今からもう、20年も前に、リオ・デ・ジャネイロで開かれた『地球サミット』での、セヴァン・スズキさんのスピーチです。
わたしはこの言葉全部を、今の日本の政治家に、企業に、学者に、報道関係者に、そして大人全員に受け取ってもらいたいと思います。
こんにちは、セヴァン・スズキです。
エコを代表してお話しします。
エコというのは、子ども環境運動の略です。
カナダの12才から13才の子ども達の集まりで、世界を変えるためにがんばっています。
あなた方大人たちにも、生き方を変えていただくようお願いするために、自分たちで費用を貯めて、
カナダからブラジルまで、1万キロの旅をして来ました。
私の話には、ウラもオモテもありません。
環境運動をしているのは、私自身の未来のため。
自分の未来を失うことは、選挙で負けたり、株で損したりするのとは違うんですから。
私がここに立って話をしているのは、未来に生きる子どもたちのためです。
世界中の、飢えに苦しむ子どもたちのためです。
そして、もう行くところもなく、死に絶えようとしている、無数の動物たちのためです。
太陽のもとに出るのが、私は恐い。
オゾン層に穴が空いたから。
呼吸をすることさえ恐い。
空気にどんな毒が入っているか分からないから。
父とよく、バンクーバーで釣りをしたものです。
数年前、体中、ガンで冒された魚に出会うまで。
そして今、動植物が、毎日のように絶滅していくのを、私たちは耳にします。
それらはもう、永遠に戻ってはこないんです。
私の世代には夢があります。
いつか、野生の動物たちの群れや、たくさんの鳥や蝶が舞うジャングルを観ることです。
でも、私の子どもたちの世代は、もうそんな夢を持つこともできなくなるのではないか?
あなた方は、私ぐらいの年の時に、そんなことを心配したことがありますか?
こんな大変なことが、ものすごい勢いで起こっているのに、私たち人間ときたら、まるでまだまだ余裕があるような、のんきな顔をしています。
まだ子どもの私には、この危機を救うのに、何をしたらいいのかはっきり分かりません。
でも、あなた方大人にも、知って欲しいんです。
あなた方も、解決策なんて持っていないことを。
オゾン層に空いた穴を、どうやって塞ぐのか、あなたは知らない。
死んだ川にどうやって、鮭を呼び戻すのか、あなたは知らない。
絶滅した動物を、どうやって生き返らせるのか、あなたは知らない。
そして、今や砂漠となってしまった場所に、森を蘇らせることは、あなたにはできない。
どうやって直すのかわからないのなら、壊し続けるのはもうやめてください。
あなた方は、政府や企業や団体の代表でしょう。
報道関係者や政治家かもしれない。
でもほんとうは、あなた方も、誰かの母親であり、父親であり、姉妹であり、兄弟であり、おばであり、おじであるのです。
そしてあなた方の誰もが、誰かの子どもなんです。
私はまだ子どもですが、ここにいる私たちみんなが、同じ大きな家族の一員であることを知っています。
そうです、50億以上の人間からなる大家族。
実は、3千万種類の生物からなる大家族です。
国境や政府が、どんなに私たちを分け隔てようとしても、このことは変えようがありません。
私は子どもですが、みんながこの大家族の一員であり、
ひとつの目標に向けて、心をひとつにして、行動しなければならないことを知っています。
私は怒っています。
でも、自分を見失ってはいません。
私は恐い。
でも、自分の気持ちを世界中に伝えることを、私は恐れてはいません。
私の国でのムダ遣いは大変なものです。
買っては捨て、また買っては捨て、また買っては捨て……。
物を浪費し続ける北半球の国々は、南半球の国々と、富を分かち合おうとはしません。
物が有り余っているのに、私たちは自分の富を、ほんの少しでも手放すのが恐いんです。
カナダの私たちは、十分な食物と水と住まいを持つ、恵まれた生活をしています。
時計、自転車、コンピューター、テレビ……、私たちの持っている物を数え上げたら、何日もかかることでしょう。
2日前、ここブラジルで、ストリートチルドレンと出会い、私たちはショックを受けました。
ひとりの子どもが、私たちにこう言いました。
「ぼくが金持ちだったらなあ。
もしそうなら、家の無い子すべてに、食べ物と着る物と、薬と、住む場所と、やさしさと愛情をあげるのに」
家も何も無いひとりの子どもが、分かち合うことを考えているのに、
すべてを持っている私たちが、こんなに欲が深いのは、いったいどうしてなんでしょう。
これらの恵まれない子どもたちが、私と同じぐらいの年だということが、私の頭から離れません。
どこに生まれついたかによって、こんなにも人生が違ってしまう。
私が、リオの貧しい地域に住む子どものひとりだったかも。
ソマリアの飢えた子どもだったかも。
中東の戦争で犠牲になる子どもだったかも。
それとも、インドで乞食をしている子どもだったかもしれないんです。
私はまだ子どもだけど知っています。
もし、戦争のために使われているお金を全部、貧しさと環境問題を解決するために使えば、
この地球は、すばらしい星になるでしょう。
学校で、幼稚園でさえも、大人は私たちに、世の中でどう振る舞うかを教えてくれます。
・争いをしないこと。
・話し合いで解決すること。
・他人を尊重すること。
・散らかしたら、自分で片付けること。
・他の生き物を、むやみに傷つけないこと。
・分かち合うこと。
・欲張らないこと。
ではなぜ、あなた方は、私たちにするなという事をしているんですか?
忘れないでください。
なぜあなた方が、こうした会議に出席しているのか。
いったい誰のためにやっているのか。
それは、あなた方の子ども、つまり、私たちのためです。
あなた方は、こうした会議で、私たちがどんな世界に育ち、生きていくのかを決めているんです。
親たちはよく、「大丈夫、すべてうまくいくよ」と言って、子どもたちを慰めるものです。
「この世の終わりじゃあるまいし」とか、「できるだけのことはしているから」とか。
でも、大人たちはもう、こんな慰めの言葉さえ、使うことができなくなっているようです。
私たち子どもの未来を、真剣に考えたことがありますか?
父はいつも私に、不言実行、つまり、何を言うかではなく、何をするかでその人の値打ちが決まる、と言います。
あなた方大人がやっていることのせいで、私たちは泣いています。
あなた方はいつも、私たちを愛していると言いますよね。
けれども私は敢えて、このことを言わせてもらいます。
もしその言葉が本当なら、どうか、本当だということを、行動で示してください。
ありがとうございました。
彼女は9才の頃から、環境保護の活動をしていました。
この地球サミットのことを知って、そこに行って、子どもたちの考えていることを伝えないといけないと決心し、スピーチをしたのです。
その後もずっと、環境の問題に取り組んでいて、ユーチューブで検索すると、たくさんのビデオを観ることができます。
『未来は誰のものなのか?
若い世代の人たちや、子どもたちのものです。
その未来のために、私たちが行動に移さなければいけません。
自分たちで環境のことを学んで、環境問題について考える。
ひとりひとりがリーダーとなり、未来を切り開かなければいけません。
リオから15年かけて発見したことのひとつは、地域から学ぶことです。
解決策は、周りにこそ存在している。
私たちの周りにいる人々から、学ばなければなりません。
年配者や、食物を育てられる人や、自分で服を作ることができる人から、地域の経済に貢献する術を知っている人から、
周りの人から学ぶことはたくさんあります。
私たちが何をすべきか。
未来をどう変えられるか、見えてくると思います。
なぜこんなに、温暖化が進んでいるのか?
なぜこんなに、海が汚れているのか?
なぜ核の力は、私たちを脅かすのか?』
↑
ここまでの言葉は、今から5年前の2008年に、北海道の洞爺湖で開かれたサミットに前後して録画されたものです。
そして、日本で何が起こっているのか、知る場所を作る、得る、行く。
この、世界規模の問題を、地域レベルで取り組む。
彼女のビジョンは、9才の頃からはっきりと明確にあり、それに向かって行動をし続けています。
今の日本の状態を見て、いったい彼女はどんなスピーチをするのやろう。
できたら彼女を国会に呼んで、トボケた老人や実年の政治家たちに、喝を入れてもらいたい、などと思いました。
わたしはこの言葉全部を、今の日本の政治家に、企業に、学者に、報道関係者に、そして大人全員に受け取ってもらいたいと思います。
こんにちは、セヴァン・スズキです。
エコを代表してお話しします。
エコというのは、子ども環境運動の略です。
カナダの12才から13才の子ども達の集まりで、世界を変えるためにがんばっています。
あなた方大人たちにも、生き方を変えていただくようお願いするために、自分たちで費用を貯めて、
カナダからブラジルまで、1万キロの旅をして来ました。
私の話には、ウラもオモテもありません。
環境運動をしているのは、私自身の未来のため。
自分の未来を失うことは、選挙で負けたり、株で損したりするのとは違うんですから。
私がここに立って話をしているのは、未来に生きる子どもたちのためです。
世界中の、飢えに苦しむ子どもたちのためです。
そして、もう行くところもなく、死に絶えようとしている、無数の動物たちのためです。
太陽のもとに出るのが、私は恐い。
オゾン層に穴が空いたから。
呼吸をすることさえ恐い。
空気にどんな毒が入っているか分からないから。
父とよく、バンクーバーで釣りをしたものです。
数年前、体中、ガンで冒された魚に出会うまで。
そして今、動植物が、毎日のように絶滅していくのを、私たちは耳にします。
それらはもう、永遠に戻ってはこないんです。
私の世代には夢があります。
いつか、野生の動物たちの群れや、たくさんの鳥や蝶が舞うジャングルを観ることです。
でも、私の子どもたちの世代は、もうそんな夢を持つこともできなくなるのではないか?
あなた方は、私ぐらいの年の時に、そんなことを心配したことがありますか?
こんな大変なことが、ものすごい勢いで起こっているのに、私たち人間ときたら、まるでまだまだ余裕があるような、のんきな顔をしています。
まだ子どもの私には、この危機を救うのに、何をしたらいいのかはっきり分かりません。
でも、あなた方大人にも、知って欲しいんです。
あなた方も、解決策なんて持っていないことを。
オゾン層に空いた穴を、どうやって塞ぐのか、あなたは知らない。
死んだ川にどうやって、鮭を呼び戻すのか、あなたは知らない。
絶滅した動物を、どうやって生き返らせるのか、あなたは知らない。
そして、今や砂漠となってしまった場所に、森を蘇らせることは、あなたにはできない。
どうやって直すのかわからないのなら、壊し続けるのはもうやめてください。
あなた方は、政府や企業や団体の代表でしょう。
報道関係者や政治家かもしれない。
でもほんとうは、あなた方も、誰かの母親であり、父親であり、姉妹であり、兄弟であり、おばであり、おじであるのです。
そしてあなた方の誰もが、誰かの子どもなんです。
私はまだ子どもですが、ここにいる私たちみんなが、同じ大きな家族の一員であることを知っています。
そうです、50億以上の人間からなる大家族。
実は、3千万種類の生物からなる大家族です。
国境や政府が、どんなに私たちを分け隔てようとしても、このことは変えようがありません。
私は子どもですが、みんながこの大家族の一員であり、
ひとつの目標に向けて、心をひとつにして、行動しなければならないことを知っています。
私は怒っています。
でも、自分を見失ってはいません。
私は恐い。
でも、自分の気持ちを世界中に伝えることを、私は恐れてはいません。
私の国でのムダ遣いは大変なものです。
買っては捨て、また買っては捨て、また買っては捨て……。
物を浪費し続ける北半球の国々は、南半球の国々と、富を分かち合おうとはしません。
物が有り余っているのに、私たちは自分の富を、ほんの少しでも手放すのが恐いんです。
カナダの私たちは、十分な食物と水と住まいを持つ、恵まれた生活をしています。
時計、自転車、コンピューター、テレビ……、私たちの持っている物を数え上げたら、何日もかかることでしょう。
2日前、ここブラジルで、ストリートチルドレンと出会い、私たちはショックを受けました。
ひとりの子どもが、私たちにこう言いました。
「ぼくが金持ちだったらなあ。
もしそうなら、家の無い子すべてに、食べ物と着る物と、薬と、住む場所と、やさしさと愛情をあげるのに」
家も何も無いひとりの子どもが、分かち合うことを考えているのに、
すべてを持っている私たちが、こんなに欲が深いのは、いったいどうしてなんでしょう。
これらの恵まれない子どもたちが、私と同じぐらいの年だということが、私の頭から離れません。
どこに生まれついたかによって、こんなにも人生が違ってしまう。
私が、リオの貧しい地域に住む子どものひとりだったかも。
ソマリアの飢えた子どもだったかも。
中東の戦争で犠牲になる子どもだったかも。
それとも、インドで乞食をしている子どもだったかもしれないんです。
私はまだ子どもだけど知っています。
もし、戦争のために使われているお金を全部、貧しさと環境問題を解決するために使えば、
この地球は、すばらしい星になるでしょう。
学校で、幼稚園でさえも、大人は私たちに、世の中でどう振る舞うかを教えてくれます。
・争いをしないこと。
・話し合いで解決すること。
・他人を尊重すること。
・散らかしたら、自分で片付けること。
・他の生き物を、むやみに傷つけないこと。
・分かち合うこと。
・欲張らないこと。
ではなぜ、あなた方は、私たちにするなという事をしているんですか?
忘れないでください。
なぜあなた方が、こうした会議に出席しているのか。
いったい誰のためにやっているのか。
それは、あなた方の子ども、つまり、私たちのためです。
あなた方は、こうした会議で、私たちがどんな世界に育ち、生きていくのかを決めているんです。
親たちはよく、「大丈夫、すべてうまくいくよ」と言って、子どもたちを慰めるものです。
「この世の終わりじゃあるまいし」とか、「できるだけのことはしているから」とか。
でも、大人たちはもう、こんな慰めの言葉さえ、使うことができなくなっているようです。
私たち子どもの未来を、真剣に考えたことがありますか?
父はいつも私に、不言実行、つまり、何を言うかではなく、何をするかでその人の値打ちが決まる、と言います。
あなた方大人がやっていることのせいで、私たちは泣いています。
あなた方はいつも、私たちを愛していると言いますよね。
けれども私は敢えて、このことを言わせてもらいます。
もしその言葉が本当なら、どうか、本当だということを、行動で示してください。
ありがとうございました。
彼女は9才の頃から、環境保護の活動をしていました。
この地球サミットのことを知って、そこに行って、子どもたちの考えていることを伝えないといけないと決心し、スピーチをしたのです。
その後もずっと、環境の問題に取り組んでいて、ユーチューブで検索すると、たくさんのビデオを観ることができます。
『未来は誰のものなのか?
若い世代の人たちや、子どもたちのものです。
その未来のために、私たちが行動に移さなければいけません。
自分たちで環境のことを学んで、環境問題について考える。
ひとりひとりがリーダーとなり、未来を切り開かなければいけません。
リオから15年かけて発見したことのひとつは、地域から学ぶことです。
解決策は、周りにこそ存在している。
私たちの周りにいる人々から、学ばなければなりません。
年配者や、食物を育てられる人や、自分で服を作ることができる人から、地域の経済に貢献する術を知っている人から、
周りの人から学ぶことはたくさんあります。
私たちが何をすべきか。
未来をどう変えられるか、見えてくると思います。
なぜこんなに、温暖化が進んでいるのか?
なぜこんなに、海が汚れているのか?
なぜ核の力は、私たちを脅かすのか?』
↑
ここまでの言葉は、今から5年前の2008年に、北海道の洞爺湖で開かれたサミットに前後して録画されたものです。
そして、日本で何が起こっているのか、知る場所を作る、得る、行く。
この、世界規模の問題を、地域レベルで取り組む。
彼女のビジョンは、9才の頃からはっきりと明確にあり、それに向かって行動をし続けています。
今の日本の状態を見て、いったい彼女はどんなスピーチをするのやろう。
できたら彼女を国会に呼んで、トボケた老人や実年の政治家たちに、喝を入れてもらいたい、などと思いました。