えらいもん聞いてきた。
えらいもん見てきた。
YUJA WANG
中国生まれの25才。
うちの息子らのちょうど間に生まれた、まだピアノ歴20年の女の子。
ぴったり体にくっついたミニスカートで現れて、人間離れした高度のテクニックと、どないしたらあんな柔らかでかすかな、けどもしっかりと歌ってる音が出せるのか、
彼女の指が鍵盤の上でひらひらキラキラガンガンポトポト動いてるのを、はじめっから終わりまで、逐一見続けてたのに、それでもわからん。
なんちゅう子や……。人間ちゃうな、多分。
友人のジェーンから、突如「チケット余ったから、一緒に行かへん?」と誘われて行った、Yuja Wangのピアノソロコンサート。
カーネギーの大ホール満員のお客さまが、総立ちで、拍手をやめへんかったから、かわいそうに、疲れ切ってるやろに、アンコールを5曲も弾いたYuja。
わたしらの席は、2階の、舞台に一番近いバルコニー席。
彼女の背中を上から見下ろす。
けども、真後ろから見下ろしてるから、鍵盤と彼女の指が丸々見える。
これで25ドルって、めっちゃええんとちゃうかしらん。
音はもちろん、カーネギーやから、どこに座っててもすばらしく聞こえてくる。
ああ、ほんまにびっくりした。
あまりのことに、拍手しながら笑えてきた。
プログラムは、リバーマンという1961年生まれの現代作曲家、ラフマニノフのピアノソナタの2番、休憩を挟んで、スクリャービンのピアノソナタの2番と6番、そしてラヴェルのLa Walse。
どの曲も、わたしが一生かかったって、完璧に弾けることは無いやろな……。
彼女の超絶技巧と表現の幅の広さに、人生の年月を経た深みと慈しみが加わったら、いったいどないなことになるんやろか。
めちゃ楽しみなピアニストに出会た夜。
今夜の最後に弾いたラヴェルのLa Valse。
この曲は、わたしにとって超~特別な曲。
離婚を決めて、それをまだ、旦那以外の誰にも言うてへんかった時に、ピアノの師匠が、「この曲を2台ピアノで一緒に弾かへん?」と誘てくれはった。
ふたりで弾くにしても、相当大変な曲やったけど、人生の区切りにはふさわしいと思てチャレンジした。
舞台で弾きながら、壮大なワルツを踊りながら、「ばいばい、わたしのこれまでの人生」と思いながら演奏した。
ソロ用にアレンジされてるとはいえ、わたしの2本の腕でキチキチ精一杯やった第二ピアノパートを、彼女はふふん♪という感じでバラバラと弾いていく。
これは彼女が20才の時の演奏。
この3曲のうちの最初の曲は、ショパンが弾きとうて弾きとうてかなんわたしに、しぶしぶ師匠が許可してくれた初めてのワルツ。
今夜のアンコールの中の、4曲めに弾いてくれた曲。
彼女が弾くスカルラッティを、今度は生で聞きたいと思う。
これは、彼女がどれだけとんでもない速さで、けども一音も欠かさず、バランスも巧妙にとって弾けるかの証明。やっぱり人間とは思えん……。
わたしはただ、わたしらしく、わたしのままでいたい。
それが彼女の、今現在の強い思い。
えらいもん見てきた。
YUJA WANG
中国生まれの25才。
うちの息子らのちょうど間に生まれた、まだピアノ歴20年の女の子。
ぴったり体にくっついたミニスカートで現れて、人間離れした高度のテクニックと、どないしたらあんな柔らかでかすかな、けどもしっかりと歌ってる音が出せるのか、
彼女の指が鍵盤の上でひらひらキラキラガンガンポトポト動いてるのを、はじめっから終わりまで、逐一見続けてたのに、それでもわからん。
なんちゅう子や……。人間ちゃうな、多分。
友人のジェーンから、突如「チケット余ったから、一緒に行かへん?」と誘われて行った、Yuja Wangのピアノソロコンサート。
カーネギーの大ホール満員のお客さまが、総立ちで、拍手をやめへんかったから、かわいそうに、疲れ切ってるやろに、アンコールを5曲も弾いたYuja。
わたしらの席は、2階の、舞台に一番近いバルコニー席。
彼女の背中を上から見下ろす。
けども、真後ろから見下ろしてるから、鍵盤と彼女の指が丸々見える。
これで25ドルって、めっちゃええんとちゃうかしらん。
音はもちろん、カーネギーやから、どこに座っててもすばらしく聞こえてくる。
ああ、ほんまにびっくりした。
あまりのことに、拍手しながら笑えてきた。
プログラムは、リバーマンという1961年生まれの現代作曲家、ラフマニノフのピアノソナタの2番、休憩を挟んで、スクリャービンのピアノソナタの2番と6番、そしてラヴェルのLa Walse。
どの曲も、わたしが一生かかったって、完璧に弾けることは無いやろな……。
彼女の超絶技巧と表現の幅の広さに、人生の年月を経た深みと慈しみが加わったら、いったいどないなことになるんやろか。
めちゃ楽しみなピアニストに出会た夜。
今夜の最後に弾いたラヴェルのLa Valse。
この曲は、わたしにとって超~特別な曲。
離婚を決めて、それをまだ、旦那以外の誰にも言うてへんかった時に、ピアノの師匠が、「この曲を2台ピアノで一緒に弾かへん?」と誘てくれはった。
ふたりで弾くにしても、相当大変な曲やったけど、人生の区切りにはふさわしいと思てチャレンジした。
舞台で弾きながら、壮大なワルツを踊りながら、「ばいばい、わたしのこれまでの人生」と思いながら演奏した。
ソロ用にアレンジされてるとはいえ、わたしの2本の腕でキチキチ精一杯やった第二ピアノパートを、彼女はふふん♪という感じでバラバラと弾いていく。
これは彼女が20才の時の演奏。
この3曲のうちの最初の曲は、ショパンが弾きとうて弾きとうてかなんわたしに、しぶしぶ師匠が許可してくれた初めてのワルツ。
今夜のアンコールの中の、4曲めに弾いてくれた曲。
彼女が弾くスカルラッティを、今度は生で聞きたいと思う。
これは、彼女がどれだけとんでもない速さで、けども一音も欠かさず、バランスも巧妙にとって弾けるかの証明。やっぱり人間とは思えん……。
わたしはただ、わたしらしく、わたしのままでいたい。
それが彼女の、今現在の強い思い。