ウード奏者 松尾 賢 のブログ(アラディーン主宰者)

ウード奏者、ダラブッカ奏者、サズ奏者、歌手、アラブ、トルコのオリエンタル音楽演奏家・作曲家である松尾賢のブログ。

「ロック・ザ・カスバ!」

2017-12-30 03:09:19 | 映画
年末は、な~んにもしないで映画三昧というのが毎年のスタイルですが、今日「ロック・ザ・カスバ!」という映画を見ました。Amazon プライムで見た訳ですが、アフガニスタンを舞台に実際にあった実話を元に、ハリウッド・コメディに仕立てた、とても面白い映画でした。

「ロック・ザ・カスバ!」の詳細はこちらへ ↓
http://realsound.jp/movie/2016/07/post-2265.html

さて、元になった実話というのはアフガニスタンの人気TV番組「アフガン・スター」に出演したヘラート出身のセタラ・フセインゼダという女性が、ただでさえ女性が人前で、しかもTVに出て歌うという事について反感を買うのに、最終ステージで踊りながら歌う、という絶対侵してはならないタブーを行った事で、元ヘラート知事のイスマイル・ハーンがテレビで不快感をあらわにし、セタラはヘラートに帰る事が出来ず、殺人予告までされて隠遁生活を余儀なくされた、という話だそうです。

さて、この映画を見た後、ふとある事を思い出しました。

それは、2014年にノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイに宛てたタリバン幹部側からの手紙の内容に、結構同調する言動がFacebook やネット上で見受けられた時の事。

その同調した意見を述べた人の中には中東の音楽をベリーダンサーの為に演奏している演奏家もいて、とても驚いた訳ですが、

あの時の騒動を振り返って見ると、要するに「保守的」な事が好きな人は、「伝統」とか「宗教上の理由」という言葉に弱いんだなぁ、と実感した訳です。

こういう事を書くと、お前は進歩的な人間なのか、と問われそうですが、自分は仏教徒であり中道主義者なので、何が正しいのか、生命の本質に迫った所から考える事にしています。

勿論、「伝統」は重んじたいと思いますが、それが時代にそぐわない考え方になったり、形骸化したもの、まして基本的人権や自由を束縛するものであれば「廃止」するべきだと思っています。

あの時の、タリバン幹部の手紙に同調した人たちは、きっと
何故アフガニスタンにタリバン政権が誕生したか、そういった背景の知識が無いからだと思うのですが、

今の日本で女性が歌って踊ることを禁ずる意見を出したら、どうでしょうか?(ちなみに、日本でも女性の参政権が認められたのは太平洋戦争後の1945年。)

自分のFacebook で繋がっているムスリムの友人が、ある時、こう打ち明けてくれました。

曰く「ケンさん、私はケンさんの日記を読んでいますが、ケンさんの記事に「イイね」を押せないので、それを許してください。何故なら、ある時、アラディーンのショーの記事に「イイね」を押したら、自分のムスリムの友人たちから「何故お前は肌を見せている女達(←ベリーダンサー諸姉妹の事)の写真の載った記事にイイねを押してるんだ!」と言われてしまったのです。ゴメンナサイ。」

ああ、なるほど、こういう事を言ってくる人もいるんだなぁ、と実感したのですが、(ハスィンにこの話をしたら笑っていましたw)

いずれにしろ、老若男女、貧乏人、金持ちを問わず参加でき、優勝者には大金が手に入る「アフガン・スター」というTV番組はとても好評なのだとか。

イギリスのパンク・バンド、クラッシュのヒット曲、「Rock The Casbah」の題名が付けられているのに、その曲が1度も流されない変な映画ではありますが、解説にある通り、曲の意味が反映されている内容の、このコメディ映画、

単純に楽しみたいときにお勧めです。

※クラッシュのRock The Casbah のサビ。

The Shareef don't like it (そのシャリーフ(アラブの高貴な血筋の人)は、気に入らない)
Rockin' the Casbah(カスバ(城内)でロックを踊る事を)
Rock the Casbah (カスバを揺さぶる事を)
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