町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

運用が減少する東武鉄道6050系

2020年12月01日 | 東武鉄道

2017年4月まで、東武鉄道には浅草~東武日光・会津田島間を結ぶ快速列車が設定されていました。3社5路線(東武伊勢崎線・日光線・鬼怒川線・野岩鉄道会津鬼怒川線・会津鉄道線)に跨る200キロ余りの区間を3時間以上かけて走行する私鉄随一の長距離列車であることと、6両編成の内、前2両会津田島行き、中間2両鬼怒川温泉(鬼怒川公園)、後2両東武日光行きのパターンを基本としており、分割と併合を繰り返す国鉄の急行列車を彷彿とさせる運転形態で知られた存在でした。その列車に1986年から用いられてきたのが6050系で、乗車券だけで利用できる充実装備のクロスシート車両として人気を集めましたが、現在ではその役割を特急リバティに譲り日光線南栗橋以北に活躍の場が限定されています。

朝の上り区間急行で運用中の6050系。南栗橋〜新栃木間は20400系によるワンマン運転が主体となり宇都宮線直通が基本になった為6050系運用は大幅に削減されました。2020年11月9日には20400系の運用拡大が発表され、日光線新栃木以北への進出と急行への充当も予定していることから、今後は6050系の南栗橋乗り入れも更に減少してしまいます。

廃止された快速の代替として新設された南栗橋発着の急行に充当されている野岩鉄道所属編成61101F。6050系は初代快速用6000系の車体更新車両ですが1985年に下回りを含めて完全な新規製造車が登場し、その内1985年落成の61101F1986年度に61102F1988年には拡大する需要に対応するために製造された7編成の内61103Fが野岩鉄道に譲渡されています。このあと1990年には会津鉄道の電化開業に伴い、61201Fが新製され譲渡されました。手続きを簡略化する為にこのような措置で登場した両社の編成ですが、特に運用上東武鉄道所属車と区別はされないことから、東武線内で完結する運用にも入ります。

関東私鉄では珍しいボックスシート主体の座席配置の車内。蛍光灯にはダイヤカット模様のカバーが付き、通勤車両と同じ両開きドアを除けば、どことなく急行型電車に近いスタイルです。朝の急行では南栗橋を出ると、栗橋・板倉東洋大前・新大平下・栃木・新栃木・新鹿沼・下今市・東武日光と特急並みの停車駅と所要時間(約1時間20分)で走破し、かつての長距離快速を彷彿とさせる走りを楽しめますが、今後は20400系の充当も増えて行くようです(2020年11月9日時点では急行・区間急行は全列車6050系を使用)。

6050系の特徴的な設備として、乗務員室仕切扉上に設置された行先表示器があります。これは快速で分割併合を行なっていた頃に旅客の誤乗防止を防ぐ為に設けられました。

長らく日光・鬼怒川へのアクセス列車として高い人気を誇っていた6050系ですが、既に足回りは6000系時代から数えると50年半ばの歳月が経過し、老朽化が深刻な更新車両には多数の廃車も発生しています。今後は新栃木以北で運用する為の新造車グループが残存することが予想されますが、残り少なくなった旅情を感じさせる近郊型電車なだけに、少しでも長く活躍してくれることを祈るばかりです。

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