大きなお風呂に入っていた。
どこかの温泉みたいだったけど、でもやっぱりそうじゃない気がする。
だって、もうそろそろお湯から上がろうという時になって、湯の表面にぷかぷか浮かんでいるゴミみたいな物を手ですくってきれいにしようと躍起になっていたから。
そのゴミがまた、どうしてだか父の写真だとか、すごく変なのでは、軍隊の勲章みたいなのとかで、濡れてしまったな~とか思ってて、
それがなんだかとても悲しくて、そのうちにどんどんもっと悲しくなって、お湯の中なのに体がお腹の内側から固まってきて、
フウッと気がつくと目が覚めていて、マットレスの上で乾いたミイラみたいに節々を固くして眠っていた自分に気づいた。
ふうっと息を吐いて体の緊張をほぐしたら、ああ、今日は父の誕生日だと思った。
お風呂に入ると必ず、「こっこは~おっ国ぃを何百里ぃ~、離れて遠~き満州の~」などと軍歌を次々に歌い、タオル風船で遊んでくれた。
兵隊になったわけでもないのに、歌好きの父はよく軍歌を歌っていた。
きっと、明日は父の誕生日だなあと思いながら眠ったわたしに、夢の中で逢いに来てくれたんだろう。
夢の中で父と逢えたような逢えなかったような……父は笑っていたかしらん。
どこかの温泉みたいだったけど、でもやっぱりそうじゃない気がする。
だって、もうそろそろお湯から上がろうという時になって、湯の表面にぷかぷか浮かんでいるゴミみたいな物を手ですくってきれいにしようと躍起になっていたから。
そのゴミがまた、どうしてだか父の写真だとか、すごく変なのでは、軍隊の勲章みたいなのとかで、濡れてしまったな~とか思ってて、
それがなんだかとても悲しくて、そのうちにどんどんもっと悲しくなって、お湯の中なのに体がお腹の内側から固まってきて、
フウッと気がつくと目が覚めていて、マットレスの上で乾いたミイラみたいに節々を固くして眠っていた自分に気づいた。
ふうっと息を吐いて体の緊張をほぐしたら、ああ、今日は父の誕生日だと思った。
お風呂に入ると必ず、「こっこは~おっ国ぃを何百里ぃ~、離れて遠~き満州の~」などと軍歌を次々に歌い、タオル風船で遊んでくれた。
兵隊になったわけでもないのに、歌好きの父はよく軍歌を歌っていた。
きっと、明日は父の誕生日だなあと思いながら眠ったわたしに、夢の中で逢いに来てくれたんだろう。
夢の中で父と逢えたような逢えなかったような……父は笑っていたかしらん。