小田急1000形の更新工事と未更新車の廃車が完了すると、次の対象は3000形3次車以降へと移ることになり、3次車の3265Fが最初の編成として2021年12月に運用離脱し大野工場へ入場しました。主なリニューアルの内容はVVVFインバーター制御装置、補助電源装置、電動空気圧縮機の更新と新宿寄り先頭車の自動分併装置撤去、加えて車内では側面ドア、座席の交換とLED表示器を17インチ液晶画面に換装、全車両に車椅子・ベビーカーのフリースペースの新設を実施しています。3265Fの後を追うように3266Fも入場しますが、こちらはドア交換を省略しており営業運転開始は3266Fが2023年3月24日で、先に出場し試運転を繰り返していた3265Fは同月31日となり施工と復帰の順序が逆になりました。2023年度施工分は4次車3268Fと3267Fとなり、前者はドア交換省略の一方で後者はドア交換が実施されるなど、元々バリエーションが多かった3000形にまた新たな形態差が生まれました。
江ノ島線内運用に入る3267F。この編成は車内案内表示器がそれまでのLEDスクロール式から15インチ液晶画面1台設置に改められ、更に2015年には液晶画面を17インチの三菱電機セサミクロに換装する初の仕様でした。1000形を始め他形式との併結も頻繁に見られましたが、今回のリニューアルで自動分併装置が撤去され多摩線・江ノ島線・小田原線相模大野〜小田原間での運用に就いており都心方面へ姿を見せることは無くなりました。
一番最初に更新を受けながら出場後は試運転を繰り返し、2編成目の3266Fより後から営業運転入りした3265F。この編成は防音カバー試験車で後に全密閉式主電動機に換装された為、4000形に酷似した磁励音を発している特徴ある編成でした。写真は新宿寄り先頭車ですが自動分併装置撤去で小田原寄り先頭車同様のスカートに改められています。
リニューアル後の車内。ドアが5000形に類似した窓形状で手掛けが片側にのみ設置されるタイプになっているのが分かります。クッション性に乏しく評判が悪かった座席も交換され座り心地は改善されました。全車両に施工できないレベルで内容が複雑だった1000形の反省を踏まえているのかドア以外はイメージを大きく変えておらず、筆者はドア交換の話題を聞いた時にもしや5000形に近いカラースキームになるのでは?と思っていただけに期待外れな点です。
ドア上のお馴染み17インチ液晶画面。変わりないようですが、開閉時のチャイムが三菱電機汎用チャイムからオリジナルタイプに変更されています。また、元LED表示器搭載車は非常用ドアコックを座席下に設置する関係で鴨居部に蓋が無く、新たな形態差となりました。
1000形へのリニューアル施工完了から直ぐに3次車以降への施工になったことで、今後は機器が異なる1・2次車は現在のまま2000形などと同じように大規模修繕はせずに運用し廃車、編成も8・10両と6両、更に箱根登山線用4両(うち8両固定編成予備2本)に整理する方針が見えて来ましたが、平成の時代は頻繁に見られた異形式10両も見納めになろうとは、時代はすっかり変わったことを実感します。