JR東日本の新系列電車で地下鉄線への直通に対応した車両は、1999年12月4日に千代田線〜常磐緩行線の直通車として登場した209系1000番台が最初でした。この時点ではE231系は開発途上であった為、既に実績のある209系列の導入となり列車増発を目的とした増備だったこともあり僅かに10両2本のみという少数派に終わります。しかし中央・総武緩行線〜営団(東京メトロ)東西線の直通運転に長らく充当されていた103系1200番台・301系の置き換えが決定すると新系列電車第二世代であるE231系の導入が決定し、満を持して地下鉄対応編成である800番台が登場。2003年5月1日より営業運転を開始しました。
東西線内の高架線を走行するE231系800番台K4編成。209系1000番台に酷似した裾絞りが無い2800ミリ車体ですが、側面窓構造や床下機器が大幅に異なっている他、運転席のマスコンに東西線内でのみ使用するデッドマン装置を搭載するなど、様々な相違点があります。
朝の通勤時間帯に中央線の緩行線を行くK7編成。車体のカラー帯は誤乗防止の為、東西線車両に合わせた青と水色の組み合わせになっています。乗り入れ先の東西線は起点と終点の両方で同一会社線に接続する数少ない地下鉄路線ですが、日中時間帯は自社線区間に入らず東西線の中野〜西船橋間で完結する運用も多く存在するなどJRの通勤電車としては珍しい運用が組まれており、相互直通運転が活発な首都圏ならではの車両運用と言えます。
東西線内折り返し運用に充当され、三鷹〜千葉間の緩行線で運用されている500番台車と地上の中野駅で並んだ場面。正面の構造や車体幅の違いから別形式のように見えます。
車内設備は幅が狭い以外は0番台がベースになっており、座席モケットの色やドア上のLED表示器なども準拠していますが、車椅子スペースは地下鉄車に合わせて2・9号車に設けられました。サービス向上の為に500山手線(2003年当時)・0番台常磐快速線向けに続いて自動放送装置を搭載しており、東西線内でも全区間で対応しています。
運用区間などに変化が無く動きの少ない800番台ですが、登場から20年目を控えて2022年12月にK3編成がVVVFインバーター制御装置更新の為に秋田総合車両センターに入場しました。今後他編成も順次入場し変わらず活躍して行くと思いますが、継続使用するならドア上の1段LED表示を液晶画面に換装して欲しいですね・・・。