2012年に20000形RSE車・通勤車両初代5000形と共に引退したかつての小田急のイメージリーダー、10000形はデハ10001号車のみが残されました。こちらも当初はサハ10003+デハ10011を含めて3両が保存されましたが、先頭車があれば良しと判断されてしまったようです。
シャープなスタイルの前頭部で登場から33年が過ぎても陳腐化しないHiSE。50000形VSEが登場するまでは長らく箱根特急のシンボル的存在でした。ハイデッカー構造で眺望の良さがセールスポイントだった10000形ですが、交通バリアフリー法ではこの構造が仇となり引退を早めてしまいました。
現役時代は幌で覆われていた為、乗客視点では見る事が出来なかった妻面と連接台車。しかし車体が短いせいもあってか、1両だけにされると頼りなく見えてしまいます…。
HiSEはRSEと共に車内への立ち入りと座席への着席が可能になっています。座席は太陽をイメージした赤色と芦ノ湖や江ノ島の海をイメージした青色の2種類があり、編成両端の6両と中間5両で配色を変更していました。
展望席部分は赤と青の座席を組み合わせて交互に配置しています。右は写真による解説が載せられているように乗務員室へ上がる為の梯子で、運転士はここから上部のハッチを開けて運転席に着席していました。
先頭車だけになってしまったのが些か残念ですが、長野電鉄に譲渡された4両2編成が1000系として今でも現役なのがせめてもの救いです。