町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

生田緑地のスハ42とD51を見る

2015年01月26日 | 保存車両・廃車体・特殊車両

生田緑地で保存されているスハ42 2047とD51 408を観察に行って来ました。生田緑地自体は何度も足を運んでいますが、枡形地区の川崎市青少年科学館がリニューアルされてからは初の訪問です。2012年4月にプラネタリウムと科学館の展示物を刷新したことは知っていたのですが、周辺にも大幅に手を入れていたことにビックリしました。。。

今日は登戸駅からのシャトルバスに乗って行こうと思っていたのですが、藤子・F・不二雄ミュージアムの展示物入れ替えに伴う休館によりバスも29日まで運休とのことだったので向ヶ丘遊園駅から徒歩で向かいました。正門を抜けて真っ直ぐ進むと、進行方向に見えて来ます。

以前は売店を併設した喫茶店の前にあり、どう見ても店の休憩スペースのような感じのあったスハ43ですが、科学館の改築とカフェの新設と共に綺麗に移設されていました。移転と共に整備を行ったようで青い車体が艶々と輝いています。貫通路が閉鎖され、ちょっと面妖な雰囲気の妻面ですが所属や自重、定員などの各種表記はキッチリ国鉄書体で美しく書き直されています。

車内に入ると、旧型客車独特の高い天井に板張りの床、質素な造りのボックスシートがずらりと並び往時を偲ばせてくれます。屋外の保存で自由に車内に見学出来るにも関わらず、注意書きの札が無ければ動態保存車と見紛うばかりの良好な状態を保っていますね。モケットの傷みもない他、トイレや洗面所も使用禁止(当然ですが)ながら透明の仕切りを設置して内部を見れるようにしている所にも驚かされます。市で管理しているとはいえ、整備が行き届かず劣化して処分されてしまったり、部品などを盗まれて無残な状態になる車両もある中、これ程手入れの行き届いた旧客の保存車はなかなか無いんじゃないでしょうかね。

窓を開けてみました。全ての客窓は開閉可能になっておりこちらにも補修が行われたのか、軽く力を入れただけで簡単に開けられるようになっています。

天井には古風な扇風機が取り付けられていますが、カバーをよく見ると「JNR」のロゴが入っています。これはアルファベット表記ですが、現在でもよく知られているマークより更に古いタイプなんでしょうか? ちなみに、車内の開放時間が午前9時30分から午後4時30分までの為か蛍光灯などの灯火類は取り外されていました。

解説によれば1948年に日本車輛で落成し水戸客貨車区に配置され1985年に廃車となり当地で保存されることになったそうです。後年改造で電気暖房装置を設置したことにより元々の番号である47に2000をプラスして2047号車となりました。原番号は「スハ42 47」で47番目に製造された車両ですね。(当時国鉄の規定では、電気暖房装置を備えた客車は車番+2000で区別していました)製造から67年、廃車後30年も過ぎているのにこの姿を保っているのは関係者の方々の相当な努力を窺わせます。

このスハ42形はオハ35形のグループの一員です。よく混同されるスハ43形客車は、従来車の実績を踏まえて居住性や乗り心地を大幅に改善し、1951年から製造されたグループでオハ35(スハ42)はこの一世代前の車両ということですね。戦前に登場したグループはオハ35以前に製造されていたスハ32系の設計を基本とし、TR23形台車形ペンシルバニア形軸ばね台車を装着していました。戦後の増備車より、軸受の構造を変更したTR34形台車へまず移行します。これらの台車は軌道に掛かる負荷が軽減できる特徴がありましたが乗り心地に難があった為、改善を図るべく新規設計されたウイングばね式鋳鋼台車TR40形台車に改められました。このTR40形台車では従来のものと比較すると約6トンも重量が増加したため、「スハ42」という形式に区分されることになったのです。ちなみに形式記号の片仮名は車両の重量を表し、オは大型のオが由来で32.5t以上37.5t未満の車両を示します。ス=37.5t以上42.5t未満の車両で、鋼製車体=スチールカーから、だそうな。(←自宅に戻ってから図鑑をひっくり返しネットで調べまくりました)

科学館の入り口付近にはD51 408号機が保存されています。こちらは特に場所は変更されませんでした。一応階段がありますが、運転室への立ち入りは出来ません。車体の各部が磨き上げられたようにピカピカでした。

408号機は最終配置が川崎市内の新鶴見機関区だったことが縁で保存に選ばれたようです。解説曰く生きた教材とのことですが、両者の状態の良さを見ると“今ひとたび”も可能なんじゃ・・・、と思ってしまいますね(笑)

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府中市交通遊園に訪問

2014年12月10日 | 保存車両・廃車体・特殊車両

今日は仕事で立川市の方へ行く機会があり、午前中で仕事を片付けて自宅へ戻るべくJR立川駅へ向かっていました。このまま帰宅のつもりでしたが北口の改札へ向かう途中に高幡不動駅からやって来た京王バスの姿を見掛けて、府中市交通遊園に置かれている京王バスの事が頭をよぎり寄り道して約10年ぶりに足を運びました。

府中市が運営するこの交通遊園は郷土の森の一角に所在しており、実際に稼動するな信号機や横断歩道などを設置し遊びながら交通ルールを学んでもらおうというコンセプトのもと開設されました。似たような公園は都内を始め全国にあるので、一度は行ったことがあるという方もきっと多いのではないでしょうか。今回の訪問の目的は、ここに2011年から遊具として設置されている京王バスの車両です。

京王線・JR南武線の分倍河原駅からバスに揺られること12分、終点停留所の郷土の森総合体育館の目の前が交通遊園なのですが行きのバスの車窓からも目に付くのがこの京王バスの車両。正確には京王バス東の中野営業所に在籍していた日産ディーゼル車・KC-JP250NTNで、所謂中型ロング車です。この車両が来るまでは公園の入り口付近に、いすゞ自動車のキュービック(P-LV314N、1987年式)の3扉車が置かれていましたが公園のリニューアルで撤去されることになり、経年の新しい低床車ながら代わって2011年にやって来ました。ワイパーやナンバープレートが外されていることを除けばPASMO取り扱いステッカーが残されていることもあり現役時代そのものですね。場所柄か、方向幕は府中営業所のものに交換されています。

後方から。車椅子スロープや各種標語のステッカーまでそのままになっていました。正面は武蔵小金井駅行きでしたが、こちらは健康センター行きの表示にを出しています。前にジャングルジムが見えなければどこかの停留所に停車しているように思えてしまいます。地方からの引き合いがありそうなバリアフリー対応車を売却せずに寄贈してしまう辺りずいぶん太っ腹ですが、この車にしてみれば「なんで俺はこんなとこに連れて来られたんだ・・・?」とか思っていたりして(笑)

車内の様子。扉を固定する錠前付きのチェーンがこの車両が遊具であることを印象付けますが、これが無ければ今にもエンジンを掛けて走り出しそうです。ここに設置されてから時間が経っているものの、座席のへたり、汚れや部品の目立つ欠損などもなく非常に良好でした。料金機や停留所名表示器はさすがに撤去されていますね。メンテナンスもしっかり行われているようで、座席に座ると発車待ちをしているような感覚になり10分ばかり和んでしまいました。

運転席。ご覧の通り、一部スイッチ類が取り外された以外は良い状態を保っており、車号のプレートも残されています。ただ、遊具ということもあり小さな破損が見られるのは少々残念でした。

所謂中型路線バスはタイヤが小さく低床化が若干の改造で可能だったことから大型路線車よりも早く、1989年に誕生し日産ディーゼルから販売されました。1992年には中型ロングの原型になる車両が西日本鉄道で導入され、まだこの時点では試作的要素があったものの、その後更なる改良で1994年には更に床を低くした量産モデルというべき車両が販売開始になり大型の低床車やリフト車は非常に高価で導入が難しかった1990年代当時、安価な低床車として路線バスのバリアフリー化に大きな貢献を果たしています。当時低床化に熱心だった京王バスでも大量導入され、一時期の京王バスグループの象徴的存在でした。現在は全ての自動車メーカーで中型ロング車の生産は終了し、写真の車両を製造した西日本車体工業もバスの車体製造から撤退、さらに日産ディーゼルはUDトラックスに社名を変更し全ては過去のものになってしまいました。近い将来、中型ロングが都心から姿を消した時に過去の遺物としてあらゆる意味で貴重になるであろうこの車両、末永くこの地で保存されることを願いたいものです。

さて府中市交通遊園の保存車で有名なのがコレ、都電6000形6191号車です。一時期京王5000系や6000系を思わせるような色になり、その後荒廃が進んで行く末が心配されましたが有志の手で整備され美しい姿を取り戻しました。行先方向幕も取り付けられ、浅草雷門の表示を出しています。車内はまだ整備中でしたが、完了して再び公開される日が楽しみです。

反対側は銀座行きでした。この車両の修繕活動の顛末が掲示板に掲げられていましたが、6191号車の所有者だった東京都交通局を始め京王電鉄の子会社で鉄道車両の整備・改造を行う京王重機の他、名古屋鉄道も名を連ねていました。折角保存されても、手入れが行き届かず朽ち果てて撤去の道を辿る車両も多い中、本当に幸せな個体と言えるでしょう。

コメント (12)
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