二つ星の空

(旧「風からの返信」-11.21.09/「モーニングコール」/「夢見る灯台」/「海岸線物語」)

「猫弁と魔女裁判」がすごい!~挑戦的視点を持つ「癒やし系ミステリー」~

2014-06-29 23:43:01 | 猫弁
大山淳子氏の最新作「猫弁と魔女裁判」が発刊された。

まだ読んでいない人のために、ここで、具体的な感想は書きません。

それよりも。

読んでください。ぜひ、手にとって、この作品を味わってほしい。
子供から、大人まで。多くの人に読んでほしい作品です。
書店にもっと置いてほしい。夏の一冊「猫弁と魔女裁判です!(舞台は冬だけど(爆))


「猫弁」シリーズは、今までずっと読んできたけれど、今回が一番面白い。

大山先生、勉強して、取材もたくさんしたんだなぁ、とか、何人もの専門家が、猫弁の世界を生み出すために協力したんだなぁ、とか、下世話なことをつい考えてしまったおいらは、いわゆる俗物の典型という自覚がありますが、そんなおいらが、二時間、きっちり集中して、読むことができた。物語の世界を想像し、頭の中で場面を描きながら、夢中になって、でも、ちゃんと飛ばさずに、一字一句をゆっくりと味わった。

読み終わったら、深い満足とともに、猫弁がおわってしまった喪失感がひたひたと打ち寄せてきて、「もっと、何日もかけて読めば良かった」と少々後悔した。


読んでいて、楽しかった。悲しかった。寂しかった。はらはらした。衝撃を受けた。混乱した。
そして、じんわりと、心が揺さぶられた。


おいらは50年近くこの世に生きてきたので、それなりに小説読むときは色々あらすじを予測しちゃうわけですが、そんなことに、この作品のおもしろさが損なわれることはないのでした。
大事なのは、展開の中で「何」が描かれるか。
おいらの貧弱な想像力なんか軽く凌駕して、「猫弁ワールド」を実に魅力的に描き出してくれた、大山先生の筆致に、感動した。

人々の内面の描写、情景の描写。
大山先生の筆を通して描かれる世界が、とても好きです。

おおっ!!!と唸る予想外の展開も随所にあり、様々なことを考えながら読んだ今作でした。

「猫弁」は、ミステリーと呼ばれている。
そして、そのストーリーに荒唐無稽さはないが、おいらの印象としては「ファンタジー」と呼んでもよいと思う。
「ファンタジー」としての成分は、児童文学が持っているような、デリケートで上品な作風だ。
そして、たまに織り込まれている、不思議な出来事。それを自然と受け入れている、百瀬太郎の柔軟な感受性。

「猫弁」を読んでいると、あまんきみこさんを思い出す。
百瀬太郎は、運転手の松井さんみたいなんだ。


今回、百瀬太郎が、葛藤も苦しみも持つ一人の人間であることが、印象に残った。
そして、百瀬太郎は、あくまでも、彼らしく、全力で生きていた。


「猫弁と魔女裁判」・・・あああ、しかし、この作品の多面性がすごい。
のんきに描いているようで、ものすごく、現代の世相が透けて見える。

優しい語り口でありながら、「司法記者」に負けず劣らず、問題提起の視点は鋭い。
(これは、前作「猫弁と少女探偵」でも感じたことだ。)

すごいなー。これは、映像化難しいぞ(爆)でも、作品自体はすごく評価されると思うぞ。

柔らかな情景、描写の中、だまし絵のように「現実」が織り込まれている。
安心して読みながら、時々、ひやっとした。

大山先生は、読者が、現実から目を背けることを望んでいない。

百瀬太郎が、決して目の前の現実から、逃げないように。読者にもそうあってほしい、と思っているように感じる。


今、ぼくらが生きているこの世界。その先のどこかに、この町がある。
そう思わせてくれて、「ぼくらも頑張らなくちゃ」と思わせてくれた、大山先生と猫弁先生に感謝します。亜子ちゃんにも、その他全ての登場人物・登場動物たちにも。


「猫弁」をお読みになったことのない方がいらっしゃって、もし興味を持っているようでしたら、できれば、一作目の「猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち」から読まれることをお勧めします。

「猫弁全集」という、今までの作品が(今作も含めて)一冊にまとめられた本もあります。
なかなか洒落た装丁で、重量感も、書斎に似合うタイプの本です。一冊ずつ買いそろえるよりも割安なので、30代までなら、こちらが買いでしょう。

ただし、「猫弁全集」の活字は少々小さいので、中高年が気楽に読むなら、単行本もお勧めです。
おいらは、「猫弁全集」を開いて、初めて、高校時代の自分の目の能力(視力だけでない諸々・・・)を取り戻したいと本気で思いました。(爆)
(最近、活字離れしていたことを改めて痛感・・・取説とかは平気なのになぁ・・・)

なんか、最後は与太話になってしまってすんません。

「猫弁」が多くの人に読まれることを祈って、今日はおわります。
それでは!
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ボクらの時代~若者たち2014キャスト・監督鼎談!~

2014-06-29 23:37:06 | 吉岡秀隆
「ボクらの時代」公式サイトは、以下のとおり。
http://www.fujitv.co.jp/jidai/index.html

ちなみに、このサイトにはゲストが誰とか、何にも書いてありませんが、
吉岡秀隆氏の公式サイトには、7月6日(日)に彼自身が出演との情報あり。

へぇと思い、そういや、昔この番組好きだったっけと思いだし、先週あたりから観ています。
この番組、やっぱ、毎回面白い。

そんで、今日の番組の終わりに、来週の予告があったのですが・・・(笑)・・・

来週の出演者は

妻夫木聡、吉岡秀隆、そして杉田成道監督!

すげー!

すげー3人だ!しかも、仲よさそうに、さわやか~に話してる!


・・・

が!その会話の中身たるや・・・吉岡氏、相変わらず黒い(もとい、毒舌)・・・(爆)

あの笑顔で、あの話かよ・・・妻夫木氏がのけぞって笑ってるし、監督も笑ってるから
いいけど、活字にしたらやべーっすよ(汗)
(しかも、そこを予告で切り取るか、フジよ・・・^-^;)

来週観るのが、とても楽しみなのでした^-^;
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現実がドラマに呼応するとき~WOWWOW「トクソウ」の後に「美濃加茂市汚職」事件を知り、感じること~

2014-06-29 20:50:33 | Weblog
ドラマ「トクソウ」について思ったこと、もっと書きたいんだが・・・先週から、このニュースに複雑な思いを感じている。


<美濃加茂汚職>賄賂同額、口座引き出し 取引記録決め手に(毎日新聞) - goo ニュース

業者、市長選に応援派遣か 美濃加茂・贈収賄事件(朝日新聞) - goo ニュース

業者が現金押しつけか 美濃加茂・贈収賄事件(朝日新聞) - goo ニュース

<美濃加茂市汚職>贈賄容疑の社長「複数政治家に金配った」(毎日新聞) goo ニュース" 

最年少29歳市長を取り調べ=収賄容疑、設備業者に便宜か―愛知県警(時事通信) - goo ニュース

(※上記ニュースは、上の方が最近の記事なんで、下の方から読むと、時系列になってます)


このニュースを知って、「トクソウ」を思い出した人は多いんじゃないかと思う。(「トクソウ」を観た人が日本にどれくらいいたのかはわからないけど、少なくとも、「トクソウ」を観たり「司法記者」を読んだ人は、フィクションだった「トクソウ」と、現実の世界でのこの事件の展開の類似性に、感じるところは大きいと思う。)

「トクソウ」が放映されていたとき、もう、贈賄側の公判は始まっていたんだろうけど、まだ「トクソウ」の記憶が視聴者にとって生々しく残る内に、市長逮捕の報道。

ううむ。ざわざわする。どうなるんだろう、この事件。


現実は、人々の話題に上らぬうちにも、蕩々と流れていく。
ぼくらの目の前に立ち上がる現実は、その奥に、どんな真相を秘めているのだろう。

ドラマと現実の錯綜に、果てしなく感じるのは、ぼくらがいかに、毎日、多くのことから目をそらし、多くのことに気づかずに過ごしているか、そのこと自体の果てしなさを感じるからだ。

ぼくは、ぼくの足下にある、地続きの現実を生きねばならないのだけれど。

その地続きの先に、「トクソウ」の世界があり、美濃加茂市の事件もつながっていると思うと、思わず空を見上げたくなる。

曇天と、その向こうの光。
雨も、嵐も、低気圧も、高気圧も。

みんな、つながっているんだな。


頑張れ、みんな。
正義よ、幸多かれ。
真実が、みんなを救いますように。
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