今の時期、サンマが旬である。
いつもサンマは塩焼きにして、大根おろしをツマにホクホクの熱いのでいただく。
実家に帰ったとき、母のサンマの煮付けが超美味で、真似したいと思っていた。そう、煮魚を作るのは天才なんじゃないかと思うほど母の魚料理は上手なのだ。
子供のころ、十勝の小さな田舎町には、釧路から行商のおばさんが毎日リヤカーに魚を積んで、売りにやって来ていた。
小学校に上がる前である。
田舎の商店には魚も売っていたが、毎朝釧路の市場から持ってくる魚は新鮮で、母は毎日そのおばさんから魚を買い、魚料理を作ってくれるのである。
特に好きだったのは、ババガレイやクロガレイ、ホッケやニシンだった。
その頃猫を飼っていたので、行商のおばさんはさつま揚げを猫のおやつにサービスしてくれるのである。
だから魚料理は大好きだった。
酢でシメたものは少し苦手だったが、それ以外の魚はなんでも好きだった。
父も魚釣りが好きで、オオマイやコマイ、カレイなどを釣ってきて晩御飯のおかずになった。
農業王国十勝にいて、魚料理を食べて育ったのは珍しいかもしれない。
そして贅沢だったのかもしれない。
今はスーパーに行けば美味しい魚がたくさん売られている。
物が豊富でいい時代になった。
サンマの煮付けを作っていて、懐かしい気持ちになった。
子供の頃の思い出が宝物のように思った。
都心では何でもそろった時代に時代錯誤のような生活をしていたかもしれないが、毎日新鮮な魚を食べて成長したことって、もしかしたら今の時代に味わえない、最高の贅沢だったのかも知れない。