この『浜岡原発の今とこれから』のビデオに収められている物事は、多分みなさんはもう、よくご存知のことだと思います。
けれどもつい先ほど、下記のこの中日新聞の記事を読み、いても立ってもいられないような気持ちになり、
ぜひもう一度、浜岡原発がなぜ、数ある原発の中でも最も危険であると見なされているのか、確認していただきたく思い、書き起こしをしてみました。
写真を数枚撮りましたが、いつものごとくボケボケです。すみません。
浜岡原発審査 14日にも申請
【中日新聞】2014年2月7日
中部電力が、浜岡原発4号機(御前崎市)の再稼働を目指し、14日にも、原子力規制委員会に安全審査を申請する方針を固めた。
「3月末までのできるだけ早い時期」と説明してきた中電としては、もっと早く申請する方針だったが、
津波対策や想定外のトラブルに加え、原発ゼロを掲げる立候補者が注目を集める、東京都知事選も絡んでずれ込んできた。
原発の新規制基準が、昨年7月に施行され、これに基づいて、規制委の安全審査が終わらなければ、再稼働は認められない。
これまでに7電力会社が、16基の審査を申請している。
浜岡など、福島第一原発と原子炉格納容器が同型の「BWR」と呼ばれるタイプは、特殊な排気設備の即時設置が義務付けられるなど、審査のハードルが高いとされる。
最大の課題は津波対策だ。
中電は、マグニチュード(M)9.1の南海トラフ地震を前提に、対策をしているが、
規制委は、審査ガイドの中で、南海トラフと南西諸島海溝との連動で起こり得る地震として、最大M9.6程度を「参考値」として例示。
中電はこの影響の調査、分析に時間を要した。
昨年11月には、人為的ミスで、5号機の非常用ディーゼル発電機のスイッチを入れ忘れ、再発防止策を御前崎市長らに報告したのは今月になった。
都知事選では、原発即ゼロを掲げた細川護熙元首相が立候補したため、「政治的に利用されかねない」(幹部)との判断で、選挙期間中の申請は避けたとみられる。
申請後も、規制委の指摘を受けて、調査や対策をやり直す電力会社が相次いでおり、再稼働を見通せない状況は続く。
地元自治体は、安全審査を受けることは容認する一方で、再稼働反対の声は根強く、
中電は、2015年9月末まで対策工事を進めながら、地元の理解を得られるかが焦点になる。
◆反対派「再稼働ありき」
浜岡原発の危険性を訴えて、再稼働に反対する人たちは6日、中部電力の安全審査申請について、
「再稼働を射程に入れている」「地震や津波の想定が不十分だ」と、反発や批判を強めた。
「再稼働申請にほかならない」。
東京電力福島第一原発事故前から、東京高裁で控訴審が争われてきた、浜岡原発運転差し止め訴訟の原告団長、白鳥良香さん(81)はこう強調する。
中電は「申請が再稼働とはリンクしない」(水野明久社長)との立場を繰り返すが、「再稼働反対が多い世論を意識し、苦しい言い訳をしているだけ」と白鳥さん。
「審査を通れば中電は、『浜岡が安全とのお墨付きを得た』と、再稼働を突き進めかねない」と語気を強める。
この日は、県内の弁護士らが中電に、浜岡の廃炉などを求めた訴訟の口頭弁論が、静岡地裁であり、
原告側は、海抜22メートルの防潮壁について、「中電は、何ら具体的に強度を立証していない」と述べるなど、安全対策の不十分さを指摘した。
原告兼代理人の一人、鈴木敏弘弁護士は閉廷後、
「中電は、どういう地震を想定しているかも明らかにしていない。申請は出せるのに訴訟には出さない。あまりに不誠実だ」と疑問を投げ掛けた。
これに対し中電は、閉廷後に記者会見で、「申請の準備でいろいろ検討しているが、まだ結果が出ていない。誠実かどうかという問題ではない」(寺田修一法務部長)と反論した。
◆一層の安全対策を UPZ圏内の磐田市
緊急防護措置区域(UPZ)にある、磐田市の山下重仁危機管理監は、
「浜岡原発の再稼働と安全審査とは別と考えているが、使用済み燃料棒が保管されている現状を考えると、なお一層の安全対策を最優先で進めるべき。
UPZ圏内に、12万7千人の市民がいるので、現段階では再稼働に賛成できない」とコメントした。
↑以上、転載おわり
参考に、完成しつつある防潮堤なるものを、ここに載せておきます。
こんな、ペラペラの、ふすまのでき損ないのようなもので、巨大な津波が防げるとでも、本気に思っているのでしょうか?
こんな意味の無いものに、いったいどれだけのお金を注ぎ込んだのでしょうか?
では、ビデオを観てください。
時間の無い方は、書き起こしの文章を、ピンぼけですみませんが、写真を参考にして読んでください。
ちなみにこのビデオは、静岡県の原発議連会長の自民党天野一県議を中心に、浜岡原発の設計者渡辺敦雄氏監修のもと、作成されました。
浜岡原発に関するリスク情報として、客観的かつ公正な内容になっています。
静岡県民と首都圏の方は特に、必見です!!
浜岡原発の今とこれから
この映像を契機に、今後の原子力発電、新エネルギーのあり方について、
浜岡原子力発電所の安全性を第一に、みなさまと一緒に考えてみたいと思います。
知っていますか?
浜岡原発を知っていますか?
もうすぐ再稼働されることを、知っていますか?
その決定が、静岡県民にかかっていることを、知っていますか?
2011年6月、フランスのドゴール空港にて、
静岡産とされるお茶から、基準値を超えるセシウムが検出され、廃棄処分となりました。
フランス当局は、静岡県産のすべての農産物を、(放射能濃度)検査対象とすることを決定。
また、EU委員会にも、これをEU基準とするよう上申しました。
県、そして農業従事者が受けた影響は、計り知れません。
しかし、この事態は、フランスの対応が厳しかったから起こったものでは、決してないのです。
シリーズ 静岡の未来
『浜岡原発の今とこれから』
農業・商工業・日常生活に与える影響
みなさん、こんにちは。
今回は、『浜岡原発の今とこれから』と題しまして、静岡県御前崎市にあります、浜岡原子力発電所の、
現在の状況と将来の展望について、整理・考察していきたいと思います。
2011年3月に起こった東日本大震災。そして、福島で起こった原子力事故。
それを受けて、全国の原発で、これまでの運用を見直す動きが起こり、2012年5月、実に42年ぶりに、国内の全原発が停止しました。
■『原発稼働停止』とは?
メディアでよく言われる『原発稼働停止』という言葉。
その言葉の正確な意味を、ご存知でしょうか?
原子力発電所の心臓部である『原子炉』。
その中では『燃料棒』と呼ばれるパーツが、核分裂反応によって、高熱を発し続けています。
原発が発電をしていない時でも、燃料棒は崩壊熱を発し続けており、それを冷やすための冷却水が、循環し続けています。
『原発稼働停止』とは、原子力発電所が『発電を止めている』という意味であり、
原子炉の状態を指す言葉ではありません。
原子炉内(貯蔵プール)には、今も変わらず、発熱を続ける燃料棒が収められています。
仮に、津波対策がうまくいったとしても、何らかの理由によって冷却機能が失われたならば、
燃料棒の温度は上がり続け、致命的な事態が起こるでしょう。
原発が稼働停止中であれば、地震が来ても大丈夫、などということは、決してないのです。
現在、浜岡原発では、稼働再開に向けて、大規模な津波対策工事が進められています。
浜岡原発を運営する中部電力は、解説映像の作成や見学会の開催など、安全性向上のアピールを積極的に行っており、
工事が終了する2015年、再稼働の申請を提出する予定です。
■浜岡原発の『位置』とは?
これは、世界の地震分布を図にしたものです。
日本とその近海に、地震が集中している様子がよくわかります。
これに、世界の原子力発電所の位置を重ねてみます。
日本以外の、世界中の原発が、地震の起こる地域を避けて建てられていることが、はっきりと分かります。
それでは、日本を詳しく見てみましょう。
これは、政府が毎年発表している、大地震の起こる確率を図にしたものです。
原発の位置を重ねてみます。
浜岡原発が、地震大国日本の中でも、もっとも危険とされる場所に建っていることが、よく分かります。
今後30年以内に、この場所が、震度6弱以上の地震に遭う可能性は、
2012年の発表で、約95%とされています。
■浜岡の『断層』とは?
人類の歴史が始まる前から、たくさんの地震にさらされてきた日本列島。
浜岡原発には、過去の大地震の痕跡、何本もの断層が、確認されています。
浜岡原発の敷地内を走る、複数の断層群は、H断層と呼ばれています。
原発内の建造物は、この断層を避けて建てられ、その間を配管がつないでいます。
これは、2012年に、SBSで放送された特集番組の中の、断層地帯における地震のイメージ模型です。
断層によって分断された地盤が、それぞれに違うタイミングで揺れ、その上にある建造物に、ダメージを与える様子が分かります。
浜岡原発敷地内には、原子力建屋とタービン建屋をつなぐ配管、海から冷却水を運ぶための配管が、縦横に走っており、
地震の際には、その両端が、違うタイミングの揺れに見舞われるのです。
これは、日本の原子力発電所を、上から見た図です。
どの原発も(建屋の順番において)、ほぼ同じ敷地レイアウトをしています。
海側から『タービン建屋』『原子炉建屋』、それが並行に並んでいきます。
断層を避けて主要施設を建てている、浜岡原発だけが、通常と逆、海側に『原子炉建屋』、その内側に『タービン建屋』を持ち、
また、それぞれの原子炉を、ばらばらに配置しているのです。
2012年に提出された、国会事故調査委員会最終報告書の中で、
福島第一原発において、津波到達以前に、配管の破断があった可能性が、指摘されています。
地震や津波の際には、複数の重要施設が同時に動かなくなる恐れがあり、
敷地内を断層が走る浜岡原発は、特に危険なのです。
■もしもの時、何が起こるのか?
ここからは、もし、浜岡原発で原子力事故が起こった場合、周辺地域にどのような影響が及ぶのか、それについて整理していきましょう。
これは、福島第一原発の事故後に発表された、放射性物質の拡散シミュレーションです。
細かい粒子が、西風に乗って、東へ運ばれてゆくさまが分かります。
この発生源を、浜岡原発の位置にずらしてみましょう。
空中にばらまかれた放射性物質が、静岡県から関東平野、東京を覆ってゆきます。
浜岡原発の近辺を見てみましょう。
ここに、福島第一原発事故で立ち入り禁止区域となった、半径20キロの円と、半径30キロの円を表示します。
静岡県のこの部分には、日本の東西をつなぐ交通の導線が、集中しています。
東海道新幹線、東海道本線、東名高速道路、新東名高速道路、国道一号線、そして静岡空港、
全てが、浜岡原発から30キロの圏内にあるのです。
地震大国である日本は、交通網の地震被害復旧について、東日本大震災の時にも、大きな力を見せました。
しかし、立ち入り禁止区域の中では、何もすることができないのです。
ここまで、浜岡原発の持つ、潜在的危険性について考えてきました。
ここで、現実問題として、浜岡原発を止めることは可能なのか。
再稼働を認めず、廃炉(永久停止)にしたとして、電力の供給に問題は無いのか。
その点を調べていきましょう。
これは、日本の電力会社の、発電電力量の電源別比率です。
中部電力の原発依存度は、原発を持たない沖縄電力を除けば、最低の12.3%にすぎません。
実際に、浜岡原発が稼働停止したあとでも、計画停電などの措置を行いませんでした。
中部電力は、原発が無くても、十分な電力供給を行える電力会社だといえるでしょう。
わたしたち日本国民が、これからも豊かな暮らしを維持していくためには、原子力という技術は必要なのかもしれません。
しかし、
全国17カ所の原発の中で、際立って高い、大地震と大津波の発生確率、
強固とは言い難い地盤の状態、
首都圏のすぐ西という立地、電力会社の低い原発依存度など、
静岡の浜岡原発は、他にはない条件を持っているのです。
東日本大震災、そして、福島第一原発の事故。
わたしたち日本人に突きつけられたのは、100%の安全は無い、という当たり前の事実でした。
ひとたび原子力事故が起これば、農業、漁業、観光業をはじめ、すべての経済活動が、大きな被害を受けます。
わたしたちが代々つちかってきたコミュニティが破壊され、当たり前の生活が失われてしまうのです。
一方で、原子力発電に頼らない選択をすれば、新エネルギー産業の一大拠点として、
また、廃炉技術開発の中心地としての、発展の可能性もあるのです。
わたしたちは、未曾有の原子力事故の時代を生きる人間として、この問題を真剣に考えてゆかねばなりません。
それが、この地で生きる未来の世代への、義務であり、責任なのです。
制作:
静岡県議会議員 天野 一
(静岡県議会 原発・総合エネルギー対策議員連盟代表)
協力:
工学博士 渡辺敦雄
(NPO法人 APAST事務局)
けれどもつい先ほど、下記のこの中日新聞の記事を読み、いても立ってもいられないような気持ちになり、
ぜひもう一度、浜岡原発がなぜ、数ある原発の中でも最も危険であると見なされているのか、確認していただきたく思い、書き起こしをしてみました。
写真を数枚撮りましたが、いつものごとくボケボケです。すみません。
浜岡原発審査 14日にも申請
【中日新聞】2014年2月7日
中部電力が、浜岡原発4号機(御前崎市)の再稼働を目指し、14日にも、原子力規制委員会に安全審査を申請する方針を固めた。
「3月末までのできるだけ早い時期」と説明してきた中電としては、もっと早く申請する方針だったが、
津波対策や想定外のトラブルに加え、原発ゼロを掲げる立候補者が注目を集める、東京都知事選も絡んでずれ込んできた。
原発の新規制基準が、昨年7月に施行され、これに基づいて、規制委の安全審査が終わらなければ、再稼働は認められない。
これまでに7電力会社が、16基の審査を申請している。
浜岡など、福島第一原発と原子炉格納容器が同型の「BWR」と呼ばれるタイプは、特殊な排気設備の即時設置が義務付けられるなど、審査のハードルが高いとされる。
最大の課題は津波対策だ。
中電は、マグニチュード(M)9.1の南海トラフ地震を前提に、対策をしているが、
規制委は、審査ガイドの中で、南海トラフと南西諸島海溝との連動で起こり得る地震として、最大M9.6程度を「参考値」として例示。
中電はこの影響の調査、分析に時間を要した。
昨年11月には、人為的ミスで、5号機の非常用ディーゼル発電機のスイッチを入れ忘れ、再発防止策を御前崎市長らに報告したのは今月になった。
都知事選では、原発即ゼロを掲げた細川護熙元首相が立候補したため、「政治的に利用されかねない」(幹部)との判断で、選挙期間中の申請は避けたとみられる。
申請後も、規制委の指摘を受けて、調査や対策をやり直す電力会社が相次いでおり、再稼働を見通せない状況は続く。
地元自治体は、安全審査を受けることは容認する一方で、再稼働反対の声は根強く、
中電は、2015年9月末まで対策工事を進めながら、地元の理解を得られるかが焦点になる。
◆反対派「再稼働ありき」
浜岡原発の危険性を訴えて、再稼働に反対する人たちは6日、中部電力の安全審査申請について、
「再稼働を射程に入れている」「地震や津波の想定が不十分だ」と、反発や批判を強めた。
「再稼働申請にほかならない」。
東京電力福島第一原発事故前から、東京高裁で控訴審が争われてきた、浜岡原発運転差し止め訴訟の原告団長、白鳥良香さん(81)はこう強調する。
中電は「申請が再稼働とはリンクしない」(水野明久社長)との立場を繰り返すが、「再稼働反対が多い世論を意識し、苦しい言い訳をしているだけ」と白鳥さん。
「審査を通れば中電は、『浜岡が安全とのお墨付きを得た』と、再稼働を突き進めかねない」と語気を強める。
この日は、県内の弁護士らが中電に、浜岡の廃炉などを求めた訴訟の口頭弁論が、静岡地裁であり、
原告側は、海抜22メートルの防潮壁について、「中電は、何ら具体的に強度を立証していない」と述べるなど、安全対策の不十分さを指摘した。
原告兼代理人の一人、鈴木敏弘弁護士は閉廷後、
「中電は、どういう地震を想定しているかも明らかにしていない。申請は出せるのに訴訟には出さない。あまりに不誠実だ」と疑問を投げ掛けた。
これに対し中電は、閉廷後に記者会見で、「申請の準備でいろいろ検討しているが、まだ結果が出ていない。誠実かどうかという問題ではない」(寺田修一法務部長)と反論した。
◆一層の安全対策を UPZ圏内の磐田市
緊急防護措置区域(UPZ)にある、磐田市の山下重仁危機管理監は、
「浜岡原発の再稼働と安全審査とは別と考えているが、使用済み燃料棒が保管されている現状を考えると、なお一層の安全対策を最優先で進めるべき。
UPZ圏内に、12万7千人の市民がいるので、現段階では再稼働に賛成できない」とコメントした。
↑以上、転載おわり
参考に、完成しつつある防潮堤なるものを、ここに載せておきます。
こんな、ペラペラの、ふすまのでき損ないのようなもので、巨大な津波が防げるとでも、本気に思っているのでしょうか?
こんな意味の無いものに、いったいどれだけのお金を注ぎ込んだのでしょうか?
では、ビデオを観てください。
時間の無い方は、書き起こしの文章を、ピンぼけですみませんが、写真を参考にして読んでください。
ちなみにこのビデオは、静岡県の原発議連会長の自民党天野一県議を中心に、浜岡原発の設計者渡辺敦雄氏監修のもと、作成されました。
浜岡原発に関するリスク情報として、客観的かつ公正な内容になっています。
静岡県民と首都圏の方は特に、必見です!!
浜岡原発の今とこれから
この映像を契機に、今後の原子力発電、新エネルギーのあり方について、
浜岡原子力発電所の安全性を第一に、みなさまと一緒に考えてみたいと思います。
知っていますか?
浜岡原発を知っていますか?
もうすぐ再稼働されることを、知っていますか?
その決定が、静岡県民にかかっていることを、知っていますか?
2011年6月、フランスのドゴール空港にて、
静岡産とされるお茶から、基準値を超えるセシウムが検出され、廃棄処分となりました。
フランス当局は、静岡県産のすべての農産物を、(放射能濃度)検査対象とすることを決定。
また、EU委員会にも、これをEU基準とするよう上申しました。
県、そして農業従事者が受けた影響は、計り知れません。
しかし、この事態は、フランスの対応が厳しかったから起こったものでは、決してないのです。
シリーズ 静岡の未来
『浜岡原発の今とこれから』
農業・商工業・日常生活に与える影響
みなさん、こんにちは。
今回は、『浜岡原発の今とこれから』と題しまして、静岡県御前崎市にあります、浜岡原子力発電所の、
現在の状況と将来の展望について、整理・考察していきたいと思います。
2011年3月に起こった東日本大震災。そして、福島で起こった原子力事故。
それを受けて、全国の原発で、これまでの運用を見直す動きが起こり、2012年5月、実に42年ぶりに、国内の全原発が停止しました。
■『原発稼働停止』とは?
メディアでよく言われる『原発稼働停止』という言葉。
その言葉の正確な意味を、ご存知でしょうか?
原子力発電所の心臓部である『原子炉』。
その中では『燃料棒』と呼ばれるパーツが、核分裂反応によって、高熱を発し続けています。
原発が発電をしていない時でも、燃料棒は崩壊熱を発し続けており、それを冷やすための冷却水が、循環し続けています。
『原発稼働停止』とは、原子力発電所が『発電を止めている』という意味であり、
原子炉の状態を指す言葉ではありません。
原子炉内(貯蔵プール)には、今も変わらず、発熱を続ける燃料棒が収められています。
仮に、津波対策がうまくいったとしても、何らかの理由によって冷却機能が失われたならば、
燃料棒の温度は上がり続け、致命的な事態が起こるでしょう。
原発が稼働停止中であれば、地震が来ても大丈夫、などということは、決してないのです。
現在、浜岡原発では、稼働再開に向けて、大規模な津波対策工事が進められています。
浜岡原発を運営する中部電力は、解説映像の作成や見学会の開催など、安全性向上のアピールを積極的に行っており、
工事が終了する2015年、再稼働の申請を提出する予定です。
■浜岡原発の『位置』とは?
これは、世界の地震分布を図にしたものです。
日本とその近海に、地震が集中している様子がよくわかります。
これに、世界の原子力発電所の位置を重ねてみます。
日本以外の、世界中の原発が、地震の起こる地域を避けて建てられていることが、はっきりと分かります。
それでは、日本を詳しく見てみましょう。
これは、政府が毎年発表している、大地震の起こる確率を図にしたものです。
原発の位置を重ねてみます。
浜岡原発が、地震大国日本の中でも、もっとも危険とされる場所に建っていることが、よく分かります。
今後30年以内に、この場所が、震度6弱以上の地震に遭う可能性は、
2012年の発表で、約95%とされています。
■浜岡の『断層』とは?
人類の歴史が始まる前から、たくさんの地震にさらされてきた日本列島。
浜岡原発には、過去の大地震の痕跡、何本もの断層が、確認されています。
浜岡原発の敷地内を走る、複数の断層群は、H断層と呼ばれています。
原発内の建造物は、この断層を避けて建てられ、その間を配管がつないでいます。
これは、2012年に、SBSで放送された特集番組の中の、断層地帯における地震のイメージ模型です。
断層によって分断された地盤が、それぞれに違うタイミングで揺れ、その上にある建造物に、ダメージを与える様子が分かります。
浜岡原発敷地内には、原子力建屋とタービン建屋をつなぐ配管、海から冷却水を運ぶための配管が、縦横に走っており、
地震の際には、その両端が、違うタイミングの揺れに見舞われるのです。
これは、日本の原子力発電所を、上から見た図です。
どの原発も(建屋の順番において)、ほぼ同じ敷地レイアウトをしています。
海側から『タービン建屋』『原子炉建屋』、それが並行に並んでいきます。
断層を避けて主要施設を建てている、浜岡原発だけが、通常と逆、海側に『原子炉建屋』、その内側に『タービン建屋』を持ち、
また、それぞれの原子炉を、ばらばらに配置しているのです。
2012年に提出された、国会事故調査委員会最終報告書の中で、
福島第一原発において、津波到達以前に、配管の破断があった可能性が、指摘されています。
地震や津波の際には、複数の重要施設が同時に動かなくなる恐れがあり、
敷地内を断層が走る浜岡原発は、特に危険なのです。
■もしもの時、何が起こるのか?
ここからは、もし、浜岡原発で原子力事故が起こった場合、周辺地域にどのような影響が及ぶのか、それについて整理していきましょう。
これは、福島第一原発の事故後に発表された、放射性物質の拡散シミュレーションです。
細かい粒子が、西風に乗って、東へ運ばれてゆくさまが分かります。
この発生源を、浜岡原発の位置にずらしてみましょう。
空中にばらまかれた放射性物質が、静岡県から関東平野、東京を覆ってゆきます。
浜岡原発の近辺を見てみましょう。
ここに、福島第一原発事故で立ち入り禁止区域となった、半径20キロの円と、半径30キロの円を表示します。
静岡県のこの部分には、日本の東西をつなぐ交通の導線が、集中しています。
東海道新幹線、東海道本線、東名高速道路、新東名高速道路、国道一号線、そして静岡空港、
全てが、浜岡原発から30キロの圏内にあるのです。
地震大国である日本は、交通網の地震被害復旧について、東日本大震災の時にも、大きな力を見せました。
しかし、立ち入り禁止区域の中では、何もすることができないのです。
ここまで、浜岡原発の持つ、潜在的危険性について考えてきました。
ここで、現実問題として、浜岡原発を止めることは可能なのか。
再稼働を認めず、廃炉(永久停止)にしたとして、電力の供給に問題は無いのか。
その点を調べていきましょう。
これは、日本の電力会社の、発電電力量の電源別比率です。
中部電力の原発依存度は、原発を持たない沖縄電力を除けば、最低の12.3%にすぎません。
実際に、浜岡原発が稼働停止したあとでも、計画停電などの措置を行いませんでした。
中部電力は、原発が無くても、十分な電力供給を行える電力会社だといえるでしょう。
わたしたち日本国民が、これからも豊かな暮らしを維持していくためには、原子力という技術は必要なのかもしれません。
しかし、
全国17カ所の原発の中で、際立って高い、大地震と大津波の発生確率、
強固とは言い難い地盤の状態、
首都圏のすぐ西という立地、電力会社の低い原発依存度など、
静岡の浜岡原発は、他にはない条件を持っているのです。
東日本大震災、そして、福島第一原発の事故。
わたしたち日本人に突きつけられたのは、100%の安全は無い、という当たり前の事実でした。
ひとたび原子力事故が起これば、農業、漁業、観光業をはじめ、すべての経済活動が、大きな被害を受けます。
わたしたちが代々つちかってきたコミュニティが破壊され、当たり前の生活が失われてしまうのです。
一方で、原子力発電に頼らない選択をすれば、新エネルギー産業の一大拠点として、
また、廃炉技術開発の中心地としての、発展の可能性もあるのです。
わたしたちは、未曾有の原子力事故の時代を生きる人間として、この問題を真剣に考えてゆかねばなりません。
それが、この地で生きる未来の世代への、義務であり、責任なのです。
制作:
静岡県議会議員 天野 一
(静岡県議会 原発・総合エネルギー対策議員連盟代表)
協力:
工学博士 渡辺敦雄
(NPO法人 APAST事務局)