二つ星の空

(旧「風からの返信」-11.21.09/「モーニングコール」/「夢見る灯台」/「海岸線物語」)

No.1 「蒼く 優しく」その2 ~もう一つの 蒼い空~

2008-03-03 22:35:30 | 5296
しつこく「蒼く 優しく」について。

先日書いた「蒼く 優しく」の感想は、おいらが個人的に受け止めた部分での感想でした。

本当は、この曲が目指してる場所、というか、この曲が届こうとしている場所、人というのは、また別にあるんじゃないか、と思ってる。


「蒼く 優しく」は、ある種、馬場俊英の「スタートライン ~新しい風~」の谺(というか、競作)みたいな存在に思えるのだ。


ちょうど、「蒼く 優しく」の制作の数ヶ月前まで、小渕氏は馬場氏の「スタートライン」のサウンド・プロデュースをしていた。馬場氏の曲はNHKの特集で取り上げられたくらい、特徴的な売れ方をしていて、そのシーンは、当然小渕氏も意識していたと思う。(だからこそ、「~新しい風~」のアレンジは、この上も無く叙情的で、安心感のある音作りになっているのだと思う。)

そして、そういうニーズ、というか、悲鳴のようなつぶやきのような聴き手の状況、というのは、コブクロも常に浴びているのではないか、と思えるのだ。コブクロの曲もまた、馬場氏のように、人の気持ちをすくいあげていく繊細さが魅力だから。つまり、切実な日常に痛んだ人達が安らげる音楽を発信している、ということは、当然その人達からの発信も、彼らは受けとることになるだろう。


「蒼く 優しく」は、どうにもならない現実に対して、立ち止まることに頷きながらも、上り坂から逃げない勇気を歌っている。矛盾するココロ、一瞬毎に風向きも強さも変わる意志。暗闇の中、手探りで世明けの「蒼」を探す、そんなココロを真正面から歌い上げている。

「こころの叫びなど 誰にも聴こえない だから笑うんだよ 涙が出るんだよ だから 輝くんだよ」(「蒼く 優しく」(コブクロ,2007)より)


これほどまでに、赤裸々な絶望と希望を言葉にした歌詞が、今までどれだけあっただろうか。しかも、その声。ピアノの音だけを伴う、黒田氏の独唱は、空まで届きそうな張り裂けんばかりの想いたぎる声で、、、深く深く、人の痛みの輪郭をなぞり、浮かび上がらせ、優しい旋律で包み込んでいく。


癒し、だけでない、痛みと熱を持った誓い。それが、コブクロなりの、今の時代に向けたメッセージなのではないか、と、漠然と思った。


だから、、、これ以上は語るまい。Leave it unsaid.もうすでにしゃべりすぎてるけど(爆)。

「蒼く 優しく」は、今年の上半期、さらに売れてほしい曲だ。いや、売れてほしい、というよりは、もっと多くの人達に聴いてほしい曲なのだ。「蕾」のように。「蕾」ぐらいに。

だって、この曲は、もしかしたら、今の時代に向けた、コブクロからの「ANSWER」であり、「YELL」なのかもしれないのだから。



休んでもいいよ。生きていこうよ。


なんでか、この曲を聞き終わった後に、いつも、そう感じるのだ。コブクロの優しさ、強さが、遺憾なく発揮された珠玉の名曲だ、と思っている。
コメント
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