ウード奏者 松尾 賢 のブログ(アラディーン主宰者)

ウード奏者、ダラブッカ奏者、サズ奏者、歌手、アラブ、トルコのオリエンタル音楽演奏家・作曲家である松尾賢のブログ。

生演奏で踊るワークショップ(7月18日(月祝))後記

2016-07-20 00:30:48 | ベリーダンス

昨日の7月30日(月祝)は、ダンスアラベスクのネニュファー様の御依頼により、生演奏で踊る為のワークショップを行って参りました。皆様、お疲れ様でした!

このワークショップのお話は、本年初頭に頂いていたのですが、6月の騒動で、やむなくアラディーン側の編成を変更しなければならなくなり、危うく予定通り行えなくなるかも、という所まで行ったのですが、運良く素晴らしいメンバーが集える事となり、無事に予定通りワークショップを行う事が出来ました。

今回と、10月10日(月祝)に行われるハフラのメンバーは、私(ウード)、ペタシ君(ダラブッカ)、ハスィン(ヴァイオリン)、そして旧友でもあるボタン式アコーディオンの檜山 学(ひやま まなぶ)が参加、という豪華編成になりました。

ちなみに、何故、佐々木絵実さんではないのか、というと、彼女の都合が、急な話だった為に合わなかったからです。(でも9月3日(日)は絵実さんが参加してくれます。)

檜山 学は、イタリア、フランスに留学していたので、ハスィンとはフランス語で会話し、ハスィンと私は英語で話す(笑)と言う感じでしたが、学とハスィンは直ぐに意気投合し、予想通り、とてもイイ感じのアンサンブルとなりました。

さて、今回のワークショップの内容は、ネニュファーさん、私、双方で長年感じて来た、ベリーダンサーが生演奏で踊る為に本当に必要な知識、それを初心者のレベルの人でも分かりやすく、という内容でした。

レクチャー部分では、先に、私が項目ごとに概要を説明し、その内容が正しいか、又は、実際にどう感じて演奏するのか、など、ハスィン先生に質問し、それについて答えて貰う、または実践して演奏して貰う、という形式でした。

勿論、各ミュージシャンにも演奏して説明して貰ったり、演奏して貰いました。

とはいえ、レクチャー部分は、少し詳しくなりすぎた部分もありましたが(汗)、まぁ、オリエンタル音楽を演奏するにはこういう知識が必要不可欠なんだよ、と言う意味では面白かったのではないでしょうか?

ともあれ、WSの主眼は、オリエンタル音楽への理解と、それをどう踊るか、という事に尽きる訳ですが、やっぱり説明の後に、我々の演奏を聞いてみて、色々とクリアになったと感想を頂きました。

これだけインターネットが普及し、YouTubeなどで、以前は入手困難だった映像が簡単に手に入ったり、Googleなどで検索すれば、大概の内容の情報が手に入るような情報過多な時代において、

一番大事な事は、やはり、本物を、直接、五感で体験して理解し、それを自身の知識にする事でしょう。

いわゆる体験するという事、言語学でいう処の「レアリア」を理解する、という事と同じです。

レアリアとは「ある時期の生活や文芸作品などに特徴的な細かい事実や具体的なデータ(外国語上達法:千野栄一著:岩波新書)」と説明されている通り、

その土地での実際の現実的な知識とか情報の事です。

例えば、日本では、ウードを、ギターの延長のような程度の楽器位にしか思っていない奏者も多く、また日本では単なる民族楽器、そんな程度に思われている位でしょうが、

アラブ世界で「ウードが弾ける」と公言する事は、楽器の王様を弾けるという事であり、尊敬のまなざしで見られ、「では、何か歌ってくれ」と歌が当然歌えるものと思われて、歌を要望され、要望された物を弾いて歌うと、とてもうっとりとした眼差しで見られ・・(笑)、というような違いの事が「レアリア(言語外現実)」です。

外国人である我々は、そう言った事を体験する、という事がとても重要な事ですし、また、生演奏というモノが、どういうモノか、

セッティングとか、調弦とか、楽譜とか、そういった色んな準備の事も含めて、理解して貰う事も重要です。

そういう意味でも、この4人の卓越した演奏家(仲が良い事も含めて、本当に素晴らしすぎて終始感動してましたが)が演奏した音を体験して貰って、踊ってみる、という事は、とても貴重な経験だったのではないでしょうか?

ネニュファーさんの説明も、とても的確であり、やはり長年、生演奏とのショーを行って試行錯誤されて積み重ねて来られた知識には優る物は無いな、と思った次第でした。

次回は9月3日(日)です。次回に新たに参加されても大丈夫な内容ですので、参加されて見たい方は、ダンスアラベスクさんの方へお願いいたします。


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