1ー憲法と法律の違いはなに? 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)のつづきです。
前回もかなり恐ろしい話でしたが、今回のんもなかなかどうして、このまんま日本という国に生きていくのがかなんようになってしまうほどに恐いです。
まあ、気をしっかりもって読んでください。
13条/「個人」が「人」になると……
水野:
9条はもっともっと深いんですけど、今日はいろんなお話を聞きたいんで、13条というのも注目されているそうで。
伊藤:
13条はですね、今の私たちの憲法13条は、「すべて国民は個人として尊重される」と書いてあるんですね。
水野:
個人。
伊藤:
「個人の尊重」
この意味は、みんな一人ひとり同じように大切だよね。でも、みんな違っていいんだよ。という、
「人は皆同じ、人は皆違う」というそんなイメージなんですけれどね。
「個人として」というのは、
かけがえのない一人一人、みんなそれぞれ違っていいし、二人として同じ人はいない。
「そういう個人として大切にしましょう」というのが今の13条なんですが、
それを今度は「人」として尊重される。
「個人」ではなく抽象的な「人」
水野:
「個人」が「人」に代わって、何が変わるんですか?
伊藤:
これね、「人」っていうのは、Aさん、Bさん、Cさん、要するに名前で特定した一人一人、
水野晶子さん、伊藤真ですとかね、平野幸夫さんですとか、一人ひとりみんな違うじゃないですか。
そういう個性を持ったかけがえのない一人ひとりとして尊重するんじゃなくて、おおよそ「人」となりますから、
「伊藤真が兵隊で死んじゃったら、今度は平野幸夫が変わりに行けばいいね」というふうに、
もうなんて言うのかな、モノと同じような、一人一人に着目されないようなことになっちゃうんですね。
公益及び公の秩序
水野:
それと自民党の草案には、
「公益及び公の秩序に反しない限り」この「人」として尊重されるとありますが、
伊藤:
そういうことになります。
水野:
「公の秩序に反しない限り」ってどういうことでしょう?
伊藤:
これ、「公益および公の秩序」というのは、国益だとか、現在の社会秩序だとか、そういうものに一切反したらいけません、ということになっちゃうんですね。
ですから、この「公益及び公の秩序を誰が決めるの?」って言うと、その時の政治家たちなんですよ。
水野:
たとえば、TPPは国益であって、
伊藤:
そうです、そうそう、
水野:
って言ったら、それで決まっちゃうんですか?
伊藤:
それに反対する事を言ったりしちゃいけませんよ、というのが21条とかね、その方に出てきちゃってて、
たとえば、「原発推進です」という事を国が決めたとしたなら、
「原発推進」という、その国益に反したり、
「それが日本の秩序なんだ」ということを決められちゃうと、
それに反対をするような集会をしたりデモ行進をしたりだとか、
そういうものはもう簡単に規制されちゃうようになる。
水野:
あぁ……。
伊藤:
それからもっと言えば、たとえば夜中の12時以降は、クラブでダンスはダメですよとかね、
朝までカラオケなんて、そんな風俗を乱すようなことは許しませんよ。っていう事を、国が法律で決めちゃったら、もう、一切文句は言えない。
「そもそもあなたの権利は、公益や公の秩序の下でしか認められていないんだから」と
こう言われちゃうんですよ。
水野:
はぁ……。
たとえば、福島第一原発事故の時のSPEEDIに関してね、「情報を何で出さなかったんだ」っていいますけど、
あれも「公の秩序だ」って言われたら…、
伊藤:
そうです。
「混乱させちゃうといけないから」とかね、
「人々がパニックになって秩序を乱しちゃう、乱れちゃうといけないから出しませんでした」ということを、大っぴらに、今度はできるようになっちゃう。
水野:
憲法で。
伊藤:
そうです。
水野:
そうか……普通の国民は、それを求める事が出来にくくなっていくんだ。
伊藤:
そうですね。
「国民としてもっと知らせてほしい」とかいうこともそうですし、
自分たちがいろんな情報を発信したりだとか、ブログだとかツイッターだとか、フェイスブックだとか、
いろんなもので情報を発信したいという人も、沢山いると思うんですね。
でもそれが、「秩序を乱すようなことはダメですよ、一切だめですよ」ということにも、なりかねない。
水野:
なりかねないですね。
伊藤:
非常になんか、息苦しいというか、重苦しい、なんかそんな社会になっちゃうなと、私は思うんですけどね。
98条/新しく付け足す「緊急事態」
水野:
あの、つぎつぎ、私なんか知らない事ばっかりなんでね、もう、口をあけてビックリしている状況なんですけど、
98条というのも新しくつくるという話が、自民党では出ているそうで、
伊藤:
98条は、まるまる1章「緊急事態」という章を1個付け足すんですね。
水野:
第9章「緊急事態」
伊藤:
はい
水野:
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱などによる社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害、その他の法律で定める緊急事態に於いて、
特に必要と認める時に、法律の定めるところにより閣議にかけて、「緊急事態の宣言」を発する事が出来る。
伊藤:
はい。
水野:
「外部からの武力攻撃、内乱」なんて言うのもあるんですか!
伊藤:
ま、いろいろ書いてありますけどね。
水野:
あるいは、「社会秩序の混乱」でも、緊急事態を宣言できるっていう意味ですね。
伊藤:
そうです。
しかも、「その他法律で定める緊急事態」ですから、
水野:
あ、本当や!
伊藤:
法律でなんでも「緊急事態」と、
水野:
えぇっ!
伊藤:
決められちゃうんですよ。
で、この「緊急事態」というのは何者なのかというのを、知っておかないといけないんですけどね、
これは、次の99条というところの1項で、
「緊急事態の宣言が発せられるときは、
法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定できる」
水野:
どういう意味ですか?
伊藤:
難しいんですけどね、法律をつくるのは、普通は国会じゃないですか。
水野:
そりゃそうですよね。
伊藤:
国会が法律をつくりますよね。
ところが、これによって内閣が法律と同じような政令、つまり、内閣が法律をつくれる。
水野:
えーーっ!
伊藤:
国会じゃなくて、内閣が作れるんです。
水野:
そんなんじゃ反対する人いませんやん。
伊藤:
内閣がね、もう何でも自由に作れますよ。
どんな法律でも自由に作って良いですよ。
そういうのが、この99条1項。
それから、
水野:
緊急事態になったら、内閣が、
伊藤:
内閣が立法権を持っちゃうんです。
水野:
そしたら、いくら野党が「あかん」って言ったって、
伊藤:
そうです。緊急事態なんだから
水野:
どんどん作れるんですね。
伊藤:
緊急事態なんだから、財政上の支出もできる。
緊急事態だから、お金も使える。
水野:
お金も使えるんだ!内閣が決めたら使えるんだ。
伊藤:
それから、さらにその(99条)3項で、内閣がいろいろと国民に指示しますから、国民はそれに従わなくちゃいけなくなる。
水野:
そんな義務まで付いてるんですか!?
伊藤:
付いてます。
それで、いろんな人権が、様々制限されます。
水野:
制限してもいいんですか、国が。
伊藤:
たとえば、
「緊急事態だからツイッター2週間禁止」
「インターネット2週間禁止」
「デマが飛びかうとかえってまずいから、インターネットは2週間禁止です」
なんていう事が自由にできてしまう。
水野:
えぇぇ~、でも、そんな緊急事態が宣言できるって言うたら、よほどの事でしかできませんでしょ?
伊藤:
そうなるんですけれども、本当はよっぽどの事とじゃなければいけない筈なんだけれども、
この憲法のもとでは、法律で定めたなら何でもいいですよ、という事になっちゃうんですよね。
なっちゃってるんですよ。
そもそもね、この「緊急事態」っていうのは、たいがいの国にあるんです。
こういう条文というのは。
それがただ、たいがいの国というのは、ほとんどそうなんですが、戦争を前提にしてるんですよ。
戦争の時に緊急事態だから、「ちょっと制限しますよ」と「立法権は内閣が持ちますよ」「大統領が持ちますよ」と、そういうものなんですね。
言葉を換えれば、戦争する国は、緊急事態があります。
日本の憲法に無いのは、「戦争をしない」という憲法だから、今の憲法には「緊急事態」が無いんです。
前の明治憲法には、戦争する条文も、軍隊も、明治憲法にはありました。
だから緊急事態もちゃんとありました。
だから、この緊急事態は、戦争する国かどうかで、緊急事態があるかどうか
水野:
そうか!
伊藤:
ですから、3.11のね、あの災害のときの緊急事態の対応が必要だというのとは、それはちょっと違うんですよね。
水野:
違う意味ですよね。
伊藤:
災害対策の緊急事態は、法律で、ほぼ万全に対応出来ます。
ですから、あえて憲法に入れる必要はないんですね。
憲法の緊急事態は、ほとんどの全ての国は、戦争を想定した緊急事態。
それを日本も入れましょう。
なぜならば、さっき9条で言ったように、
「普通に戦争が出来る普通の国にしますから」ということなんですよね。
水野:
ん……。
伊藤:
先ほどね、自衛隊と軍隊の違いって、あんまりはっきり言えなかったんですけれども、
「軍隊」っていうのはもう、海外に出て、普通に戦争が出来るんですね。
で、人を殺すこともできちゃうのが普通の軍隊。
今の自衛隊はそれをできません。
で、海外に出て行って普通に戦争をし、集団的自衛権とか、多国籍軍に参加して、という事をやると、
当然、敵の国からは、「日本は敵だ」という事で、攻撃の、標的の的になる訳ですよね。
場合によっては、テロの標的になるかもしれません。
この前のボストンじゃないですけれども、「何が起こるか分からないよ」っていう国になっちゃうんですよ、日本が。
ですから、お友達を守ろうというのは、ま、いいんだけれども、
でも、お友達を守る結果、自分の家族が逆に殺されちゃうような事になる時にはね、
いくらお友達でも、
「ちょっと勘弁して」「あなたを助けたいんだけれども、でもあなたを助けるとうちの家族が殺されちゃうんだ」、「だからごめんね」っていうのが普通だと思うんですよ。
そんなときにね、
「お前の家族よりも、俺の方を助けろよ」なんていうふうに言ってくる友達はね、本当の友達じゃないと、私なんかは思うんですよね。
水野:
これ、緊急事態の宣言というところね、私今手元に、この自民党の草案というのを手にしましたけど、
そしたら、「内乱などによる社会秩序の混乱」っていうこともあるから、
何が社会秩序を混乱させているか?って言うのを決めるのは誰なんですか?
伊藤:
それはもう政府ですよ。国です。
水野:
政府が、社会秩序の混乱だと思ったら混乱なんですね。
伊藤:
そういうことです。
それで、「緊急事態だ」って言って「国防軍」を出動させるとか、緊急事態だからいろんな人権を制限しますよと、
水野:
た、たとえばですよ。
反原発・脱原発でデモをしてらっしゃる方々。首相官邸前が続いていますよね。
その時に、自動車の通行の制限って、一部あると思うんですよ。
たとえばそれを、「混乱」とみなすという事はあり得るんですか?
伊藤:
その制限を、たとえば「脱原発のデモ行進は四列にして下さいね」と、たとえば国から言われた。
それがちょっと人数が多くなって、ワッと車道にまで出ちゃったりとかね。
ちょっと乱れた形になったりすると、「これは社会秩序の混乱だ」というふうに言われかねない事はありますよね。
水野:
ああ!そういう可能性、恐れが出ている
伊藤:
それがもっとワーッと大きくなって、何十万という人が集まっちゃって、もう収集がつかなくなりそうだということになると、
それこそ、国防軍の発動とか、緊急事態の宣言だとかになりかねない。
水野:
またこの緊急事態の宣言は、なんか国会の承認も事後でもいいんですね。
伊藤:
そういう事になります。事後承認。
水野:
事後承認でもいいんですか?
伊藤:
そうなんですよ。
こんな、事後承認なんていう国はないと思いますね。
基本的には、国会の承認なり、とにかく極めて例外的な話ですから、厳しく厳しく憲法で縛らなければいけないのに、
ちょっとこの自民党の緊急事態は、ザルのような感じですね。
水野:
「緊急事態の宣言がはせられた場合は、なん人も、国や公の機関の指示に従わなければならない」
って書いてありますよ。
伊藤:
そうです。
水野:
これは、国民を縛る側の文言になるわけですか?
伊藤:
そういうことになります。
だから、こうしなさい、ああしなさいと言われたら従わなければならない。
それと、さっき言ったようにインターネットやなんだかも、出版もそう、ラジオもちょっと一時停止、ラジオの中身は事前に国がチェックします。
検閲みたいなものもできるという事です。
水野:
ただ、こうした具体的なところの話は、全然表には出てきてないですよね。
伊藤:
ま、自民党の人達に言わせれば、
「これは去年の四月に発表してますから」っていうことでしょうね。
「誰でもインターネットで見れるんですよ」
96条/権力側の暴走を許さないための知恵
水野:
まァ、見られるんですけどね。
96条を変えましょう、と安倍さんがおっしゃっておりますよね。
それについてはどう捉えてらっしゃいますか?
伊藤:
96条というのは、憲法改正の手続きの条文なんですね。
現在は、各院の総議員の3分の2以上の賛成で発議をし、それから国民投票になります。
この3分の2って、やっぱり意味があるんですね。
水野:
過半数じゃダメなんですね。
伊藤:
それを、「過半数にしよう」と安倍さんは言ってる訳なんですけど、
3分の2というのは、そう簡単に取れないですよね。
言いかえれば、反対野党も納得して初めて、3分の2になるわけですよ。
ですから、憲法改正というのは、そう簡単にやるものじゃない。
反対野党の人にも説得をし、十分納得をしてもらって、国会議員で発議をしましょうと。
そうしないと、国民投票だけだと、
国民投票も、実は私たち国民も情報操作に流されたり、ムード雰囲気に流されちゃう事がありますからね。
それは国民投票だけだとやっぱり危険だから、しかも、国民投票っていうのは、有効投票の過半数ですから。
国民の数じゃないんですよ。
で、投票に行きました。
ちょっと投票率が低くて20%でした。
その過半数。
すなわち、有権者の1割でも国民投票の過半数。
だから、そのワーッとムード、雰囲気で流れちゃって変な事にならないように、あらかじめ国会議員の3分の2というところで冷静に審議討論してもらって、
反対側も納得するような合理的な案になってから発議してもらうという、まぁこれは、国民の知恵と言いますかね。
水野:
権力側の暴走を許さないための知恵な訳ですね。
伊藤:
そうです。
それで、それをね、縛られる側の人達が、
「もっと自由になりたい、もっと自由に変えたいからハードルを下げてよ」って言っているのが、
この96条を過半数にしてという話ですよ。
だから、わたしたちからすれば、檻の中に入れていたライオンを、檻の外へ出しちゃう、自分たちで。
「ちょっとそれどうなの?」っていうところは考えないといけないかなって思うんですよね。
水野:
だけど、檻の外に出たライオンが何をするか?という事は全く今、意識されないで。
伊藤:
それが何をするんだ?って言うのが、今、前文からいくつか挙げてみてきましたよね。
「こういうふうに変えたい!」
だからハードルを下げてね、簡単に変えやすいようにしてね、と、安倍さんは言っているという事です。
水野:
なるほど。
これはこれからの論議の中で、もっと詳しくいろんな事を知っていかなきゃいけない事がいっぱいあると思いますので、またどうぞいろいろとお話を聞かせて下さい。
今日はどうもありがとうございました。
伊藤:
こちらこそありがとうございました。
水野:
報道するラジオ今日の憲法の話いかがでしたか?
リスナーの方は「伊藤さんの話わかりやすかったなぁ」とくださいました。
平野:
そうですね。
水野:
それから「自民党の憲法改正の草案って、思ってた以上に恐ろしいですね」というご感想。
あるいは「改憲と言えばすぐ戦争に結び付ける考えが、私には納得いかない」と
「今の憲法は、敗戦の時に外国人が決めたものであって、それを改正しようとすると反対だなどという事が理解できない。96条の改正に私は賛成です」
という改憲賛成だという方。
でね、平野さん、
今日ものすごく沢山頂いた中で、一番多かった象徴的なお声は、こういう方かもしれません。
「自民党は憲法改正を声高らかに言っていますけど、国民って、よく知らない事が多すぎませんか?よほど慎重に考えなきゃ」というお声です。
平野:
新しい草案を今お聞きすると、
今までずっと大事に守ってきた「主権在民」とかですね、「戦争放棄」というものが、ことごとく台無しにされるような流れですよね。
で、主権を極端に制限するということで、かつて井上ひさしさんという作家が、九条の会の発起人の方なんですけど、
「憲法は、国民が国家に命令をする事」と言ったんですけれども、
これは逆に、「国家が国民に命令する」憲法に変えられると、逆になりそうですよね。
水野:
誰を縛るものか?っていうのが、今まで国家の権力縛ってたのが、今度は国民を縛るものになる。んではないかということですね。
平野:
そうですね。
それで、やっぱり、この憲法というのは、世界的にも高い評価があったんですよね。
たとえば、パリ不戦条約とか国連憲章とか、権利の章典とか、様々な要素が入った、本当に「世界からの贈り物」と言われた位の素晴らしいものですけれども、
これがいよいよ、手続き論から入って本質の論議をせずにですね、国会議員だけでね、最初決める道をつくるというのは、
本当は「国民をないがしろにしたやり方だな」というふうに思いますよね。
水野:
今「手続き」の話だけが表に出てるので、「そうかいな、手続きやったら」って思いがちかもしれませんけど、
その後が何が変わるのか?っていうところをもっと見ておかないと。
平野:
そうですね、今お話があった全てが、これまでの憲法の性格をがらっと変える内容ですよね。
ま、一言で言うと、「戦争をしやすい国にしてしまう」と。
水野:
あ、戦争しやすい国。
平野:
そういう印象ですよね。
水野:
これ、ホームページで、自民党の草案というのは、もちろんどなたでもご覧いただく事が出来る。
私は今日、これを初めて見ましたけれど、ご覧になった方がいいと思いますね。
平野:
ねぇ。
水野:
そこから自分の考えを決めていくっていう、そういう時間を持たなきゃというふうに私は思いました。
↑以上、転載おわり
さて、ここまで読んでくれはったみなさん、どない思わはりましたか?
面倒やなあ、時間あらへんねん、別に戦争しやすい国になってもええんちゃう?
いろんな思いや環境があるとは思います。
お子さんが小そうて、マジで時間が無い親御さんもおられると思います。
けど、そのお子さんが成人した時にもし、日本が戦争しやすい国になってたとしたら……そういう想像をしてみてください。
戦争だけやありません。
自分の考えを自由に表現できる権利がすっかり奪われてたとしたら……、
なんや知らん、緊急事態の発令だらけで、いろんなことが制約されたり、違反したから言うて拘束されたりしてたとしたら……、
個人が人になって、数扱いされて、尊厳を損なわれてたとしたら……、
その時に政権についてる人間が、アホやなかったらええのですけど、今までの例を見る限り、あんまり期待もできません。
自分らはもうこの世におらんしなあと、無責任に日本の未来を放り出すのは、大人として最低の行為やと思います。
憲法をまず読む。
原文が読みにくいなら、読みやすいように解説してくれてはるのんがいっぱいありますから、それを読む。
とにかく、無い時間をなんとか調整して、主権者の責任を果たしてください。
こんなことを偉そうに頼んでるこのわたしも、ほんのちょっと前まで無責任丸出しの大人でした。
なんや、原発事故の後も、こないなこと言うてたなと思い出し、苦笑いしながらおでこ掻いてます。
時すでに遅しはまだ先です。
まだ手遅れなんかとちゃいます。
どうか、どうか、モノ知らずやったわたしと一緒に、憲法を知ってください!
お願いします!
前回もかなり恐ろしい話でしたが、今回のんもなかなかどうして、このまんま日本という国に生きていくのがかなんようになってしまうほどに恐いです。
まあ、気をしっかりもって読んでください。
13条/「個人」が「人」になると……
水野:
9条はもっともっと深いんですけど、今日はいろんなお話を聞きたいんで、13条というのも注目されているそうで。
伊藤:
13条はですね、今の私たちの憲法13条は、「すべて国民は個人として尊重される」と書いてあるんですね。
水野:
個人。
伊藤:
「個人の尊重」
この意味は、みんな一人ひとり同じように大切だよね。でも、みんな違っていいんだよ。という、
「人は皆同じ、人は皆違う」というそんなイメージなんですけれどね。
「個人として」というのは、
かけがえのない一人一人、みんなそれぞれ違っていいし、二人として同じ人はいない。
「そういう個人として大切にしましょう」というのが今の13条なんですが、
それを今度は「人」として尊重される。
「個人」ではなく抽象的な「人」
水野:
「個人」が「人」に代わって、何が変わるんですか?
伊藤:
これね、「人」っていうのは、Aさん、Bさん、Cさん、要するに名前で特定した一人一人、
水野晶子さん、伊藤真ですとかね、平野幸夫さんですとか、一人ひとりみんな違うじゃないですか。
そういう個性を持ったかけがえのない一人ひとりとして尊重するんじゃなくて、おおよそ「人」となりますから、
「伊藤真が兵隊で死んじゃったら、今度は平野幸夫が変わりに行けばいいね」というふうに、
もうなんて言うのかな、モノと同じような、一人一人に着目されないようなことになっちゃうんですね。
公益及び公の秩序
水野:
それと自民党の草案には、
「公益及び公の秩序に反しない限り」この「人」として尊重されるとありますが、
伊藤:
そういうことになります。
水野:
「公の秩序に反しない限り」ってどういうことでしょう?
伊藤:
これ、「公益および公の秩序」というのは、国益だとか、現在の社会秩序だとか、そういうものに一切反したらいけません、ということになっちゃうんですね。
ですから、この「公益及び公の秩序を誰が決めるの?」って言うと、その時の政治家たちなんですよ。
水野:
たとえば、TPPは国益であって、
伊藤:
そうです、そうそう、
水野:
って言ったら、それで決まっちゃうんですか?
伊藤:
それに反対する事を言ったりしちゃいけませんよ、というのが21条とかね、その方に出てきちゃってて、
たとえば、「原発推進です」という事を国が決めたとしたなら、
「原発推進」という、その国益に反したり、
「それが日本の秩序なんだ」ということを決められちゃうと、
それに反対をするような集会をしたりデモ行進をしたりだとか、
そういうものはもう簡単に規制されちゃうようになる。
水野:
あぁ……。
伊藤:
それからもっと言えば、たとえば夜中の12時以降は、クラブでダンスはダメですよとかね、
朝までカラオケなんて、そんな風俗を乱すようなことは許しませんよ。っていう事を、国が法律で決めちゃったら、もう、一切文句は言えない。
「そもそもあなたの権利は、公益や公の秩序の下でしか認められていないんだから」と
こう言われちゃうんですよ。
水野:
はぁ……。
たとえば、福島第一原発事故の時のSPEEDIに関してね、「情報を何で出さなかったんだ」っていいますけど、
あれも「公の秩序だ」って言われたら…、
伊藤:
そうです。
「混乱させちゃうといけないから」とかね、
「人々がパニックになって秩序を乱しちゃう、乱れちゃうといけないから出しませんでした」ということを、大っぴらに、今度はできるようになっちゃう。
水野:
憲法で。
伊藤:
そうです。
水野:
そうか……普通の国民は、それを求める事が出来にくくなっていくんだ。
伊藤:
そうですね。
「国民としてもっと知らせてほしい」とかいうこともそうですし、
自分たちがいろんな情報を発信したりだとか、ブログだとかツイッターだとか、フェイスブックだとか、
いろんなもので情報を発信したいという人も、沢山いると思うんですね。
でもそれが、「秩序を乱すようなことはダメですよ、一切だめですよ」ということにも、なりかねない。
水野:
なりかねないですね。
伊藤:
非常になんか、息苦しいというか、重苦しい、なんかそんな社会になっちゃうなと、私は思うんですけどね。
98条/新しく付け足す「緊急事態」
水野:
あの、つぎつぎ、私なんか知らない事ばっかりなんでね、もう、口をあけてビックリしている状況なんですけど、
98条というのも新しくつくるという話が、自民党では出ているそうで、
伊藤:
98条は、まるまる1章「緊急事態」という章を1個付け足すんですね。
水野:
第9章「緊急事態」
伊藤:
はい
水野:
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱などによる社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害、その他の法律で定める緊急事態に於いて、
特に必要と認める時に、法律の定めるところにより閣議にかけて、「緊急事態の宣言」を発する事が出来る。
伊藤:
はい。
水野:
「外部からの武力攻撃、内乱」なんて言うのもあるんですか!
伊藤:
ま、いろいろ書いてありますけどね。
水野:
あるいは、「社会秩序の混乱」でも、緊急事態を宣言できるっていう意味ですね。
伊藤:
そうです。
しかも、「その他法律で定める緊急事態」ですから、
水野:
あ、本当や!
伊藤:
法律でなんでも「緊急事態」と、
水野:
えぇっ!
伊藤:
決められちゃうんですよ。
で、この「緊急事態」というのは何者なのかというのを、知っておかないといけないんですけどね、
これは、次の99条というところの1項で、
「緊急事態の宣言が発せられるときは、
法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定できる」
水野:
どういう意味ですか?
伊藤:
難しいんですけどね、法律をつくるのは、普通は国会じゃないですか。
水野:
そりゃそうですよね。
伊藤:
国会が法律をつくりますよね。
ところが、これによって内閣が法律と同じような政令、つまり、内閣が法律をつくれる。
水野:
えーーっ!
伊藤:
国会じゃなくて、内閣が作れるんです。
水野:
そんなんじゃ反対する人いませんやん。
伊藤:
内閣がね、もう何でも自由に作れますよ。
どんな法律でも自由に作って良いですよ。
そういうのが、この99条1項。
それから、
水野:
緊急事態になったら、内閣が、
伊藤:
内閣が立法権を持っちゃうんです。
水野:
そしたら、いくら野党が「あかん」って言ったって、
伊藤:
そうです。緊急事態なんだから
水野:
どんどん作れるんですね。
伊藤:
緊急事態なんだから、財政上の支出もできる。
緊急事態だから、お金も使える。
水野:
お金も使えるんだ!内閣が決めたら使えるんだ。
伊藤:
それから、さらにその(99条)3項で、内閣がいろいろと国民に指示しますから、国民はそれに従わなくちゃいけなくなる。
水野:
そんな義務まで付いてるんですか!?
伊藤:
付いてます。
それで、いろんな人権が、様々制限されます。
水野:
制限してもいいんですか、国が。
伊藤:
たとえば、
「緊急事態だからツイッター2週間禁止」
「インターネット2週間禁止」
「デマが飛びかうとかえってまずいから、インターネットは2週間禁止です」
なんていう事が自由にできてしまう。
水野:
えぇぇ~、でも、そんな緊急事態が宣言できるって言うたら、よほどの事でしかできませんでしょ?
伊藤:
そうなるんですけれども、本当はよっぽどの事とじゃなければいけない筈なんだけれども、
この憲法のもとでは、法律で定めたなら何でもいいですよ、という事になっちゃうんですよね。
なっちゃってるんですよ。
そもそもね、この「緊急事態」っていうのは、たいがいの国にあるんです。
こういう条文というのは。
それがただ、たいがいの国というのは、ほとんどそうなんですが、戦争を前提にしてるんですよ。
戦争の時に緊急事態だから、「ちょっと制限しますよ」と「立法権は内閣が持ちますよ」「大統領が持ちますよ」と、そういうものなんですね。
言葉を換えれば、戦争する国は、緊急事態があります。
日本の憲法に無いのは、「戦争をしない」という憲法だから、今の憲法には「緊急事態」が無いんです。
前の明治憲法には、戦争する条文も、軍隊も、明治憲法にはありました。
だから緊急事態もちゃんとありました。
だから、この緊急事態は、戦争する国かどうかで、緊急事態があるかどうか
水野:
そうか!
伊藤:
ですから、3.11のね、あの災害のときの緊急事態の対応が必要だというのとは、それはちょっと違うんですよね。
水野:
違う意味ですよね。
伊藤:
災害対策の緊急事態は、法律で、ほぼ万全に対応出来ます。
ですから、あえて憲法に入れる必要はないんですね。
憲法の緊急事態は、ほとんどの全ての国は、戦争を想定した緊急事態。
それを日本も入れましょう。
なぜならば、さっき9条で言ったように、
「普通に戦争が出来る普通の国にしますから」ということなんですよね。
水野:
ん……。
伊藤:
先ほどね、自衛隊と軍隊の違いって、あんまりはっきり言えなかったんですけれども、
「軍隊」っていうのはもう、海外に出て、普通に戦争が出来るんですね。
で、人を殺すこともできちゃうのが普通の軍隊。
今の自衛隊はそれをできません。
で、海外に出て行って普通に戦争をし、集団的自衛権とか、多国籍軍に参加して、という事をやると、
当然、敵の国からは、「日本は敵だ」という事で、攻撃の、標的の的になる訳ですよね。
場合によっては、テロの標的になるかもしれません。
この前のボストンじゃないですけれども、「何が起こるか分からないよ」っていう国になっちゃうんですよ、日本が。
ですから、お友達を守ろうというのは、ま、いいんだけれども、
でも、お友達を守る結果、自分の家族が逆に殺されちゃうような事になる時にはね、
いくらお友達でも、
「ちょっと勘弁して」「あなたを助けたいんだけれども、でもあなたを助けるとうちの家族が殺されちゃうんだ」、「だからごめんね」っていうのが普通だと思うんですよ。
そんなときにね、
「お前の家族よりも、俺の方を助けろよ」なんていうふうに言ってくる友達はね、本当の友達じゃないと、私なんかは思うんですよね。
水野:
これ、緊急事態の宣言というところね、私今手元に、この自民党の草案というのを手にしましたけど、
そしたら、「内乱などによる社会秩序の混乱」っていうこともあるから、
何が社会秩序を混乱させているか?って言うのを決めるのは誰なんですか?
伊藤:
それはもう政府ですよ。国です。
水野:
政府が、社会秩序の混乱だと思ったら混乱なんですね。
伊藤:
そういうことです。
それで、「緊急事態だ」って言って「国防軍」を出動させるとか、緊急事態だからいろんな人権を制限しますよと、
水野:
た、たとえばですよ。
反原発・脱原発でデモをしてらっしゃる方々。首相官邸前が続いていますよね。
その時に、自動車の通行の制限って、一部あると思うんですよ。
たとえばそれを、「混乱」とみなすという事はあり得るんですか?
伊藤:
その制限を、たとえば「脱原発のデモ行進は四列にして下さいね」と、たとえば国から言われた。
それがちょっと人数が多くなって、ワッと車道にまで出ちゃったりとかね。
ちょっと乱れた形になったりすると、「これは社会秩序の混乱だ」というふうに言われかねない事はありますよね。
水野:
ああ!そういう可能性、恐れが出ている
伊藤:
それがもっとワーッと大きくなって、何十万という人が集まっちゃって、もう収集がつかなくなりそうだということになると、
それこそ、国防軍の発動とか、緊急事態の宣言だとかになりかねない。
水野:
またこの緊急事態の宣言は、なんか国会の承認も事後でもいいんですね。
伊藤:
そういう事になります。事後承認。
水野:
事後承認でもいいんですか?
伊藤:
そうなんですよ。
こんな、事後承認なんていう国はないと思いますね。
基本的には、国会の承認なり、とにかく極めて例外的な話ですから、厳しく厳しく憲法で縛らなければいけないのに、
ちょっとこの自民党の緊急事態は、ザルのような感じですね。
水野:
「緊急事態の宣言がはせられた場合は、なん人も、国や公の機関の指示に従わなければならない」
って書いてありますよ。
伊藤:
そうです。
水野:
これは、国民を縛る側の文言になるわけですか?
伊藤:
そういうことになります。
だから、こうしなさい、ああしなさいと言われたら従わなければならない。
それと、さっき言ったようにインターネットやなんだかも、出版もそう、ラジオもちょっと一時停止、ラジオの中身は事前に国がチェックします。
検閲みたいなものもできるという事です。
水野:
ただ、こうした具体的なところの話は、全然表には出てきてないですよね。
伊藤:
ま、自民党の人達に言わせれば、
「これは去年の四月に発表してますから」っていうことでしょうね。
「誰でもインターネットで見れるんですよ」
96条/権力側の暴走を許さないための知恵
水野:
まァ、見られるんですけどね。
96条を変えましょう、と安倍さんがおっしゃっておりますよね。
それについてはどう捉えてらっしゃいますか?
伊藤:
96条というのは、憲法改正の手続きの条文なんですね。
現在は、各院の総議員の3分の2以上の賛成で発議をし、それから国民投票になります。
この3分の2って、やっぱり意味があるんですね。
水野:
過半数じゃダメなんですね。
伊藤:
それを、「過半数にしよう」と安倍さんは言ってる訳なんですけど、
3分の2というのは、そう簡単に取れないですよね。
言いかえれば、反対野党も納得して初めて、3分の2になるわけですよ。
ですから、憲法改正というのは、そう簡単にやるものじゃない。
反対野党の人にも説得をし、十分納得をしてもらって、国会議員で発議をしましょうと。
そうしないと、国民投票だけだと、
国民投票も、実は私たち国民も情報操作に流されたり、ムード雰囲気に流されちゃう事がありますからね。
それは国民投票だけだとやっぱり危険だから、しかも、国民投票っていうのは、有効投票の過半数ですから。
国民の数じゃないんですよ。
で、投票に行きました。
ちょっと投票率が低くて20%でした。
その過半数。
すなわち、有権者の1割でも国民投票の過半数。
だから、そのワーッとムード、雰囲気で流れちゃって変な事にならないように、あらかじめ国会議員の3分の2というところで冷静に審議討論してもらって、
反対側も納得するような合理的な案になってから発議してもらうという、まぁこれは、国民の知恵と言いますかね。
水野:
権力側の暴走を許さないための知恵な訳ですね。
伊藤:
そうです。
それで、それをね、縛られる側の人達が、
「もっと自由になりたい、もっと自由に変えたいからハードルを下げてよ」って言っているのが、
この96条を過半数にしてという話ですよ。
だから、わたしたちからすれば、檻の中に入れていたライオンを、檻の外へ出しちゃう、自分たちで。
「ちょっとそれどうなの?」っていうところは考えないといけないかなって思うんですよね。
水野:
だけど、檻の外に出たライオンが何をするか?という事は全く今、意識されないで。
伊藤:
それが何をするんだ?って言うのが、今、前文からいくつか挙げてみてきましたよね。
「こういうふうに変えたい!」
だからハードルを下げてね、簡単に変えやすいようにしてね、と、安倍さんは言っているという事です。
水野:
なるほど。
これはこれからの論議の中で、もっと詳しくいろんな事を知っていかなきゃいけない事がいっぱいあると思いますので、またどうぞいろいろとお話を聞かせて下さい。
今日はどうもありがとうございました。
伊藤:
こちらこそありがとうございました。
水野:
報道するラジオ今日の憲法の話いかがでしたか?
リスナーの方は「伊藤さんの話わかりやすかったなぁ」とくださいました。
平野:
そうですね。
水野:
それから「自民党の憲法改正の草案って、思ってた以上に恐ろしいですね」というご感想。
あるいは「改憲と言えばすぐ戦争に結び付ける考えが、私には納得いかない」と
「今の憲法は、敗戦の時に外国人が決めたものであって、それを改正しようとすると反対だなどという事が理解できない。96条の改正に私は賛成です」
という改憲賛成だという方。
でね、平野さん、
今日ものすごく沢山頂いた中で、一番多かった象徴的なお声は、こういう方かもしれません。
「自民党は憲法改正を声高らかに言っていますけど、国民って、よく知らない事が多すぎませんか?よほど慎重に考えなきゃ」というお声です。
平野:
新しい草案を今お聞きすると、
今までずっと大事に守ってきた「主権在民」とかですね、「戦争放棄」というものが、ことごとく台無しにされるような流れですよね。
で、主権を極端に制限するということで、かつて井上ひさしさんという作家が、九条の会の発起人の方なんですけど、
「憲法は、国民が国家に命令をする事」と言ったんですけれども、
これは逆に、「国家が国民に命令する」憲法に変えられると、逆になりそうですよね。
水野:
誰を縛るものか?っていうのが、今まで国家の権力縛ってたのが、今度は国民を縛るものになる。んではないかということですね。
平野:
そうですね。
それで、やっぱり、この憲法というのは、世界的にも高い評価があったんですよね。
たとえば、パリ不戦条約とか国連憲章とか、権利の章典とか、様々な要素が入った、本当に「世界からの贈り物」と言われた位の素晴らしいものですけれども、
これがいよいよ、手続き論から入って本質の論議をせずにですね、国会議員だけでね、最初決める道をつくるというのは、
本当は「国民をないがしろにしたやり方だな」というふうに思いますよね。
水野:
今「手続き」の話だけが表に出てるので、「そうかいな、手続きやったら」って思いがちかもしれませんけど、
その後が何が変わるのか?っていうところをもっと見ておかないと。
平野:
そうですね、今お話があった全てが、これまでの憲法の性格をがらっと変える内容ですよね。
ま、一言で言うと、「戦争をしやすい国にしてしまう」と。
水野:
あ、戦争しやすい国。
平野:
そういう印象ですよね。
水野:
これ、ホームページで、自民党の草案というのは、もちろんどなたでもご覧いただく事が出来る。
私は今日、これを初めて見ましたけれど、ご覧になった方がいいと思いますね。
平野:
ねぇ。
水野:
そこから自分の考えを決めていくっていう、そういう時間を持たなきゃというふうに私は思いました。
↑以上、転載おわり
さて、ここまで読んでくれはったみなさん、どない思わはりましたか?
面倒やなあ、時間あらへんねん、別に戦争しやすい国になってもええんちゃう?
いろんな思いや環境があるとは思います。
お子さんが小そうて、マジで時間が無い親御さんもおられると思います。
けど、そのお子さんが成人した時にもし、日本が戦争しやすい国になってたとしたら……そういう想像をしてみてください。
戦争だけやありません。
自分の考えを自由に表現できる権利がすっかり奪われてたとしたら……、
なんや知らん、緊急事態の発令だらけで、いろんなことが制約されたり、違反したから言うて拘束されたりしてたとしたら……、
個人が人になって、数扱いされて、尊厳を損なわれてたとしたら……、
その時に政権についてる人間が、アホやなかったらええのですけど、今までの例を見る限り、あんまり期待もできません。
自分らはもうこの世におらんしなあと、無責任に日本の未来を放り出すのは、大人として最低の行為やと思います。
憲法をまず読む。
原文が読みにくいなら、読みやすいように解説してくれてはるのんがいっぱいありますから、それを読む。
とにかく、無い時間をなんとか調整して、主権者の責任を果たしてください。
こんなことを偉そうに頼んでるこのわたしも、ほんのちょっと前まで無責任丸出しの大人でした。
なんや、原発事故の後も、こないなこと言うてたなと思い出し、苦笑いしながらおでこ掻いてます。
時すでに遅しはまだ先です。
まだ手遅れなんかとちゃいます。
どうか、どうか、モノ知らずやったわたしと一緒に、憲法を知ってください!
お願いします!