ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

猛暑の中の畑仕事&海ちゃんの初脱走

2016年05月30日 | ひとりごと
今日でメモリアルデーの3連休が終わる。
連休初日の土曜日に、どうしても畑に苗を植え替えなければならなかったので、30℃超えになる前に済まそうとしたのだけど…、

歩美ちゃんとふたり、いや、今回は夫も加わって(オーガニックのフンのカホリも豊かな土を買ってきて)くれたりして、
ひとまず、小松菜と水菜、それから菊菜とケールのちびっこ苗さんたちを、畑に移動させた。


このケールさんは、去年から土の下で、特に寒さが厳しかった冬を越えて生えてきた。


懐かしい匂いがした。
ちっちゃい頃、レンゲ畑にペタンと座り、レンゲの花輪を作った時の、風に乗って時々運ばれてきた匂いだ。


太陽熱にからっきし弱いわたしは、作業が終わる前から息切れがして、夫に何度も叱られた。
水分補給をしっかりしなければ危ないってこと、また忘れてるのか!

慌てて家の中に入り、夫が前庭のミントとカフェイン抜きの緑茶で作ってくれたミントティーを飲み、ホッと一息つく。
でも、ほっぺたは真っ赤でジンジンするし、身体中汗まみれ。
あとはとにかく、下に長く伸びる大根さんの苗をどうするかだ。
裏庭の畑は、下が砂利なので、葉物しか植えられないのだ。

思案した結果、去年サツマイモを植えたところに土を足して、そこに植えることにした。(真ん中の少し黒い部分。手前の柵の中はトマトさん。)


それから、レモングラス、タイム、セージ、三つ葉、コリアンダー、ミント、パセリなどのハーブ組と、まだ芽が出ていないアルファルファなどの苗床も一緒に。


ひとり大奮闘中のゴーヤさん。


歩美ちゃんが見っけた、藪の中でこっそり育ってくれていたイチゴさんたち。


いやあ、それにしても暑かった。
ギンギンに熱せられた太陽を引き連れて、いきなり現れた夏に、完全ノックアウト。
でも、夕方には少し熱が引き、涼しい風もたまーに吹き始めた。
隣のエステラ&ロバート夫婦と一緒に、彼らの家の広々とした玄関ポーチから、わたしたち4人で手に入れた庭を眺めながらおしゃべりした。
おしゃべりの中で、ロバートから、
「オバマ氏が広島を訪問したこと、まうみはどう思ってるの?」と聞かれたりした。
このことについては、これから記事に書こうと思ってるので、また後ほど。

ロバートの故郷ケニアの写真を、いっぱい見せてもらった。
赤い土と生い茂る木々の緑。
そして野生動物と大きな太陽。
暑いけれども湿度が低いので、家の中では一度も汗をかいたことが無かったと聞いて、その空気をうっとりと想像する。
「だからアメリカの暑さには驚いた」と言うロバートを、「ここで驚いてたら日本の夏には気絶させられるよ」と脅かしてやった。

楽しい時間を過ごして家に戻ると、空しかいない。
また海は、スネてどこかに隠れてるのだな。
そんなふうに思い、目ではあちこち探しながら、片付けをし、シャワーで汗を流し、寝る前の猫トイレの掃除をした。
わたしたちが家に戻ってから、すでに3時間近く経っていた。
トイレを掃除し始めると、必ず猫たちはやって来て、作業を眺めたり、掃除した後のトイレで用を足したりするのに、
わたしの周りをウロウロするのは空だけ…。
さすがに本格的に心配になってきた。
もう何度も行き来した三階から地下室までを、もう一度ゆっくり、居るわけもないところまで探す。
でも見つからない。
狼狽えるわたしに、空がついてくる。
きっと空も心配なのだ。
海はニャーンと鳴けないので、どこかに挟まってしまっていても、わたしたちに知らせることができない。

起きていても仕方が無いが、かといって眠ることもできない。
しんと静まり返った家の中のどこかから、彼の掠れた、彼独特の鳴き声が聞こえてこないかと、耳を澄ませながら徘徊する。
空も一緒に歩いてくれる。
ほとんど一睡もできないまま夜が空けた。
寝室のドアを開けておいたので、ベッドに横になっているだけのわたしに、空がぴったりとくっついてくれた。

朝の4時ぐらいから、まだ真っ暗なのに、鳥たちは鳴き始める。
そう夫が言っていた通りに、にぎやかな鳥の歌声が聞こえてきた。
明るくなるまで待って、まさかとは思うけれども、外を探してみよう。

まだ冷んやりしている朝の空気の中、海の名前を呼びながら、近所をあちこち歩いた。
ショーティが1日だけ居なくなった時、見つけて欲しいと頼みに行ったカエデの爺さんにも、またお願いをした。
家に戻り、ショーティのお墓を部屋の窓から見ると、そこに海ととてもよく似た子猫が居て、わたしの方を見上げていた。
海ちゃん?
いや、違う、背格好も模様も、どちらもとてもよく似ているけれど、目が違う。
夫を呼んで、その子を見てもらおうとしたら、その子はとっとと道の方に行ってしまった。
夫はその子を追いかけて行き、わたしはショーティに、海を守ってとお願いしようと、彼女のお墓に近づいて行くと、
居た!
海が居た!
ショーティが死んだ日のお昼間に、すっかり弱ってしまった彼女を守るように、抱きしめてくれていた紫陽花の木の下に(写真はショーティ)


その日の彼女と全く同じ座り方で、葉っぱに包まれて、わたしの方を真っ直ぐに見つめていた。


あまりのことに鳥肌が立った。
嬉しくて、ありがたくて、涙が出た。
海!
そう呼ぶと、彼はハーッと威嚇した。
恐かったね、もう大丈夫だから。
そう言いながら手を伸ばすと、恐々、少しずつ近づいてきて、その後わたしの指にスリスリした。

彼がどうやって外に出たのか。
それがどうしてもわからなかった。
最近特に、外に興味がわいていて、ドアのそばでチャンスを狙っていることもあったのだけれども。
お隣で話し込んでいる間中、玄関ドアに鍵をかけておかなかったので、誰かが入ったか?
いや、それも考えられない。
空も海も、よその人が入ってくると決まって、脱兎の如く走り去り、どこかに隠れたまま出て来ないのだから。

夕方から、マンハッタンに出かける用事があって、戸締りの準備をしている時に、夫がとうとう見つけた。
「あ、ここからだ!」
なんと、ピアノのすぐ後ろの窓の、わずか5センチの隙間(なぜか網戸がズレていた)から、あのぶっといお腹をウンウンと絞って、外に出たのだ?!
恐るべし猫の柔らかさ…。
外から聞こえてくるわたしたちの話し声につられて、とうとう家からの脱出に成功した海。
暗い中、スカンクやグラウンドホッグなどの野生動物に攻撃されることもなく、車に轢かれることもなく、無事に戻ってきてくれてありがとう。
彼を失うことのないよう、わたしたちも含めて守ってくれたショーティ、ありがとう。

戻ってからの海は、思いっきり甘えん坊になった。
その夜、一晩中雨が降り、その音に包まれながら眠った。

たっぷりとお水を飲んだ植物はみな、とても満足そうだ。
金柑みたいだけども金柑ではない木。


カエデの爺さんにもありがとう。


裏庭に出ているわたしを、キッチンの窓の網戸越しに、じぃーっと見ている海。


玄関に回ると、はやくもこちらに移動していた。


外への興味はさらに増した様子なので、うんと気をつけなければならない。

ほんとに長い間、楽しませてくれてありがとう。
コメント (2)
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