ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

米国「『BLACK LIVES MATTER』 (黒人の生命 “も”また、同等に大切なものだ)」事情

2020年06月07日 | 日本とわたし
アメリカ国内、そしてわたしの町でも、毎日どこかで抗議集会が行われています。

テレビを観ない、ニュースも近所周辺の身近なものだけで全国のものを読まないわたしは気がつかなかったのですが、
ここ数ヶ月に、黒人が警察官によって殺される事件が立て続けに起きていて、なのにその警察官の多くが処罰を受けなかったり、受けるにしても長い時間がかかったりしていたところに、
先月末に、武器の所持もなく丸腰だったジョージ・フロイド氏を、パトカーの脇の道路にうつ伏せに押さえ込み、彼の首に膝を食い込ませたまま殺害する現場のビデオがSNSで拡散されて、人々の怒りは沸点に達したのでした。
ジョージ氏は何度も、「息ができない」「おかあさん」「助けてほしい」と言っていました。
ビデオを撮っていた、多分一般の人たちも、「その膝を外して」「やめて」と叫んでいましたが、なぜかその警官は全てを無視してグイグイ押し続けたのです。
警官は一人ではなく、すぐ近くに3人の警官が居たのですが、誰一人止める者はいませんでした。
それがどうしてもわたしには理解できません。
相手は銃を携帯しているので、一般の人間が下手に動くと撃たれる可能性があるので、怖くて止めになんて行けないのですから。

ずっと前にも書いたと思いますが、わたしも一度、とても恐ろしい目に遭ったことがあります。
こちらに移り住んでまだ間もない頃で、生徒の家に出張レッスンをしに向かっていた時のことでした。
いつものコースの通りを車で走っていたのですが、すぐ前の車が脇道に駐車しようとしては止め、またしかけては止めるので、レッスンに遅れそうになっていたわたしは、その車がとうとう脇に外れてくれたので、アクセルを踏み込もうとした瞬間、いきなり後ろの車からけたたましいサイレンの音が鳴ってびっくりしてブレーキを踏みました。
一瞬のことでよくわからなかったのですが、どうやらわたしの車の後ろには2台のパトカーがついてきていたようです。
あっという間にその2台のパトカーに挟まれる形で停車して、一体何がどうなったのか訳がわからないまま様子を見ていると、
まず二人の警官が銃に手をかけながら、わたしの前をヨロヨロと走っていた車に向かいました。
そして別の二人の警察官が、わたしの車の運転席側と助手席側の窓の外に立ち、わたしに銃を向けて叫び始めたのでした。
ちょ、ちょっと、ちょっと待って、いや、何これ、怖い!!
手を下ろしたり、どこかに持っていったりすると撃たれるから、絶対にしてはいけないと聞いていたので、とにかく万歳をして、恐る恐る警察官の顔を見ました。
まだそんなに英語に自信が無かった頃だったし、二つの銃口がわたしをしっかりと睨みつけているのが恐ろしくて、とにかく撃たないで欲しいと懇願しました。
結局、わたしはただのピアノ教師で、生徒の家に向かっているだけの中年おばさんだということをわかってもらえたのですが、しばらくは身体中の震えが止まりませんでした。
全ては運の悪い偶然が重なったことからきた誤解だったのだけど、わたしはその警察官たちが追っていた麻薬取引の常習犯のアジア人女性の仲間で、捜査の邪魔をしたと思われてしまったのでした。
そんな経験があるので、もちろん殺された黒人の人たちの恐怖とは比べものにはならないのですが、とても他人事とは思えないです。

全国各地で様々な抗議行動が発生しています。
近所でも毎日、どこかで、平和的な抗議集会が開かれています。
はじめの頃は怒りが強過ぎて、それを利用しようとやって来た「白人至上主義」のグループに乗せられて、破壊行為が頻繁に起きてしまいました。
けれどもすぐに、それではダメだ、そんなことをしてはいけないと、殺害された家族や著名人、そして自治体の長などからのメッセージが出て、形はどんどんと変わってきました。

いつかそのいろんな形の抗議集会やマーチをまとめて残しておきたいと思っています。

その中の一つ、何かこう、胸のすくような抗議を紹介したいと思います。
ワシントンD.C.のバウザー市長が昨日の5日に、とてつもなくデッカイ文字(↓の動画を観てください)をホワイトハウス周辺の通り(通称十六番通り)にペイントしたのです。
この通りはホワイトハウスに向かっており、先日1日に、トランプ大統領が、最寄りの教会に徒歩で向かうために、デモを行っていた市民に催涙ガスなどを噴射して強制排除したことへの抗議の意思を示すものでした。
文字は『BLACK LIVES MATTER(ブラック・ライヴズ・マター)』。
『黒人の生命 “も”また、同等に大切なものだ』という、黒人差別解消を求める運動の象徴となっている標語です。
通りの名前もこの標語になりました。
米中西部ミネソタ州で、丸腰の黒人男性ジョージ・フロイド氏が、白人警官に首を圧迫されて死亡した事件に抗議するデモに連帯を表明しています。
黒人女性のバウザー氏は5日、
「米国では平和な集会を開き、政府に抗議し、変革を求めることができる。私たちがここではっきりと示したいのはただそれだけだ」と言いましたが、
案の定トランプ大統領はカンカンで、ひどい言い方で口撃しているようです。
Black Lives Matter mural painted on the road to the White House in Washington DC

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今日の夜の散歩道から

子どもたちからのメッセージ「安全でいてね」

なんか不思議な雰囲気の植物

大木並木

通りの角に設置された「自由文庫」

今日の突然のゲリラ雨と突風で折れてしまった枝

弛緩の極み

コメント
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