『原発ホワイトアウト』の、登場人物のモデルとなった新潟県知事の泉田氏。
彼のインタビュー記事から、引用させてもらいます。
◆メルトダウンしない前提の“安全基準”は、非常に危険だ!!
――『原発ホワイトアウト』を書いた現職官僚が,懸念しているのは、
外国に比べて甘い安全基準のまま、原発再稼働に突き進めば、結局、再びメルトダウンが起こってしまうということですが。
泉田:
それは同感です。
例えば、ヨーロッパの原発は、「メルトダウンは起きる」という前提で設計されている。
核燃料の冷却に失敗をすれば、溶けて下に落ちるわけです。
福島原発事故では、落ちたときに何の対処もしていないから、結果として、大量の放射能を放出してしまった。
そこで欧州では、「コアキャッチャー」という設備を設置して、メルトダウンした場合に、燃料が流れ込むようにしているわけです。
米国は、9・11テロの後に、規定を設け、いざというときに、部隊が緊急展開して、冷却できるシステムを持っている。
ソフトか、ハードで対応するのかの違いはあれど、「メルトダウンは起きる」との前提で考えているのが、世界の潮流です。
ところが、日本の技術委員会の議論を聞いていると、「メルトダウンが起きる」という前提の議論をしていないのです。
メルトダウンがいかに起きないのかを、必死で説明している。
これは、第二の安全神話を作るのにほかならないし、政府全体で原発輸出をしたら、製造物責任を問われる事態を招きかねない。
「メルトダウンは起きる」という前提で議論をしてもらわないと、本当に困るという意味で、
『原発ホワイトアウト』で言われているリアリティには同感です。
↑以上、引用おわり
どうしようというのでしょうか。
いったいどこへ向かおうとしているのでしょうか。
自分たちで自分たちのことを考え、決め、行動するということができない者たちに、長年の間に渡り、政治をさせ続けてしまったツケを、
今わたしたちは、払わされているのでしょうか。
原発は、すべての裏の闇とつながっています。
TPPは、単なる貿易協定ではありません。
そういう名前で誤摩化そうとしているのです。
TPPは、はっきり言って、軍事協定です。
どんな軍事協定か。
それは、中国を包囲し、圧力をかけ、いざという時には、アメリカを中心とした加盟国協賛の攻撃を加えるというものです。
そのためにはまず、軍を持たないでいる日本に持たさなければなりません。
さらに、米軍は、日本のみならず、韓国やフィリピンからも、撤退しようとしています。
ちまちまとあちこちに散らばらせるのではなく、サイパンに、巨大な軍のベースを置き、戦争となったら、日本、韓国、フィリピン、それぞれの自国の軍を派遣させる。
有事(これはもうほぼ中国を指していますが)の際は一緒に戦え、ということです。
そして、その指令を完ぺきに、邪魔のひとつも入らずに下すためにはまず、その国々の法律が機能しなくなる状態を予め作っておかなければなりません。
原発ももちろん、その一環を担っています。
すべては秘密裏に、どの国の議員も蚊帳の外に追い出したまま、その裏社会の商人などによる世界支配は、粛々と進められています。
本当に巧妙に、ありとあらゆる物事に絡ませながら、グローバルなどという言葉で誤摩化しているのです。
巨大企業、巨大金融……巨大という冠詞がつきそうな組織や企業には、いくつもの顔があります。
邪悪なものを隠すために、良いことをたくさんします。
わたしたちはもうそろそろ、誤摩化されていることに、気がつかなければなりません。
そうしないと、世界が壊れてしまいます。
ジャーナリスト神保哲生氏による、時事問題を扱う番組『ビデオニュース・ドットコム』より
↓以下、転載はじめ
自民党が原発をやめられない理由
2014年02月15日
安倍政権は、一体全体どんな展望があって、再び原発推進に舵を切ろうとしているのだろうか。
東京都知事選で、自民党が推す舛添要一氏が、脱原発を主張していた宇都宮・細川両候補に勝利したことで、
安倍政権は、懸案だった原発再稼働へ向けて、動き出した。
事実上、原発推進を謳ったエネルギー基本計画の策定作業も、速やかに進めるという。
当初、政府は、2030年代末までに原発ゼロを謳った、民主党政権のエネルギー基本計画を破棄し、
原発を重要なベース電源と位置づけた、新たなエネルギー基本計画を、1月中に閣議決定する予定だった。
しかし、原発ゼロを掲げる小泉純一郎元首相の後押しを受けた、細川護煕元首相の都知事選出馬で、にわかに原発問題が注目を集め始めたと見るや、
選挙後まで閣議決定を先延ばしにしてまで、原発が都知事選の争点となることを避けてきた経緯がある。
選挙から一夜明けた、10日の予算委員会で早速、安倍首相は、
エネルギーの「ベストミックス」を目指した、エネルギー基本計画の策定を進める意向を示した。
ベストミックスというのは、経産省が考え出した霞ヶ関文学で、
要するに、これからも原発を継続することの意思表明に他ならない。
政権中枢を含め、原発推進が主流を占める自民党内にあって、一貫して脱原発を提唱し続けている、衆議院議員の河野太郎氏は、
そもそも現在のエネルギー基本計画の原案では、自民党の選挙公約に違反していることを指摘する。
自民党は、政権に返り咲いた2012年の衆院選で、原発をあくまで「過渡期の電源」と位置づけ、できるだけそれを減らしていくことを約束していた。
今になって原発を、「重要なベース電源」とするのは、公約違反になるというわけだ。
河野氏が代表を務める、自民党脱原発派のエネルギー政策議員連盟は、政府のエネルギー基本計画の原案に対抗する形で、
原発の新増設・更新は行わず、核燃料サイクルも廃止して、「40年廃炉」を徹底することで、
緩やかに脱原発を実現するための提言を策定し、政府と自民党に提出している。
しかし河野氏は、自民党内では、実際に脱原発の声をあげられる議員の数は、党所属国会議員409人中、せいぜい50人前後ではないかという。
電力会社やその関連会社、電気事業連合会と経団連、そして、電力会社に依存する企業群や関連団体などから成る「原子力ムラ」は、
脱原発を主張する議員に対して、激しいロビー活動を仕掛けている。
多くの若手議員から、「原子力村から脅された」となどの相談を受けているが、
本心では原発をやめるべきだと考えている議員の多くが、こうしたロビー活動のために身動きが取れなくなっている実態があると指摘する。
原子力ムラは、政治家にとって命綱となる選挙を、物心両面で支えている。
パーティ券の購入や、政治献金などを通じた政治活動の支援も、電力会社本体はもとより、関連会社、下請け、関連団体などを通じて、幅広く行っている。
原発の再稼働を容認しないと発言した途端に、議員の集票や、資金集めに支障が出てくるといっても過言ではないほどの影響力がある、と河野氏は言う。
特に、やる気のある新人や若手議員は、選挙での支持基盤が脆弱なため、
電力会社から「次の選挙では支援しない」と言われれば、政治生命の危機に陥るような議員が大勢いるのが実情だ、というのだ。
そのような与党内の党内事情と同時に、もう一つ、日本が原発をやめられない明確な理由がある、と河野氏は指摘する。
使用済み核燃料の最終処分場を持たず、また核兵器を持たない日本は、原発から出るプルトニウムなどの、核のゴミを処理する方法がない。
そのため、日本の原発政策は、一度発電に使った使用済み核燃料を、再処理して再び燃料として再利用する、「核燃料サイクル」と呼ばれる遠大な計画が、その根底にある。
それがないと、日本の原発政策は、経済的にも、国際的にも、正当化できなくなってしまうのだ。
ところが、実際には、核燃料サイクル事業は、高速増殖炉「もんじゅ」の相次ぐ事故やトラブルで、何兆円もの国費を投入しながら、
まったく動いていないばかりか、2050年までは実現できないとの見通しを、政府自身が出す体たらくにある。
問題は、日本が核燃料サイクル事業を放棄した瞬間に、
電力会社が資産として計上している、膨大な量の使用済み核燃料がすべてゴミになってしまい、電力会社の経営状況が悪化してしまうことだ。
東京電力などは、債務超過に陥り、経営が破綻してしまう。
また、中間貯蔵を条件に、青森県六ヵ所村に保管してある使用済核燃料も、
燃料の再処理をしないのであれば、各電力会社が、それぞれ自分の出したゴミを引き取らなければならなくなってしまう。
元々、そういう条件で、青森県に置かせて貰っているのだ。
しかし、日本中の原発に併設された、使用済み核燃料プールは、既に70%以上が満杯状態にあり、どこもそれを引き取るだけの余裕はない。
また、原発の近くに、使用済み核燃料を保管することのリスクがいかに大きいかは、
今回、福島第一原発事故の際に、稼働していなかった4号機がどうなったかを見れば明らかだ。
河野氏が指摘するように、日本が原発をやめられない理由は、実は非常に単純明快だが、
問題は、日本という国に、この問題を解決するガバナビリティ、つまり、自らを統治する能力がないようなのだ。
民主党政権も、この2つの問題に、明確な解を出せなかったために、脱原発を目指しながら、最終的に策定した計画は、
「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」のような、やや意味不明なものになってしまった。
民主党よりも更に、物心両面で、原子力ムラへの依存度の高い自民党では、
「やめたければ原発をやめられる国」になれる見込みが、ほとんど持てそうもない、と言っていいだろう。
河野氏が率いるエネルギー政策議員連盟は、今回、政府と自民党に提出した提言のなかで、
最終処分場問題の解決には、明解な答えを出せる状態にないことを前提に、
(1)核燃料サイクルを廃止し、使用済み核燃料はゴミとして扱う
(2)それが理由で経営が悪化する電力会社に対しては、国が送電網を買い上げることで、公的支援を注入する(そうすることで、自動的に、発送電分離が進む)
(3)各原発が、六ヵ所村から引き取った使用済み核燃料は、最終処分場問題が解決するまでの間、サイト内にドライキャスク(乾式)貯蔵法によって保管することで、
地震や津波などで、使用済み燃料プールが損傷して、大惨事が起きるような危険な状態を回避すること
などを政府に申し入れている。
現在、政府が公表している新しいエネルギー基本計画は、あくまで原案であり、自民党内や国会での議論はこれからだ。
河野氏は、選挙公約に違反している部分については、党内議論の過程で徹底的に反対し、変えさせていきたいと抱負を述べるが、
果たして自民党に、それを受け入れる能力があるか。
注目したい。
本心で原発を推進したいのならいざ知らず、実はやめたいのにやめられないのだとしたら、やめられる状態を作っていくしかない。
なぜ自民党は原発をやめられないのか、どんな党内事情があるのか、やめるためにはどうすればいいのかなどを、
ゲストの河野太郎氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、議論した。
↑以上、転載おわり
彼のインタビュー記事から、引用させてもらいます。
◆メルトダウンしない前提の“安全基準”は、非常に危険だ!!
――『原発ホワイトアウト』を書いた現職官僚が,懸念しているのは、
外国に比べて甘い安全基準のまま、原発再稼働に突き進めば、結局、再びメルトダウンが起こってしまうということですが。
泉田:
それは同感です。
例えば、ヨーロッパの原発は、「メルトダウンは起きる」という前提で設計されている。
核燃料の冷却に失敗をすれば、溶けて下に落ちるわけです。
福島原発事故では、落ちたときに何の対処もしていないから、結果として、大量の放射能を放出してしまった。
そこで欧州では、「コアキャッチャー」という設備を設置して、メルトダウンした場合に、燃料が流れ込むようにしているわけです。
米国は、9・11テロの後に、規定を設け、いざというときに、部隊が緊急展開して、冷却できるシステムを持っている。
ソフトか、ハードで対応するのかの違いはあれど、「メルトダウンは起きる」との前提で考えているのが、世界の潮流です。
ところが、日本の技術委員会の議論を聞いていると、「メルトダウンが起きる」という前提の議論をしていないのです。
メルトダウンがいかに起きないのかを、必死で説明している。
これは、第二の安全神話を作るのにほかならないし、政府全体で原発輸出をしたら、製造物責任を問われる事態を招きかねない。
「メルトダウンは起きる」という前提で議論をしてもらわないと、本当に困るという意味で、
『原発ホワイトアウト』で言われているリアリティには同感です。
↑以上、引用おわり
どうしようというのでしょうか。
いったいどこへ向かおうとしているのでしょうか。
自分たちで自分たちのことを考え、決め、行動するということができない者たちに、長年の間に渡り、政治をさせ続けてしまったツケを、
今わたしたちは、払わされているのでしょうか。
原発は、すべての裏の闇とつながっています。
TPPは、単なる貿易協定ではありません。
そういう名前で誤摩化そうとしているのです。
TPPは、はっきり言って、軍事協定です。
どんな軍事協定か。
それは、中国を包囲し、圧力をかけ、いざという時には、アメリカを中心とした加盟国協賛の攻撃を加えるというものです。
そのためにはまず、軍を持たないでいる日本に持たさなければなりません。
さらに、米軍は、日本のみならず、韓国やフィリピンからも、撤退しようとしています。
ちまちまとあちこちに散らばらせるのではなく、サイパンに、巨大な軍のベースを置き、戦争となったら、日本、韓国、フィリピン、それぞれの自国の軍を派遣させる。
有事(これはもうほぼ中国を指していますが)の際は一緒に戦え、ということです。
そして、その指令を完ぺきに、邪魔のひとつも入らずに下すためにはまず、その国々の法律が機能しなくなる状態を予め作っておかなければなりません。
原発ももちろん、その一環を担っています。
すべては秘密裏に、どの国の議員も蚊帳の外に追い出したまま、その裏社会の商人などによる世界支配は、粛々と進められています。
本当に巧妙に、ありとあらゆる物事に絡ませながら、グローバルなどという言葉で誤摩化しているのです。
巨大企業、巨大金融……巨大という冠詞がつきそうな組織や企業には、いくつもの顔があります。
邪悪なものを隠すために、良いことをたくさんします。
わたしたちはもうそろそろ、誤摩化されていることに、気がつかなければなりません。
そうしないと、世界が壊れてしまいます。
ジャーナリスト神保哲生氏による、時事問題を扱う番組『ビデオニュース・ドットコム』より
↓以下、転載はじめ
自民党が原発をやめられない理由
2014年02月15日
安倍政権は、一体全体どんな展望があって、再び原発推進に舵を切ろうとしているのだろうか。
東京都知事選で、自民党が推す舛添要一氏が、脱原発を主張していた宇都宮・細川両候補に勝利したことで、
安倍政権は、懸案だった原発再稼働へ向けて、動き出した。
事実上、原発推進を謳ったエネルギー基本計画の策定作業も、速やかに進めるという。
当初、政府は、2030年代末までに原発ゼロを謳った、民主党政権のエネルギー基本計画を破棄し、
原発を重要なベース電源と位置づけた、新たなエネルギー基本計画を、1月中に閣議決定する予定だった。
しかし、原発ゼロを掲げる小泉純一郎元首相の後押しを受けた、細川護煕元首相の都知事選出馬で、にわかに原発問題が注目を集め始めたと見るや、
選挙後まで閣議決定を先延ばしにしてまで、原発が都知事選の争点となることを避けてきた経緯がある。
選挙から一夜明けた、10日の予算委員会で早速、安倍首相は、
エネルギーの「ベストミックス」を目指した、エネルギー基本計画の策定を進める意向を示した。
ベストミックスというのは、経産省が考え出した霞ヶ関文学で、
要するに、これからも原発を継続することの意思表明に他ならない。
政権中枢を含め、原発推進が主流を占める自民党内にあって、一貫して脱原発を提唱し続けている、衆議院議員の河野太郎氏は、
そもそも現在のエネルギー基本計画の原案では、自民党の選挙公約に違反していることを指摘する。
自民党は、政権に返り咲いた2012年の衆院選で、原発をあくまで「過渡期の電源」と位置づけ、できるだけそれを減らしていくことを約束していた。
今になって原発を、「重要なベース電源」とするのは、公約違反になるというわけだ。
河野氏が代表を務める、自民党脱原発派のエネルギー政策議員連盟は、政府のエネルギー基本計画の原案に対抗する形で、
原発の新増設・更新は行わず、核燃料サイクルも廃止して、「40年廃炉」を徹底することで、
緩やかに脱原発を実現するための提言を策定し、政府と自民党に提出している。
しかし河野氏は、自民党内では、実際に脱原発の声をあげられる議員の数は、党所属国会議員409人中、せいぜい50人前後ではないかという。
電力会社やその関連会社、電気事業連合会と経団連、そして、電力会社に依存する企業群や関連団体などから成る「原子力ムラ」は、
脱原発を主張する議員に対して、激しいロビー活動を仕掛けている。
多くの若手議員から、「原子力村から脅された」となどの相談を受けているが、
本心では原発をやめるべきだと考えている議員の多くが、こうしたロビー活動のために身動きが取れなくなっている実態があると指摘する。
原子力ムラは、政治家にとって命綱となる選挙を、物心両面で支えている。
パーティ券の購入や、政治献金などを通じた政治活動の支援も、電力会社本体はもとより、関連会社、下請け、関連団体などを通じて、幅広く行っている。
原発の再稼働を容認しないと発言した途端に、議員の集票や、資金集めに支障が出てくるといっても過言ではないほどの影響力がある、と河野氏は言う。
特に、やる気のある新人や若手議員は、選挙での支持基盤が脆弱なため、
電力会社から「次の選挙では支援しない」と言われれば、政治生命の危機に陥るような議員が大勢いるのが実情だ、というのだ。
そのような与党内の党内事情と同時に、もう一つ、日本が原発をやめられない明確な理由がある、と河野氏は指摘する。
使用済み核燃料の最終処分場を持たず、また核兵器を持たない日本は、原発から出るプルトニウムなどの、核のゴミを処理する方法がない。
そのため、日本の原発政策は、一度発電に使った使用済み核燃料を、再処理して再び燃料として再利用する、「核燃料サイクル」と呼ばれる遠大な計画が、その根底にある。
それがないと、日本の原発政策は、経済的にも、国際的にも、正当化できなくなってしまうのだ。
ところが、実際には、核燃料サイクル事業は、高速増殖炉「もんじゅ」の相次ぐ事故やトラブルで、何兆円もの国費を投入しながら、
まったく動いていないばかりか、2050年までは実現できないとの見通しを、政府自身が出す体たらくにある。
問題は、日本が核燃料サイクル事業を放棄した瞬間に、
電力会社が資産として計上している、膨大な量の使用済み核燃料がすべてゴミになってしまい、電力会社の経営状況が悪化してしまうことだ。
東京電力などは、債務超過に陥り、経営が破綻してしまう。
また、中間貯蔵を条件に、青森県六ヵ所村に保管してある使用済核燃料も、
燃料の再処理をしないのであれば、各電力会社が、それぞれ自分の出したゴミを引き取らなければならなくなってしまう。
元々、そういう条件で、青森県に置かせて貰っているのだ。
しかし、日本中の原発に併設された、使用済み核燃料プールは、既に70%以上が満杯状態にあり、どこもそれを引き取るだけの余裕はない。
また、原発の近くに、使用済み核燃料を保管することのリスクがいかに大きいかは、
今回、福島第一原発事故の際に、稼働していなかった4号機がどうなったかを見れば明らかだ。
河野氏が指摘するように、日本が原発をやめられない理由は、実は非常に単純明快だが、
問題は、日本という国に、この問題を解決するガバナビリティ、つまり、自らを統治する能力がないようなのだ。
民主党政権も、この2つの問題に、明確な解を出せなかったために、脱原発を目指しながら、最終的に策定した計画は、
「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」のような、やや意味不明なものになってしまった。
民主党よりも更に、物心両面で、原子力ムラへの依存度の高い自民党では、
「やめたければ原発をやめられる国」になれる見込みが、ほとんど持てそうもない、と言っていいだろう。
河野氏が率いるエネルギー政策議員連盟は、今回、政府と自民党に提出した提言のなかで、
最終処分場問題の解決には、明解な答えを出せる状態にないことを前提に、
(1)核燃料サイクルを廃止し、使用済み核燃料はゴミとして扱う
(2)それが理由で経営が悪化する電力会社に対しては、国が送電網を買い上げることで、公的支援を注入する(そうすることで、自動的に、発送電分離が進む)
(3)各原発が、六ヵ所村から引き取った使用済み核燃料は、最終処分場問題が解決するまでの間、サイト内にドライキャスク(乾式)貯蔵法によって保管することで、
地震や津波などで、使用済み燃料プールが損傷して、大惨事が起きるような危険な状態を回避すること
などを政府に申し入れている。
現在、政府が公表している新しいエネルギー基本計画は、あくまで原案であり、自民党内や国会での議論はこれからだ。
河野氏は、選挙公約に違反している部分については、党内議論の過程で徹底的に反対し、変えさせていきたいと抱負を述べるが、
果たして自民党に、それを受け入れる能力があるか。
注目したい。
本心で原発を推進したいのならいざ知らず、実はやめたいのにやめられないのだとしたら、やめられる状態を作っていくしかない。
なぜ自民党は原発をやめられないのか、どんな党内事情があるのか、やめるためにはどうすればいいのかなどを、
ゲストの河野太郎氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、議論した。
↑以上、転載おわり