ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

NHKが示す、日本の民主主義を本気で壊そうとしている勢力ののさばりっぷり!ど~ん!

2014年02月12日 | 日本とわたし
10日前に、ニューヨーク・タイムズに掲載された記事を紹介させていただきます。
いつも、海外の記事を翻訳してくださっている、星の金貨プロジェクトの小林順一さん、本当に頼りっ放しで申し訳ありません!!

↓以下、転載はじめ

【 日本を代表する報道機関、NHKの『公正と中立』が危ない! 】《前篇》

NHKは「日本の民主主義の基礎を作り上げる、大切な基盤の一部」であるはず
日本、民主主義の基礎を『本気で壊す』勢力が台頭

マーティン・ファクラー 
【ニューヨーク・タイムズ】2014年2月2日




まずはじめに、報道内容が「自由主義に『偏向』し過ぎている」として、前任の松本NHK会長が、政権与党の攻撃を受け、突然の辞任に追い込まれました。
これに対し今度は、後任に選ばれた会長が、今後NHKは、政府の方針に異議を唱えるつもりは無い、と暗に表明し、国民の怒りを買うことになりました。

さらに、それから数日後の2月2日木曜日、長年勤めてきたNHKのニュース解説者が、重要な選挙の前に、
原子力発電を批判するのを止めるように命令され、辞任することになった
と、怒りを込めて記者会見しました。
この事実に、批判が高まっています。

NHKにとっては、受難の時代がやって来たのかもしれません。
これまでNHKは、テレビ放送、ラジオ放送において、日本で最も権威ある報道機関と考えられてきました。
その存在を、英国BBC放送と比較する向きもありますが、現在は、スキャンダルの渦中にあります。

安倍晋三首相とその支持者が、日本国内のあらゆる分野において、右翼的政策を強要しようとしている中、
NHKの在り方についての現在の論争の背景にも、批判的な言論や報道を、力で抑えこもうとする安倍政権の姿勢がある、との批判が評論家などの間にはあり、
国内のリベラル的立場の人々は、懸念を深めています。
安倍首相はすでに、『愛国心を育てる』教科書の採用を、教育界に迫る一方、反対意見の方が多かった特定秘密保護法を成立させ
もともと秘密主義傾向の強さについて批判が多かった日本政府が、より一層その傾向を強めることを可能にしています。



こうした一連の動きは、中国・韓国との間に、もともとあった領土問題に加え、
戦後、長い間、深刻な紛争の火種となって来た、第二世界大戦中の歴史認識の問題により、
日本と両国との関係が、泥沼にはまり込んでいく過程において発生しました。

「私が心配しているのは、NHKが、これまでよりももっと体制を支持する性格を強め、日本政府の宣伝機関になってしまう事なのです」

野党議員である原口一博氏が、議会において、いつになく激しい口調で批判を行った金曜日、このように語りました。
NHKは、「日本の民主主義の基礎を作り上げる、大切な基盤の一部」であるはずなのです。

新しく就任した籾井勝人(もみい・かつと)会長が、海外向け放送において、
今後NHKは、日本の外交政策について、一切批判する事無く報道する、という姿勢を明らかにしたことも含め、
議会委員会の席上、議員が、新会長の見解を求めました。
領土紛争を含めた諸外国との外交紛争において、NHKはどのような報道姿勢を取るのかと尋ねられると、籾井会長は次のように答えました。

「政府が右というものを、我々が左という訳にはいかない」

籾井会長は、NHKが政府の方針に従うのは、『極めて自然な事』だと語ったのです。
籾井会長はさらに、特定秘密保護法の成立や、安倍首相の靖国神社訪問についても、批判的な報道を止めるべきだと語り、中韓両国の怒りを買ったのです。




しかし、籾井会長の一連の発言は、放送受信設備を持つ人すべてが、受信料の支払い義務を持ち、
『不偏不党、公正中立な報道』を行わなければならない、NHKの立場に反するものと言えます。

名目上、独立しているとはいうものの、予算に関する決定権を持ち、実質的にNHKの経営を行う12名の委員は、国会によって任命されます
この委員は、NHKの会長を、選挙によって選定しますが、現在の委員の内4人は、安倍政権によって任命されました

議会での質問に対する、籾井会長の誠意を欠いた対応は、
第二次世界大戦中に日本軍が行った、数々の戦争犯罪行為は無かったものとして、歴史を書き換えてしまう事も含め、
安倍政権が推し進めようとする、国家主義的政策に対する批判を、封じ込めようとしている同政権が、
NHKの経営委員会においても、その影響力を決定的なものにしようとしている、その点に対する疑いを、濃厚なものにしました。


この後、籾井会長は、自身が会長を務めるNHKも、報道をしたその証言について、『誤解』があると謝罪をしました。

「私の真意は、言論の自由と公正中立の報道を行う、という事です」

しかし、籾井会長が撤回するとした発言は、わずかひとつだけでした。

籾井会長は、第二次世界大戦中に、日本軍の占領地区の女性たちが、売春宿で働くことを強制された従軍慰安婦問題について、
「戦争地域には、どこの国にもあった」と発言しました。
その見解は、各国の数多くの歴史家によって否定されましたが、日本の国家主義者たちは、こぞってこの見解を支持しました

過去においては、安倍首相もその一人だったのです。
しかしこの撤回についても、心からそうしたようには全く見えませんでした。
籾井会長は、比較が適切では無かったとは謝罪せず、NHK会長として、『個人としての見解』について発言をするべきでは無かった、とだけ語ったのです。

組織の頂点に立つ籾井会長が、就任後わずか1週間で、公の場で、これ程の追及を受けてしまったことは、
夜のニュース番組が、他の小規模な民間放送局の報道の論調に、影響を与える程の力を持つ組織としては、恥ずべき事態です。

NHKは、高品質のドキュメンタリーや、子供番組から人気の高い時代劇まで、幅広い分野の番組を提供していることで知られます。
NHKは、歴史の転換点においても、重要な役割を果たしてきました。

昭和天皇が、第二次世界大戦を終わらせる、日本の降伏を国民に告げたのも、NHKの前身の放送局を通じてでした。

そして、この国の高度成長時代、労働者が大挙して、NHKラジオに合わせて屋外で体操をしたこともあったように、
その時代時代において、国民の生活と文化に、密接に関わってきました

2004年には、番組制作者が、愛人を東南アジアのリゾートへ連れだすために、NHKの番組制作費を着服していたことが明らかとなり、
日本国内では、4軒に1軒の割合で、月額1,000円~2,000円の放送受信料の、支払い拒否が発生しましたが、
今回は、その時以来の、NHKの企業イメージにとって、大きなダメージとなりました。

NHKは、2011年の福島第一原子力発電所の際、放射性物質が広範囲に拡散した状況を国民に隠したという、疑惑に直面したこともあります。

公共放送に対する、安倍政権による政治的介入が明らかにされたことは、安倍政権にとって新たな頭痛の種になりました
安倍政権は、特定秘密保護法を半ば強引に成立させたことにより、その支持率が下がり始めています



日本のジャーナリストの多くが、特定秘密保護法を、政府にとって不都合な真実を、報道関係者に伝えないように、国家公務員を脅迫する手段のひとつだと考えています。
日本のニュースメディアは、あまりに国家権力寄りだとして、世界の報道関係者から批判的な目で見られていますが、
安倍政権による一連の動きは、日本の報道の独立性を、一層窮地に追い込んでいます

「これは、著しい政治的干渉です。」
元NHKの政治記者で、現在は名古屋市近郊の椙山(すぎやま)女学園大学でmジャーナリズムの講義を行っている川崎 泰資(やすし)教授が、こう語りました。

「安倍政権は、報道を無力化するために、NHKの経営委員会に、自分たちに都合の良い人間たちをどんどん送り込んでいるのです」

日本政府の最高位のスポークスマンでもある菅義偉官房長官は、
NHKの経営委員の氏名には、政治的動機はあったが、安倍首相が個人的に信頼している人物を選んでいる、という指摘に対しては否定しました。

前任者であるNHKの松本雅行前会長は、昨年12月、次の任期につくつもりは無いと、突然発表しました。
他局や新聞報道によれば、松本前会長は、原子力発電や、沖縄の米軍基地の問題について、安倍政権の意に沿わない報道姿勢をにらまれ、
与党自民党による執拗な攻撃により、その座を去ることになった
、と伝えました。

NHKが、安倍首相の圧力に屈したのは、これが初めての事ではありません。

2005年に、安倍首相と自民党議員が、NHKが制作した番組の中から、
日本軍が従軍慰安婦を利用することを許可したことで、昭和天皇は有罪であるとした模擬裁判のシーンを、
削除するよう圧力をかけ、NHKがこれに従った
、とされる疑惑です。
NHKのプロデューサーによるこの証言を伝えたのは、日本最大の日刊紙のひとつ、朝日新聞です。
この場面が削除された背景に、政治的圧力があったとされる点については、NHKの幹部も安倍首相も、否定しています

そして昨年には、人気が高かったテレビニュース・アナウンサーである堀潤氏に対し、
アメリカに留学中に作成した、福島第一原子力発電所の事故を題材にしたドキュメンタリー映画について、
上司による6時間を超える審問が行われ、結局堀氏は、NHKを退職することになりました

このドキュメンタリー映画は、東京の小さな劇場で、今月上映されることになっています。

そして1月の末には、約20年間、コメンテーターを務めてきたNHKのラジオ番組で、
原子力発電の問題点について解説を行なおうとした、中北徹東洋大教授が、原発問題には一切触れないように強く求められ、担当した番組を降板しました



NHK側は、中北氏に対する要求について、原子力発電が争点の一つとなっている東京都知事選挙において、公平性を保つために行ったものだ、としています。

フリージャーナリストである堀氏が、NHK側の見解について、否定しました。
NHKは、権力機構に対して、反対意見を述べるのが難しい場所になってしまいました
堀氏がこう語りました。
日本の民主主義にとって、憂うべき状況です

〈 完 〉

http://www.nytimes.com/2014/02/03/world/asia/news-giant-in-japan-seen-as-being-compromised.html?_r=0


NHKを、『政府メディア』だとして攻撃することは簡単です。
しかしその前に、私たち国民のメディアを、私たちはその手から奪い去られた!
その意識を持つことが、必要なのではないでしょうか?
この記事を読んで、つくづくそう感じました。

私は、安倍政権の広報について、ゲッペルス並みの有能さを感じ取っています。
それは、民主党政権の『自壊』が始まった時から、感じ続けてきたものです。
この国が、これ以上あらぬ方向に走りださないよう、NHKの問題についても、みんなで考えていく必要がありそうです。


↑以上、転載おわり


そしてこれは、一昨日の記事。

JCJ、NHK会長らの辞任求める「最高責任者として不適格」
 
日本ジャーナリスト会議(JCJ)は10日、
従軍慰安婦問題に関して「どこの国にもあった」などと就任会見で発言した、NHKの籾井勝人会長の辞任を求める声明を出した。

声明は、従軍慰安婦問題の他に、
「政府が『右』と言うものを『左』と言うわけにはいかない」と発言した籾井会長が、
「公共放送の最高責任者として不適格だ」と指摘。

さらに、東京都知事選の応援演説で、旧日本軍による南京大虐殺を、「そんなことはなかった」と否定した百田尚樹氏と、
就任前に、右翼活動家の自殺をたたえる文章を、追悼パンフレットに寄せていた長谷川三千子氏の、NHK経営委員辞任も求めた。

声明は、
「NHKの公共性に鑑み、広く国民の意見が反映できるよう、選考方法を民主的に改革すべきだ」としている。
(共同)

↑以上、転載おわり

上記の記事に出ている3人は↓

コメント (4)
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