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- まず、外国の公務員であっても日本の公務員ではないので、カイロ大学が作成する卒業証書は私文書です。
- カイロ大学の卒業証書は、カイロ大学の印章、学長の署名等があり、卒業したという事実証明に使われるものですから、刑法159条にいう「文書」に該当します。
- 小池氏が、何かの事情で、本物の卒業証書を紛失したならば、その再発行か卒業証明書の発行を申請すれば済むことで、
- もしも彼女が、みずからの判断で〈カイロ大学卒業証書〉を、名義人(カイロ大学)の承諾なしに勝手に作成したのならば、刑法159条で書かれている「偽造」に当たります。
- かりに小池氏が、カイロ大学に、「卒業証書を失くしたので、自分で卒業証書を作成しても構わないか」と問い合わせをし、カイロ大学がそれを了解したならば、「偽造」ではないと解される可能性はありますが、そのようなことは絶対にありえないことです(判例によれば、そのような場合でも文書偽造罪になります)。
- なお、文書偽造は、「行使の目的」でなされる必要がありますが、「行使」とは他人に交付したり、提示したりすることですから、小池氏の場合には問題なく認められます(実際に「行使」しています)。