象がある1500形ですが、汎用性の高さと共に初のVVVFインバーター制御車両という京急の車両史では大きな転換点となる形式でした。運用範囲の更なる拡大という明るい話題の一方で、置き換え発表は残念なことですが、気になるのは鋼製車は真っ先に置き換えられるとしてVVVF編成の動向です。京急の方針ではアルミ車の寿命は(方針が変わりなければ)45〜50年程度と位置付けられていますが、「再度の更新は無い」と明言されているため寿命を待たずメンテナンス省力化の為に20次車以降の新1000形で置き換えてしまうのか、また京急車を多数譲受している高松琴平電気鉄道がバリアフリー対応新型車の導入を計画していることも発表しており、この1500形が譲渡になるのかなど色々目が離せない形式になりました。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

空港輸送に就く京急新1000形(17次車・1200番台)

2021年08月01日 | 京浜急行電鉄

2021720日にシーメンス製のVVVFを搭載する歌う電車で親しまれた最後の編成が運用を終了して話題を呼び、新たなバリエーションとしてデュアルシートとトイレ設備を備えた20次車が登場するなど現在話題の尽きない新1000形ですが、ステンレス車体ながら塗装仕上げに改められた17次車(1201編成)に京急・都営・京成・北総の4社相互直通を記念したヘッドマークが6月まで掲げられました。

成田スカイアクセス線からのエアポート快特運用に充当される1201編成。京急らしさを引き出す為に2017年、5次車以来11年振りとなる塗装車体で登場したグループです。運用開始当初は搭載機器が三菱電機フルSiC適用VVVFに改められたことで都営浅草線方面には運用されず、自社線内で完結する列車に充当されていました。しかし20205月より直通運用が解禁され、現在は京成本線・北総線方面から成田スカイアクセス線アクセス特急まで幅広く活躍する姿を見せています。登場が京急の創立120周年であったことから、8両は1200番台の車号が与えられました。

羽田空港〜逗子・葉山間のエアポート急行に充当中の1217編成、直通解禁までは専らこの列車を中心とした運用が組まれていました。現在は自社線専用の6両編成(1600番台)が充当される場面が頻繁に見られます。

車端部の片側をボックスシートにした車内。ボックス部にはスマートフォンやノートPCの充電用コンセントが設置され、長時間利用の際に重宝します。20次車では貫通式正面のトイレ付きデュアルシート車という事で話題になりましたが、そのうち駅間距離が長いアクセス特急や線内快特用に荷物置き場やトイレを備えたロングシート車の登場も期待したいですね。

車内案内表示は左右一体型のワイド液晶画面で情報量は更に充実し、国際空港アクセス列車には相応しい設備に。近年の車両では動画広告を表示する画面は省略されたのが意外です。

車体材質や搭載機器の変更を繰り返して、初代1000形を凌ぐバリエーションになった2代目新1000形ですが今後も更なる増備が予定されているようです。初期車と最新車では別形式にならないのが不思議なレベルで設計変更されていますが、いつまでこの流れが続くのか在来車の動向も合わせて注目して行きたいですね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする