2013年3月より日光線・宇都宮線(小金井〜黒磯間)で運用を開始した205系600番台は、2018年4月1日〜6月30日まで開催の栃木ディスティネーションキャンペーンに合わせて、Y3編成4両が観光列車「いろは」に改造されることになりました。列車名のいろはは、日光市街地と中禅寺湖・奥日光方面を結ぶ観光道路いろは坂と、"物事のいろは"を掛け合わせた事が由来で、日光の魅力を感じて貰いたいとの願いを込めています。
車体は種車の4扉の内2箇所を埋め、2扉化する大工事を受けました。カラーリングは公式によると日光線のレトロなイメージに、日光の自然と観光地(ニッコウキスゲ・華厳滝・男体山・中禅寺湖)、また日光東照宮で見られる彫刻の生物(龍・鳳凰・唐獅子)のイラストを配し、和の色使いで海外からの観光客を意識した装いとしています。本来通勤型である形式が観光列車に転用されるのは、かつて青梅線で運用されていた201系四季彩からの流れですね。
日光線定期列車の他、観光シーズンは臨時快速などで運用されて来ましたが、他の編成と同様に2022年3月のダイヤ改正でワンマン対応E131系に置き換えられる事になってしまいました。写真は何方も定番撮影地の今市〜日光間の直線区間ですが、最近になって枕木が並べられ目立つようになってしまいましたね・・・。
車内設備は2扉化され、座席はキスゲの花のイラストを配したモケットでドア付近と車端部はロングシート、それ以外は2列+1列の大型ボックスシートと荷物置き場を設置し205系とは思えない変貌を遂げました。配色を木目調に一新したことに合わせ、吊り手も木製に交換されています。インターネット上の日光市の観光情報を閲覧し易くする為、Free Wi-Fiも完備しています。
ドア上にはJR東日本の改造車では珍しく、液晶式の車内案内表示器も新設されました。2000年代以降は改造工事や更新を多数受けている205系ですが、この「いろは」がもっとも充実した設備になったと言えるでしょう。
前述の通り、E131系導入によりワンマン化を実施する為置き換えが決定した「いろは」ですが、僅か4年余りの活躍になりました。観光列車という特性から運用終了後は廃車になると思いますが、どこかの私鉄で再起する可能性にも僅かながら期待してしまいます。