ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

そもそも、事故原発や地震だらけの厳しい自然を抱えた国が、オリンピックをやろうと思うことが間違っている

2016年05月17日 | 日本とわたし
何年かごとに、巨大地震や、これまでにない異様な数の地震が続いている国です。
被害に遭い、今なお大変な思いをして暮らしている国民を、町を、十分に支え助けるためのお金が足りない国です。
地震は今後、絶対に起こらないとは言えない、そういう厳しい自然の運命を抱えた国です。
先の大地震で爆発した、事故原発の処理の展望すら、今だに見えないまま、放射能で自国はもちろん、周りの国々を、地球を、汚染し続けている国です。

そんな国がオリンピックのような大々的な祭りをしようというのが、そもそも間違っているのです。
返上しましょう。
返上させましょう。
非を認め、潔く退く。
こんな浅はかで愚かしい人間が、上に立ってはいるけれども、
せめてそういう始末ができる国だと、そういう始末をさせた国民だと、世界に示したいです。






【速報】
不正招致が確定すれば、2020オリンピックはロンドンに変更か。最悪の可能性も。

http://netgeek.biz/archives/73498

フランスの財務専門検察が、2020年オリンピックの招致をめぐって捜査を始めた件について、
もし不正が見つかれば、開催地はロンドンに変更されるだろうと、関係者が語った。
海外mailOnlineが報じている。
参考:
London in the frame to host 2020 Olympics as Japan bid probed over secret payments
http://www.dailymail.co.uk/sport/othersports/article-3587834/London-frame-host-2020-Olympics-Japan-bid-probed-secret-payments.html

フランス当局は、「Tokyo 2020 Olympic Game Bid」と名付けられた銀行口座から、シンガポールのブラック・タイディングス社に、2回送金されたことを、すでに確認している。
問題は、その送金が正しいものだったか、不正なものだったかだ。

2回の送金は、いずれも、開催国を決める投票と前後していた。
東京五輪招致委員会は、この疑惑について、電通に確認をとった会社であり、
1回目はコンサル手数料として、2回目は成功要因分析として支払った、と説明しているが、
2回目は明らかに成功報酬であり、2億超にもなるコンサル費も、異常としかいいようがない。

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参考:
【速報】東京五輪の買収にかかわっていたのは「D社」。もうはっきり電通って言えよ!!!!!

【netgeek media innovation】
http://netgeek.biz/archives/73428

オリンピック招致をめぐって、不適切な勧誘が行われたと、フランス当局が捜査を始めた件について、
国会でも、電通の名前が出せない、異常事態にあることが分かった。

これが、国会で使われたパネル。右下の、「広告会社D社」に注目。


もう皆さんご存じの通り、明らかに電通のことなのだが、未だに名前を出すことは許されていない模様。
国会でさえこの有り様なのだから、電通の闇は深い。

これより前、テレビ局は、日本企業の関与を、意図的に隠そうとする報道を行っていた。


それもそのはず、電通は、テレビ局に広告を紹介してくれる重要な資金源なので、ずぶずぶの関係を続けておいたほうが都合がいいのだ。
海外であれば、広告代理店の力が分散しているので、まだ自由な報道が保たれているのだが、
日本では、電通が独占といっても過言ではないほど、強力な力を持ち過ぎている。


▼海外で報じられている関係図。右下に電通の文字が…。


こういった、曲がった報道を目の当たりにすると、日本の報道ランキングが、世界的に、かなり低かった事実にも納得してしまう。
ずっと前から、世界の名だたるジャーナリストたちが、日本のメディアを、
「構造的におかしい」「操られている」「信念を持っていない」などと大バッシングしていたのが、ようやく腹落ちした。


オリンピック招致委員会は、今もなお、2億超のお金は、正当なコンサル料として払ったと主張している。

▼絶体絶命のJOC幹部は、電通にそそのかされてしまったのだろう。


▼もちろん、正当な契約なので、契約書はある。


▼でも、どこにあるかは分からない。
これは完全にクロだ。



▼支払先の会社は、アパートの一室だった。
代表の男性は、メディアの取材に対し、「何も話したくない」と語っている。
正当な契約のはずなのに。




「D社」という報道を受けて、ネット上では、
「マジかよドコモ最低だな」
「ダイソーやりやがった」
「ディズニーランドかよ」
「大日本印刷終わった」
「ダイソンの吸引力すげーな」
「うっわ俺、同志社大学の卒業生なんだけど!」などという声が飛び交っている。


日本は電通に支配されている、とはよく言ったものだ。


新聞、ラジオ、テレビを牛耳っている電通に対し、正当なジャーナリズムで対抗できるのは、新興ウェブメディアぐらいであろう。
netgeekでは、臆することなく、電通の名前を出していきたい。
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▼白い服を着たのが、日本の招致委員会と取引した、パパ・ディアク氏。
国際陸上競技連盟会長ラミーヌ・ディアック氏の息子で、権力は確かに持っていた。
現在、フランス当局が行方を追っているが、逃走中とみられる。



パパ・ディアク氏と連絡がとれなくなっている、という事実、
送金は確かになされていた、という事実、
アパートの一室の、ペーパーカンパニーを経由して送金していた、という事実から考えるに、
不正はすでに確定したも同然で、東京五輪は中止となる恐れが強い。
すでに、オリンピックの関係者は、
「不正が起きたのに、それをなかったことにして開催することは問題なので、開催地を変えざるを得ない。
イスタンブールとマドリードは、会場が間に合わないだろうから…」と、ロンドンになることを示唆している。
また、別の関係者は、
「東京がアウトなら、ロンドンに決定。不正は見つかってほしくはないけど…」と明言しており、
2020東京五輪は、幻になる可能性もありそうだ。
もちろん公式な発言ではないので、注意が必要だが、こういった声があがり始めているのは、一つの重要な事実といえよう。


▼日本のメディアが報じない関係図。
右下に電通が入っており、今回の取引のキーマンになっていたことが分かる。




日本としては、多額の税金が無駄になり、残念で仕方がないが、これもやむを得ない。

以上のような国際的な動きに反して、招致委員会は今もなお、「不正はなかった。正当なコンサル料」と主張しており、
組織委員会は、東京五輪メッセージを、「みんなの輝き、つなげていこう」にした、と発表した。
今回の不祥事、一体誰が責任をとるのか。
これから、泥沼の責任押し付け合いが起こりそうだ。


***************************************

というわけで、このシンガポールの『Black Tidings』という会社は、なんと会社ですら無かった?!らしく、
データに改ざんの痕跡があることがわかりました。
↓↓↓





東京五輪誘致の裏金疑惑、ブラック・タイディングス社は会社ではなかった!送金先に驚愕の事実!
【The Guardian】
https://www.theguardian.com/sport/2016/may/11/tokyo-olympics-payment-diack-2020-games

東京五輪誘致で、日本の五輪組織委員会などが、2億円の裏金を支払ったとされている疑惑で、新たな事実が判明しました。

送金先として報道されている、シンガポールの「ブラック・タイディングス社」ですが、
会社の登録情報などから、組織としての社ではなく、個人事業として記載されていることが分かりました。

シンガポールの会計企業規制庁によると、ブラック・タイディングス(Black Tidings)の登録された事業形態は、
Sole Proprietor(個人事業主)となっており、会社として記載されていなかったとのことです。
また、会社の登録日も、「2006年4月27日」ではなく、廃業した日とほぼ同じ、「2014年7月4日」の可能性が浮上しています。

これは、問題の、事業登録情報が記載されているページから発覚した情報で、
最新の表記では、創設が「27 April 2006(Thursday)」となっているのに対して、
古いページ情報には、創設が「4 July 2014 (Friday)」と記載されていました。


*****************************************

オリンピック招致をめぐる疑惑は、サミット前に真相解明を
【BLOGOS】2016年05月17日
http://blogos.com/article/175726/

■仏検察当局が捜査に着手
2020年東京オリンピック・パラリンピックは、新国立競技場建設計画のやり直し問題やエンブレム問題など、トラブル続きだが、
今回新たに出てきたのが、招致決定に関する「買収疑惑」である。
フランス検察当局が捜査に乗り出し、イギリスのガーディアン紙など、海外メディアも詳しく報道している。

2020年のオリンピック・パラリンピックの開催地が、東京に決定したのは、2013年9月。
その前後の、7月と10月の2回にわたって、シンガポールのブラック・タイディングス社の口座に、日本側から送金が行われ、
このお金が、東京招致を勝ち取るための買収資金として、使われたのではないかと疑われている。



このブラック・タイディングス社のタン氏は、国際陸上競技連盟(IAAF)の元会長で、
当時、IOC委員も務め、2020年の候補地選定に強い影響力があった、
ラミン・ディアク氏(収賄と資金洗浄の疑いで仏当局が逮捕)息子であるパパマッサタ・ディアク氏(国際手配中で母国セネガルに逃亡中)の親友である。
このタン氏の口座に、日本側から、2.3億円のお金が送金されたのだ。




■世界反ドーピング機関の報告書にも記載された疑惑
そもそも、本年1月、世界反ドーピング機関(WADA)が発表した、国際陸上競技連盟のドーピングにからむ、汚職疑惑の独立調査委員会の報告書に、
トルコ・イスタンブールの致委員会担当者と、ディアク氏のもう一人の息子カリル・ディアク氏との会話内容が、詳しく書かれているが、その中にも、

トルコは、国際陸連に、協賛金400万ドル~500万ドルを支払えと求められたが、断ったため、LD(ラミン・ディアク)会長の支持を得られなかったが、
日本側は、この額を支払ったため、2020年の五輪は東京に決まった
ただし、独立委員会は、この件については、委任された調査項目ではないため、これ以上の調査は行わなかった」

との記述がある。

いずれにしても、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致が、金で買われたとの疑惑であり、大問題である。


■人ごとのような安倍総理
そこで、安倍総理に、政府としての調査状況を聞いたところ、
「ご指摘の件については、…招致委員会の主体となっていたJOCと東京都が、説明責任を果たすべきものであり、
政府は、スポーツ庁を中心に、事実関係の把握に努めていく
」と、人ごとのような答弁。

一方、馳文科大臣からは、ブラック・タイディングス社選定に関して、興味深い答弁が返ってきた
まず、ブラック・タイディングス社から、招致委員会に売り込みがあり、
招致委員会から株式会社電通に確認して、実績があるコンサルタント会社だと判断して契約した、とのことであった。
つまり、ブラック・タイディングス社の選定には、電通が関与していたのだ。


■電通とタン氏との関係
なお、WADAの独立調査委員会の報告書には、電通とブラック・タイディングス社との関係についても、詳しく述べられている。
報告書には、
電通の関連会社である「電通スポーツ」が、スイスのルツェルンに、国際陸連から与えられた商業的権利の配分を行う、「AMS」という会社をつくり(set up)、
そして、AMS社が、ブラック・タイディングス社のタン氏を、国際陸連主催の世界選手権大会(2015年北京大会を含む)などのコンサルタントとして雇っていた(retain)
と記されている。

つまり、電通とタン氏は、もともと浅からぬ関係にあったのだ。
したがって、招致委員会から問い合わせがあった際に、電通が、自らに関係のあるタン氏を勧めるのは、当たり前の話だ。
この選定過程は、今後、焦点となるだろう。


■2.3億円の使途を、確認しようとしないJOC
また、日本オリンピック委員会(JOC)の会長であり、招致委員会の理事長であった竹田会長にも、
参考人としてお越しいただき質問したが、長時間にわたる答弁は、要領を得ないもので残念であった。
ブラック・タイディングス社への支払いは、あくまでコンサル業務に対する適切な対価であって、問題ないと繰り返すだけで、
なぜ適切なのか、その根拠が示されることはなかった。

逆に、これだけブラック・タイディングス社を巡るお金の流れが、国際的な問題に発展した後も、
同社に連絡をとり、支払ったお金が、買収など不法な使途に使われていないかどうか、確認することも一切していないと答弁。
要は、2.3億円の「コンサル料」とされるお金が、実際何に使われたかは知らない、ということであった。


■「ブラック・タイディングス」の意味は「不正なお金の洗浄」
また、同社の住所が、シンガポールにあるアパートの一室に過ぎず、実態のないペーパー・カンパニーではないかと聞いても、
そうではないと否定するのみで、その具体的な証拠が示されることはなかった。

しかし、世界反ドーピング機関(WADA)が発表した、独立調査委員会報告書には、
「ブラック・タイディングス」という言葉は、ヒンディ語で「不正なマーケティング(Black Marketing)」、
または、「不正なお金の洗浄(Launder Black Money)」を意味すると書いてある。
意味深である。



さらに、フランスの検察当局は、ブラック・タイディングス社を、「汚職」と同時に「資金洗浄(マネーロンダリング)」の罪で捜査している
また、WADAの報告書には、
「『マーケティング・コンサルタント業』が、不正な賄賂を隠す便利な隠れ蓑であるということは、捜査当局間の共通認識である」との記載もある。
これは、JOCが繰り返す、「コンサルタント業に対する適正な対価であり問題ない」との説明が、いかに説得力のないものであるか、鋭く指摘している。

大事なことは、形式上は、合法的な商行為の対価のようにみえる資金が、実際には何に使われたのか
また、日本側に、支払いの際、不法な買収行為に使われる可能性があるとの認識があったのかどうか
これらがポイントになるだろう。


■予算委員会の「集中審議」を
とにかく、今日のような説明では、真相究明には程遠く、国民の理解や国際的理解は得られない。
そこで、竹下委員長に対して、
本件疑惑にかかる予算委員会の「集中審議」の開催と、
契約書等を保存しているとされる、水野元専務と樋口元事務局長の、参考人招致を求めた。

加えて、安倍総理に対し、18日の党首討論までに、
本件にかかる契約書、活動報告書、財務諸表、ブラック・タイディングス社の活動実績の、4点セットの資料の公表を求めるとともに、
第三者による特別調査チームを立ち上げて、徹底した真相究明を行うべきだ、と提案した。


■サミット前に調査報告を
伊勢志摩サミットでは、日本が主導して、「スポーツにおける腐敗対策」の文書を取りまとめる予定だ。
しかし、ホスト国自身が、オリンピック招致に関して、大きな疑惑問題を抱えたままでは、責任ある文書の取りまとめなどできるはずもない
それこそ、ブラック・ジョークだ。
サミット前までの、自主的な真相解明を、求めていきたい。

本件は、18日の衆議院文部科学委員会でも、引き続き取り上げたい。
【玉木雄一郎】




東京五輪招致疑惑 民進・枝野幹事長「電通担当者の国会招致も」
【FNN】2016年5月17日
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20160517-00000963-fnn-pol

電通の国会招致もあり得ると発言した。
民進党の枝野幹事長は、
「電通にも、相当の金を、招致委員会は払っているはずですから、その金で、どんな仕事をしたのか。
これは、場合によっては、電通の担当者に、国会に来ていただくような話だと思っています」
と述べた。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの招致に関連し、支払われたコンサルティング料の問題で、
枝野幹事長は、広告代理店の「電通」も関与している、と指摘した。
そして、個人的な意見としたうえで、
「電通が、知らぬ存ぜぬと、常識では考えられないことを言っている」として、
枝野幹事長は、電通を国会に招致する可能性もある、と強調した。
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DEMOCRACY NOW! 投票率を70%に上げて、日本もカナダに続こう!

2016年05月16日 | 日本とわたし
先週の水曜日、平和運動家の歩美ちゃんが教えてくれた、エイミー・グッドマン氏の講演会を聞きに行ってきた。
先週は、火曜日から金曜日の朝まで、カナダからの友人夫婦をお迎えしていたのですが、エイミーさんの話を直接聞けるチャンスを逃せるわけがない。

場所は、7年前まで暮らしていた隣町の教会。
ギリギリに着いたら、もうほとんど席は空いていなかったが、先に着いていた歩美ちゃんとノリコさんの横に、運良くレイチェルと一緒に座ることができた。

まずは責任者の方のご挨拶から。


なんか、いつもパソコンの画面で見る彼女より、うんと若く見える。


とにかく話がうまい!
リズムが心地よくて、時折、ふと考え込むような間が空くのも、早口でまくし立てるのも、その時その時の話の内容とぴったり合っていて、
わたしたちは彼女と共に笑い、感心し、悲しみ、怒り、涙する。

なんという強い意志と信念を持つ女性なのだろう。
取材中に危ない思いをしたこと、殺されかけたこと、そんなことを淡々と話す。
そして、米国のメディアの散々の体たらくを嘆き、だからこそ自分たちのような、伝えるべきことを伝える報道人が必要なのだと、こちらを真っ直ぐに見つめながら言う。

まるで日本のことを聞いているようだ。
パナマ文書もオリンピック招致の裏金疑惑も、すべて電通が絡んでいるから、なんとかして有耶無耶にしながら世間が忘れるのを待つマスコミ。
特にオリンピックは、自分たちがスポンサーとして生き残りたいからね。
ここまで堕ちた報道機関を、まだ信じている人がたくさんいる。
こんなにインターネットが発達して、ちょっと覗けばいろんな情報がザクザク手に入るというのに。

金さえ入れば、今さえ良ければ、自分さえ守れれば…。

自分たちが毎日、そういう姿勢でやっている報道のせいで、世の中を向かってはいけない方向に進めてしまうことが、どれだけ大きな罪になるのか、
金さえ入れば、今さえ良ければ、自分さえ守れればいい人たちには、理解なんてできないのだろう。
だからそういう人たちには、報道の世界から、そしてまた政治の世界から、離れてもらいたいのだけども、そういう人たちに限ってしつこく居座り続ける。
わたしたちにはもう、あまり時間が残されていない。
そういう人たちを、報道や政治の世界から追い出さなければならない。


エイミーさんの『DEMOCRACY NOW!』のような報道は、日本版だと岩上さんのIWJじゃないかなと思いながら、もっともっと応援しなきゃなと思いながら、彼女の話を聞いた。
伊勢志摩サミットが開催される前に、パナマ文書、オリンピック招致の裏金疑惑、それから閣僚や元閣僚の汚い金銭問題を、国会できっちり追求させなければならない。

エイミーさんの話は、わたしたちの心の根っこに、温かな、そして力強い励ましを与えてくれた。
あきらめずに頑張らねば!



カナダの友人夫婦は、去年までの10年間、独裁首相のやりたい放題に、ずっと怒り続けていた。
外面が良い元首相は、自分を擁護してくれる団体や人をうまく使い、言葉巧みに誤魔化しながら、市民が本当に求めているものを次から次へと削除したり弾圧してきたりした。
そんな保守党が政権を握っていた10年ほどの間、「サイエンス」はカナダ議会でほとんど出てこない単語になり、多くの図書館が閉鎖された。
何でもかんでも儲け、儲け、儲け!商用化の権化だった前政権は、その10年間で、とても重苦しい空気を作ってしまった。
もちろん報道機関も全く戦わず。
どこかの国と良く似ている。

そんな悪政に我慢がならなくなった国民が、こぞって投票に出かけた。
投票率は70%近くまで上がった。
市民が政治を変えるには、この70%というのが決め手だと、たくさんの人から聞いた。
きっと日本にも、このラインは当てはまるのだと思う。

新政権は、老朽化した国内のインフラの立て直しや、カナダで問題になっている格差問題の解決を図るために、富裕層への増税と中間層への減税を実行する。
閣僚は男女半数ずつで、先住民や少数派民族も含んだ、とても多様性に富んだメンバーなんだそうだ。



友人夫婦は、本当に誇らしげに、そして嬉しそうに、
「もうこれで、俯いて歩かなくても済む。
本当に嬉しくて、いつもよりも景色がきれいに見えるし、毎日の小さなことが楽しいんだ」と言っていた。


モルノー財務大臣、新政府による初めての予算でミドルクラスの希望再生を図る
【オタワ発 - 財務省】2016年3月22日
http://www.canadainternational.gc.ca/japan-japon/highlights-faits/media-20160322.aspx?lang=jpn

オタワ発 - 財務省

ビル・モルノー財務大臣は本日、新しいカナダ政府としての初めての連邦予算案を、議会に提出しました。
「ミドルクラスの成長に向けて」と題されたこの予算案は、
カナダ経済を活性化し、ミドルクラス、およびこの階級に加わるために勤勉に働いている人々に、真の変革をもたらす、重要な施策を実行するものです。

力強い経済は、力強いミドルクラスから始まります。
新政権が、カナダ国民とその家族のために機能する経済の構築を、最重要課題に掲げる理由は、ここにあります。

2016年度予算は、最も支援を必要としている人々を、直ちに助け、また、長期的な経済成長に向けた土台作りをするものです。
最も重要なのは、この予算が、人々の最大の関心事であるミドルクラスの強化、雇用創出、経済成長などの課題に、正面から向き合っていることです。

政府のミドルクラスを対象とする減税により、1月1日時点で、約900万のカナダ人の手取り給与が、増えることが決まっています。

これに加えて、モルノー財務大臣は、福祉手当を最も必要としているミドルクラスの人々を、支援する制度として、
よりシンプルで、非課税で、規模が大きく、焦点が絞られた、新しいカナダ児童手当の導入を、本日提出された予算で示しました。
これにより2016年7月から、10世帯のうち9世帯で、前政権下に比べ、手当の受給額が増加します。

2016年度予算は、雇用を創出し、現在および将来における、カナダ人の生活の質を高める、新たな取組みを示唆しています。
今後10年間で、総額1200億カナダドル以上にのぼるという、歴史的な新規インフラ投資は、その一例です。

直ちに実施する第一段階の政策として、近代的で信頼できる公共交通機関、上下水道、手頃な価格の住宅、気候変動の影響から既存事業を保護するための改善、および変更に、119億カナダドルを投資します。

続いて行われるより長期的な投資は、カナダ経済を低炭素構造に転換し、都市を活性化し、地方のデジタル接続を推進し、安全で、健全で、活気ある地域社会を創生することを促すものです。

また、2016年度予算では、次の世代のカナダ人が、将来の課題に対処する上で十分な準備ができるよう、学生と高等教育機関の両方を支援するための、大規模な新規投資も行います。
さらに、政府は、急速に変化するグローバル経済の中で、カナダがより優位を占めることができるよう、研究を推進し、ビジネスの成長を加速させ、クリーンテクノロジーを支援していきます。

環境保護と経済成長は、密接に関連していることから、政府は、気候変動や大気質の課題に対処し、水や土壌を浄化するクリーンテクノロジーに投資します。
また、2016年予算には、20億カナダドルの低炭素経済基金を創設するという、政府の意思も織り込まれています。

この成長が、全てのカナダ人に確実に共有されるように、2016年度予算は、立場や出身に関わらず、あらゆるカナダ人が、成功への同じ機会を得られるように、新たな一歩を踏み出しています。
そのための施策のひとつとして、ファーストネーションズ、イヌイット、メティスの人々のため、教育、インフラストラクチャー、技能訓練などの分野に、今後5年間で、総額84億カナダドルという、前例のない大規模投資を行います。
政府は、保留地に住む子供たちを含む全ての子供が、清潔な水を飲める社会基盤を確立します。

カナダを、より公平で開かれた国にするため、
医療における連邦の指導力発揮、
高齢者が、引退後に、尊厳ある安定した暮らしができるようにするための支援、
カナダ年金計画を強化する取組みの継続、
カナダの復員軍人に対して、国が果たすべき重要な義務の遂行などに、投資していきます。

2016年度予算では、世界の舞台におけるカナダの地位を、新たにするための行動も起こします。
政府は、最も弱い立場にある人々に対する国際支援を提供し、2016年には、持続可能な成長と、ミドルクラスの繁栄を促進するために、30万人の永住者を受け入れます。

ミドルクラスの成長は、カナダ政府が、行動する能力と意志の両方を有して、初めて実現できるものです。
2016年度予算は、ミドルクラス、およびこの階級に加わるために勤勉に働いている人々に、焦点を合わせることによって、
カナダ経済を活性化し、全てのカナダ人に向けて、機会を生み出すための政策を示しています。


メッセージ

「私たちの計画は、前の世代の人々が持っていた、未来への希望と楽観を取り戻し、次の世代のためにそれを実現していくものです。
真の変革とは、一日や二日だけのことではありません。
それは、これから何年、何十年にもわたって経済を活性化し、それによってミドルクラスへの恩恵と、この階級に加わるために、勤勉に働いている人々への支援をもたらすものなのです」

- ビル・モルノー財務大臣



エイミーさんと一緒に、『アベ政治を許さない!』


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JAPAN DAY @ CENTRAL PARK & MOTHER'S DAY

2016年05月15日 | ひとりごと
先週の日曜日、母の日に行われた『JAPAN DAY @ CENTRAL PARK』に行って来た。
次男くんのガールフレンドと次男くんは、朝の4時から、この催しの準備を手伝っていた。
今年で10回目のJAPAN DAYだが、これまでただの一度も、雨に降られたことが無いというジンクスがあった。
今回は雷雨の予報が出ていて、午後からは回復するだろうということだったが、準備中に10分ほど大雨に降られただけで見事に回復。
さすがだ。

これまでずぅーっと続いていた雨に洗われた若葉の眩しいことったら。


小さな動物たちの狂喜乱舞を、シンクロナイズドで眺める空と海。


すっかり晴れた午後から、セントラルパークに出かけた。
お馴染みの歌舞伎ペイントコーナー。


浴衣の試着コーナー。


今年のJRは、なんとリニアの運転席体験…リニアに大反対のわたしにはなんとも複雑な風景。


ああ美しい緑のシャワー!


これまた恒例の簡易トイレ。


おー、やっと逢えた!ボランティアテントでお手伝いの次男くん。


第三ステージを観に、丘の上の特設ステージへ。


いつもよりはちょいと人出が少ない。


COBUのパワフルなパフォーマンス。ほんとに彼女たちは楽しそうに舞い、叩く。


『TV Japan CULB』のジェイミーが、熊本地震への支援と寄付を呼びかける。


ほんとによく晴れたこと。


お侍さんに会った!


大江千里さんは、いつものこの笑顔。


舞踏家のMiki Oriharaさんとのコラボ。




そのあとは、ジャズトリオで演奏してくれた。






そしてそして、トリはこの人、矢野顕子さん!なんと、今回が初めてなのだそう。


いやもう、いつ見ても顕子スマイルがステキ!


春先小紅、ひとつだけ、ごはんができたよ、ラーメン食べたいの4曲。












彼女の歌は、聴くたびに、心のどこかを波立たせてくれる。
何気ない暮らしの中の、村上春樹さん風に言うと、小さいけれど確かな幸せを見つけることの大切さを思い出させてくれる。
そして思い出して、ちょっと胸を熱くしながら、彼女の独特の声とピアノが織りなす顕子ワールドに浸った。

今日出演の皆さん。


片付けをする疲労困憊なふたり。


ほんっとにお疲れさま!


次男くんは、母の日だからと、何かお祝いをしたそうなことを言ってくれたが、あの疲れ様を見たらもう、とにかく片付けが終わったらさっさと帰って休憩して、としか言えなかった。
気持ちだけいただきます。ありがとう。
それにしても、最近の母の日の、世間の騒ぎ様ったらない。
老若男女の子どもたちは、こぞって母の元に行き、何かしないといけないかのように、メディアはもちろんのこと、社会全体が大騒ぎする。
だから、高速道路は異常に混むし、レストランだって異様に混む。
母親が居ない人は、思い出の中の母親に、あるいは親友の母親に、Happy Mother's Day! などと言って祝う。
別にそれが間違っているとか、おかしいとか言うつもりはないけれど、この過剰さはどこからきているのかな?と思う。
みんなが、やんわりとした脅迫を受けているような気がする。
母の日は、もっともっとプライベートで、そしてそれぞれのやり方で、祝いたい人は祝うぐらいの感じで過ごしたいなと思う。
まあ、これはもうほんとに、わたし個人の考えなのだけど…。


彼らと別れ、我々はのんきに新緑見物。












池ではボートで賑わっていた。




お水をたっぷり吸って、キラキラと輝く緑。


お客待ち。


さあ、来た道を帰ろう。




久々の晴れの日は、ストロベリー・フィールドにもたくさんの人が集まっていた。






日が暮れるとやっぱり寒い。






家の階段を上がると、ワイワイと迎えてくれるパンジー。


おかえり~、ワイワイ♪
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小林さん、事実無根のデタラメで『緊急事態条項創設』を煽る櫻井氏を、とっ捕まえてやっつけてください!

2016年05月09日 | 日本とわたし
今か今かと待っていた、小林氏の出馬表明。
とうとう決心なさったのですね。
まあ、先日も、民進党員であっても、頭の中身はまるで第二自民党としか思えないようなことを言っていた議員もいましたしね。
これではもうあかん…と、踏ん切りをつけられたのかもしれません。
今までだって、期待しては失望し、また期待しては呆れかえりの繰り返しで、この世で最も頼りにならないのは議員であると、何度も何度も思い知らされてきたのですから。
もちろん、非常にわずかではありますが、頼りになる議員の方々もいらっしゃいますけれども…。


小林節・慶大名誉教授が、参院選に出馬表明!
政治団体「国民怒りの声」を結成、「改憲勢力に、3分の2議席を取らせない」

【IWJ】2016/05/09
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/301003

5月9日(月)14時より、慶應義塾大学名誉教授の小林節氏が、記者会見を開き、
今年夏の参議院選挙に、比例区から立候補することを表明した。
同時に、政治団体「国民怒りの声」設立を発表。
安保法の廃止、辺野古新基地建設の中止、TPP再交渉、原発の廃止、憲法改悪の阻止などを、主要政策として発表した。

今後、「空に向かって」(小林氏・談)候補者を公募し、参院選比例代表で、10人以上の候補者擁立を目指す
選挙資金は、米民主党のバーニー・サンダース氏にならい、「クラウドファウンディング」方式で集める予定、だという。




主張
「安倍内閣には一日も早く退場してもらわなければならない」
「参議院1人区での野党統一候補の擁立は、着実に前進している」
「他方、比例区に、野党は統一名簿で参加せよ、という私たちの主張は、理解が得られていない」


新たな政治団体立ち上げの理由
「バラバラに戦って、野党各党が無駄にしてきた莫大な死に票も、統一名簿であれば合算されて、確実に議席を生む」
「3割以上もの無党派層に、『今度こそ政治が変わるかもしれない』という期待感を抱かせ、投票所に向かわせる効果がある」
「『世の中の役に立って、はじめて学問である』とハーバード大学で学んだ。私には、女房以外失うものはなにもない」










せっかくなので、何度もトンズラしている櫻井氏を、政治団体の代表からの要請なのだからということでとっ捕まえて、討論会を実施してください。
彼女はまた、トンデモなデタラメを、大勢(主催者発表では1174人)の前で、マイクを通して吹聴しているようです。
ずいぶん我慢して、櫻井氏の演説を聞きましたが、あまりのデタラメさに呆れ、怒りがこみ上げてきて、最後まで聞き終えることができませんでした。
この人、ジャーナリストなんかじゃありません。
クサい芝居と巧みな話術(わたしには気持ち悪いとしか思えませんが)で洗脳役を買って出る、壊憲亡者の使いっ走りです。
小林さん、とっ捕まえてやっつけてください!


↓以下、転載はじめ
「3.11では助けることのできる命が助からなかった」
自称「ジャーナリスト」の櫻井よしこ氏が、日本会議系集会で、事実無根のデタラメで、改憲による「緊急事態条項創設」を煽動! 
根拠なきプロパガンダに、永井幸寿弁護士が徹底反論!(前編)

【IWJ】2016.5.8
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/300465

5月3日は憲法記念日。
公布から70年にあたる2016年の今年、各地で、改めて憲法について考える集会が行われた。
そんな中、「異様な空気」に包まれていたのは、「すみやかな憲法改正発議の実現を!」と題した日本会議系の集会だった。

集会は、自称「ジャーナリスト」の櫻井よしこ氏をはじめ、日本会議の中枢メンバーである三好達氏や田久保忠衛氏が、共同代表を務める「美しい日本の憲法をつくる国民の会」と、同じく櫻井よしこ氏が代表を務める「民間憲法臨調」の共催。

会場には、たくさんの正装客が訪れ、主催者発表で1174人が集まったという。
壇上に掲げられた日の丸国旗に、参加者や登壇者が深々と頭を下げ、そのまま次々と櫻井氏にお辞儀をする。
どこまでも異様な光景だった。

<登壇>
・櫻井 よしこ氏(ジャーナリスト・主催者代表)
・安倍 晋三氏(総理大臣・自民党総裁=ビデオメッセージ)
・中曽根 康弘氏(元首相=メッセージ)
・打田 文博氏(美しい日本の憲法をつくる国民の会事務総長)
・下村 博文氏(自由民主党総裁特別補佐・衆議院議員)
・松原 仁氏(民進党衆議院議員・元国務大臣)
・江口 克彦氏(おおさか維新の会国会議員団顧問・参議院議員)
・中山 恭子氏(日本のこころを大切にする党代表・参議院議員)
・原 正夫氏(被災地より・福島県郡山市前市長)
・西 修氏(駒澤大学名誉教授)
・青木 照護氏(日本青年会議所副会頭)
・山本 みずき氏(慶応大学法学部学生)
・百地 章氏(日本大学教授)

日時 2016年5月3日(火)13:30~15:30
場所 砂防会館別館(東京都千代田区)
告知 第18回公開憲法フォーラムのご案内
共催 民間憲法臨調、美しい日本の憲法をつくる国民の会


▪️災害の悲劇を、改憲の口実に利用する、悪質な「櫻井論法」



集会のタイトルは、「各党に、緊急事態に対応する憲法論議を提唱する」
この日の焦点は、「緊急事態条項」であった。

この条項は、戦争や災害時に、国家権力が「国家の存立を維持するため」との名目で、
実質的には、立憲的な憲法秩序(人権の保障と権力分立)を一時停止し、人権を制限し、権力者に独裁的な権力を与えてしまう、
「ナチスの手口」そのもの、とも言うべき条項
だ。

次々と登壇したゲストは、口々に、緊急事態条項が「いかに大切な条項か」を訴えたが、
そのどれをとっても、首を傾げざるを得ないものであった。

冒頭、登壇した櫻井氏の言葉は、まさに「唖然」としか言いようがない。

「あの3.11で自衛隊、消防隊、警察、民間のボランティアの人々、どれだけ全力を尽くしたか。
(しかし)彼らがどんなに頑張ってもできなかったことが、いくつもいくつもいくつもありました。
問題は、憲法に、その元凶があるのではないでしょうか」


緩急と抑揚をたっぷりとつけた、情動的な語り口で述べる。

「頑張ってもできなかったことがいくつもいくつもいくつも」とは、いったい何を指しているのだろうか? 
櫻井氏は明らかにすることなく、ただ、現行憲法を「悪」と決めつけた。

そもそも櫻井氏は、あの被災現場に駆けつけて、自称といえども「ジャーナリスト」として現場取材をし、その実例を見たのだろうか? 
また、自分自身で、被災者支援を行ったのだろうか? 
いったい何を、彼女は頑張ったというのか?

我々IWJは、たとえば今回の熊本・大分大地震の場合、発災直後から、のべ3人の記者・カメラマンを派遣し、緊急支援を行いつつ、
19日間にわたり、6県にまたがり、現場取材と緊急支援を行なっている。

我々は、現場取材を徹底して行なったが、現行憲法のせいで頑張ってもできなかったことなど、何も見当たらなかった
また、3.11の東日本大震災の際は、私、岩上安身も、私のスタッフも、宮城、岩手、茨城、福島の被災地へ、何度も足を運んだ。
特に福島には、数えきれないほど通い、さらに、地元在住の福島中継市民の方々からも、ずっと情報を受けとっている。

「頑張ってもできなかったことがいくつもいくつもいくつも」が何であるのか、櫻井氏は、具体的に明らかにするべきだ。


▪️「助けることのできる命が助からなかった――」根拠を示さない櫻井氏の安っぽいお涙芝居


▲途中、何度か鼻をすすり語る櫻井よしこ氏

櫻井氏は、さらにこう続けた。

「法律はたくさんありましたよ。
このような対策をとってよろしい。
このような場合にはこうしてよろしい。
法律は複数ありました。
(けれども)緊急の道路をつくるのに、荷物、車、がれき、片づけようとしても、現場はとまどいました。
なぜならば、それは、憲法で財産権の保障などをしていて、
もしかしたらこれは、(撤去すれば)憲法に抵触するのではないか、そのような思いを、現場の人が現に持ったんです。
複数の証言があります」


櫻井氏は、みずから現場へ足を運び、そうした声を聞いてきたということだろうか? 
驚くべきは、締めのこの言葉だ。

「その結果、多くの対策が遅れました。
助けることのできる命が助からなかった。
このようなことを繰り返してはなりません」


緊急事態条項さえあれば、人命を救えたのに――。
櫻井氏は、涙をこらえるかのように、途中、何度か鼻をすすった。


驚くべきことである。
櫻井氏は、
憲法の財産権の保障によって、がれきなどの撤去ができず、道がつくれなかったという事例があり
その結果、対策が遅れ、助かる多くの命が助からなかった、というのだ。
そういう声を、複数聞いたというのだ。

救えなかった命はたくさんあった。
東日本大震災でも、熊本・大分大地震でも、たくさんの方がお亡くなりになった。
実に痛ましいことだ。
被災現場を歩き回って取材した者の一人として、思い出せば本当に胸がつまる。

だが、どこに憲法が理由で、救われたはずの命が失われたケースがあったのか。
櫻井氏が言うのは、いつ、どこの、誰の命のことなのか。
本当に憲法が原因だと、何を根拠にいうのか。

「そんな話、まったく聞いたことがない」と断言するのは、緊急事態条項の危険性にいち早く着目し、
IWJにも登場、私のインタビューに応じた、日弁連災害復興支援委員会前委員長の永井幸寿弁護士
だ。


▪️「災害対応には現行の災害対策基本法で十分」 
緊急事態条項の必要性を徹底否定した、日弁連災害復興支援委員会前委員長の永井幸寿弁護士が、
櫻井氏の嘘と無知に、手厳しく反論




集会の後日、IWJ記者の取材に答えた永井弁護士は、櫻井氏の発言に、次々と反論していった。

「そもそも、自衛隊、消防隊、警察、民間のボランティアの人々が、『緊急の道路をつくる』というのは、意味がよく分かりません。
道路はふつう、国道なら国、県道なら県、市道なら市が建設します。
国道、県道の場合でも、警察が建設を担当することはありません」


言われてみれば当たり前のことだ。
道路は、国や自治体の発注によって、建設業者がつくるものである。
建設業に携わったことのない警察や消防隊や、まして民間のボランティアが、つくれるものではない。

そもそも、災害の緊急時に、新たに道路を建設しているヒマはない。
既存の道路を、通行できるような状態に回復させることが、最優先である。

さらに、永井弁護士は、次のように述べる。

「もし、『緊急の道路をつくる』というのが、通行のためにがれきなどの漂流物を撤去する、という意味であっても、
櫻井氏の主張は誤りです」


永井弁護士によれば、
災害時に必要な対策を定める、災害対策基本法によって、市町村長や警察は、がれきを取り除くことができるという。

その根拠を、永井弁護士は、以下のように示す。

災害対策基本法64条2項により、
市町村長は、災害が発生した場合、応急措置を実施するために、緊急の必要があると認めるときは、
現場の災害をうけた工作物または物件で、当該応急措置の実施の支障となるものの除去、その他必要な措置をとることができます。


また、同法64条7項により、
現場に、市町村長、又はその委託を受けた職員がいない場合,またはその要請があった場合、
警察官は、市町村長の職権を行うことができます


これだけの法整備がなされていて、どこかで櫻井氏が主張するように、救われうる被災者が救われなかったという出来事が、仮に本当にあったとしたら、
それは、法の運用に問題があった、というべき
であろう。
なぜ、一足どころか何足も飛んで、憲法の問題になるのか。

しかも、災害で生命を失った気の毒な人がいたから、という理由で、
「緊急事態条項」という、行政権力を極端に強大化して、個々人の人格を犠牲にする条項を入れよう、という話になぜつながってゆくのか。

話の筋道がめちゃくちゃである。

現行憲法のもと、現行の災害対策基本法と行政の仕組みによって、がれきを撤去して道を通行できるようにすることは、十分に可能なのだ。

緊急事態条項を、憲法に導入する必要性を訴えるために、憲法上の「財産権」を持ち出してきて、
その権利を制限しないと、がれきを取り除けない、道も開通させられない、そのために人が死んだ、
行政が手間取ったのではなく、憲法のせいで人が死んだのだ、というのは、明らかにおかしい

どう考えても無理も無理、論理の筋が無理筋過ぎる。


櫻井氏は、そんな事実があるというなら、事実をあげて実証すべきである。
実際に、地震や津波の被害で、お亡くなりになった方々がいる。
その犠牲者の中で、誰が「憲法」のせいで命を落とされたのか、明らかにしてもらいたい

さもなくば、「憲法」は、櫻井氏によって、あらぬ濡れ衣を着せられ、不当な冤罪に陥れられている、と言わなくてはならない。


▪️災害時の人命救助を可能にするのは「憲法」ではなく「法律」~緊急事態条項創設はやはり不必要だ!
 
見逃せないのは、災害対策基本法の、こうした規定に触れることなく、櫻井氏が平然と、
「助けることのできる命が助からなかった」などと、断定的に述べている
ことである。

櫻井氏は、被災地で、道路が寸断された現場に立ち会い、行政の努力にもかかわらず、「憲法」が立ちふさがって、目の前で人が亡くなっていくのを見た、というのだろうか?

また、櫻井氏は、「複数の証言」を根拠に話しているという。
その証言者とは、現場にいた人間、実際に被災した人のはずであろう。
そうした人が、明らかに、「憲法」が邪魔をしたと訴えているのか。
櫻井氏は、早急に、明らかにすべきである。

そうでなかったら、つまり、被災現場にもいなかった、被災当事者でもなかった人の伝聞を根拠に、こんな話をしていたとしたら、とんでもない話である。
不確かな噂で話を膨らませ、あげくに「憲法」が悪かったのだという、持論の改憲論に、強引に結びつけていることになる。

これを、牽強付会と言わずして、なんと言うべきだろうか。

大地震と津波による未曾有の災害の中で、多くの人が実際に亡くなっているのだ。
そうした人々の死を、政治利用しようとしているなら、不謹慎きわまりない
根拠も示さず、「憲法」のせいで「助けることのできる命が助からなかった」などと言ってのける無責任さ、面の皮の分厚さに、呆れてものも言えない

いったい、憲法に規定された「財産権」が、どのように邪魔をして、人命が犠牲になったというのか。

永井弁護士は、さらにこう述べる。

「もし、建物に閉じ込められている人を救助するために、建物を破壊する必要があったのに、
財産権が邪魔をして、建物を壊せず、中の人を助けることができなかった、という意味であれば、それは誤りです」


どういうことか。

「災対法64条2項の『その他必要な措置』には、『最小限の破壊』も含まれます。

建物の破壊は、刑事上は、住居侵入罪(刑法130条)、器物損壊罪(同法260条)、または建造物損壊罪(同法261条)に該当し得ますが、
正当行為(同法35条)、緊急避難(同法27条)として、警察官でも民間人でも、違法性が阻却されるのです。

さらに、民事上も、緊急避難(民法720条2項)としても、やはり警察官も民間人も、賠償責任は生じません


つまり、倒れた建物の中に人が閉じ込められているのに、「財産権」があるから助けられない――。
などということは、どこをどう検討しても、ありえない話
なのだ

「これまでに、災害現場で、憲法の財産権に抵触することを恐れて、緊急道路を作れず、人の命を救いきれなかった、などということはあったのか?」とのIWJの問いに、
永井弁護士ははっきりと、
「私が21年間、弁護士として、現場で災害の被災者支援にかかわってきた中で,そのようなことは1度もありません」と断言した。

災害時の人命救助は、憲法の問題ではなく、法律とその運用の問題である。

緊急事態条項の創設を企む、政府の別働隊、あるいは、鉄砲玉の筆頭とでも言うべき櫻井よしこ氏は、
事実を重んずべき「ジャーナリスト」を自称しながら、
その実、現実に起こったとは考えられない「お話」を、具体的な事実も根拠も示さずに、公衆の前で涙ながらに訴え、
「憲法が全部悪いの」などとなじりつつ、実を言えば、憲法についても法律についても、まったく理解していない
のである。

これが、彼女の、非常識なまでの無知とか、致命的な知力の欠如によるものではなかったとしたら、
「緊急事態条項」導入のプロパガンダという政治的目的のためなら、どんな作り話も、どんなウソも、憲法や法律についてのどんなデタラメな解釈も、平然と口にできる、ということである。

おそるべき鉄面皮ではないか。

ずさんな論拠の元に、「人命救助のために」などとうたい、本当のところ狙うのは、
災害をダシにした、独裁権力の樹立と、全国民の人権の制限
である。
これを評するに、「悪辣」との言葉だけでは、不十分だ。

実際に命を落とした人のいる、大災害なのだ。
人の死も、政治的な目的をとげるために、プロパガンダの材料として悪用することは、
「憲法」に対してだけでなく、お亡くなりになった方々に対する、侮辱そのもの
である。
これは「最低」ではないか。

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神社という言葉を隠れ蓑にして、戦前回帰を目論む集団に、わたしたちは立ち向かわなければならない!

2016年05月04日 | 日本とわたし
大日本病の病原体が活発に、表立って活動し始めました。

わたしはつい最近まで、自分がどれほど『神社』という言葉に騙されてきたか、全く気づいていませんでした。
神社というと、ひっそりとした境内があり、御神木などの古い木が静かに立っていて、お願い事をしたり、お祈りしたり、お札を買ったり、新年を迎えたり、
そこには政治のせの字も存在しない、八百万の神さまが集う神聖な場所であると、なんとなくそういうイメージが強く定着していました。
そういうイメージを持っているのは、わたし一人では無いと思います。
だから、ここ数年、神道政治連盟とか神社本庁とかいう名前が目に入っても、なにかこうピンとこないまま、読み流してしまっていました。
神道や神社という言葉を隠れ蓑にして、大いに政治を操れるまでに増幅した、『大日本病』の病原体だとも知らずに。

この『大日本病』を命名したのは、『戦前回帰』(大日本病の再発)を書いた、山崎雅弘さんです。
この本のカバーと本体には、神社の鳥居がうっすらと描かれていて、本を読んでいる途中から、その鳥居から病原菌がにじみ出てきているような気がして、夜などは恐ろしくなったほどです。
戦前戦中の日本に蔓延していた、病としか言いようのない「人命無視」の思想が、どのようにして形作られていったか、とてもよく理解できる内容で、一人でも多くの方に読んでいただきたいと思います。

少し、抜粋させていただきます。
↓以下、抜粋はじめ

明治時代の大日本帝国は、『帝国』という特質を備えつつも、自国と他国を相対的な関係として把握する能力を、おおむね正しく持ち合わせていました。
けれども、昭和初期の1930年代から1945年の敗戦までの、国家神道体制が完全に支配した日本では、
「日本という国は、唯一絶対の特別な国であり、世界の中の一国ではない」という考えが、疑問の余地なく正しい認識だとされました。

あるものの崇高さを、必要以上に持ち上げて神聖化すれば、それを守るために「犠牲にしてよいもの」のレベルも高まります。
人命軽視や人命無視の考えは、一般的には、人間の「悪い心」や「冷酷非情な心」が生むものだと思われています。
けれども、戦前・戦中の日本人が当然視した人命軽視と人命無視の思想は、むしろ「良い心」や「道徳的に正しくあろうとする心」の発露という形式で広まったため、
誰もそれに疑問を抱いたり、批判したりすることができなくなりました。

恐ろしいのは、こうした「良い心」や「道徳的に正しくあろうとする心」の暴走は、
政府や特定のリーダーが命令を下してそれをさせる場合よりも、一人一人の人間が、完全に自発的に、それをやり始める場合が多いという現実です。
最初のきっかけは、学校や組織内での「国体」教育であったとしても、途中からは、各自が自分の判断でそれを行うようになり、
それに従わない人間を見つけると、自分の判断でその相手を攻撃したり、圧力をかけたりするようになります。


憲法改正に向けて足並みを揃える自民党と神社本庁(神道政治連盟の上部組織)、そして日本会議

神道政治連盟の公式ホームページより
「現行の日本国憲法は、残念ながら日本人として自信と誇りを持てない恥ずかしい憲法です。
特に甚だしいのが、全文と第1章の天皇条項でしょう。(中略)
他国人が起草した非現実的な日本国憲法を維持していることを、日本人は何よりもまず「恥ずべきこと」と考えなければならないでしょう」

これは、戦後に、 GHQが発した『神道指令』と、その恒久化を意図した(と神社本庁が解釈する)日本国憲法に対する、根強い『恨みの感情』を読み取ることができる。


↑以上、抜粋おわり


さて、上記の神社本庁と日本会議が、どのようなことをやっているかというと、

改憲署名
賛成派700万筆集める 氏子を動員

【毎日新聞】2016.5.4
http://mainichi.jp/articles/20160504/k00/00m/040/133000c


宮司から渡された署名用紙のコピーを指さす氏子総代の男性=福島県二本松市内で2016年3月1日午後2時19分、川崎桂吾撮影(一部画像加工しています)

憲法記念日の3日、改憲を訴える団体や、護憲を掲げる団体が、全国各地でイベントや集会を開いた。
夏の参院選の結果次第では、憲法改正が政治日程に上る可能性もあり、公布70年の節目で、憲法を巡る論議が、熱を帯びている。

憲法改正を目指す団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は、東京都内でイベントを開き、
全国で同日までに、700万2501筆の改憲賛同署名を集めた、と発表した。
署名活動の現場を取材すると、地域に根づく神社と氏子組織が、活発に動いていた。

地元で「弁天さん」と呼ばれ親しまれている、福島県二本松市の隠津島(おきつしま)神社は、毎年正月、各地区の氏子総代を集めてお札を配る。
だが、2015年正月は、様子が違った
神事の後、安部匡俊(まさとし)宮司(62)が、おもむろに憲法の話題を持ち出した。
「占領軍に押しつけられた憲法を変えなくてはいけない」
宮司は、総代約30人に、国民の会の署名用紙を配り、「各戸を回って集めてほしい」と、頭を下げた
という。

総代の一人としてこの場にいた男性は、「違和感があった」と振り返る。
それでも、地区約30戸を1軒ずつ回って、「よく分からない人は署名しないで」と前置きして説明。
5人が署名した。
「前置きがなければ10人はいったと思う」と話す。

安部宮司は、今年3月、取材に、
「福島県神社庁からのお願いで、県下の神社が、それぞれ署名を集めている。
総代が熱心に回ってくれた集落は、集まりが良かった。
反対や批判はない」と話した。

隠津島神社の氏子は約550戸2000人で、世帯主を中心に、350筆を集めたという。

氏子たちの反応はさまざまだ。
「現憲法では国防が不十分なので、応じた」(40代男性)という一方で、
「憲法はこのままでいいと思うので、署名をしなかった」(70代男性)。

ネット上にも、全国各地から、「神社から署名が回ってきた」などの声がアップされ、
今年正月には、東京都内の神社が、境内に署名用紙を置いて、話題になった。
全国で、氏子組織が動いているのかなどについて、全国の神社を統括する宗教法人「神社本庁」(東京都)は、取材に、
「国民の会に協力しているが、詳細は分からない」と説明。
国民の会は、
「各団体、各地域で、一番やりやすい方法で、集めてもらっている」としている。

福島・隠津島神社の、別の氏子総代は言う。
「地元の人が選挙に出ると、地縁血縁で、後援会に入らざるを得なくなる。
署名集めも、それと似ている。
ましてや、神様からお願いされているようで、断りづらい面があったと思う」



国民投票時の名簿に利用
 
署名活動で、神社関係者の動きが目立つが、「国民の会」を主導するのは、保守系の任意団体「日本会議」だ。
宗教団体などが集う「日本を守る会」と、政財界や文化人の「日本を守る国民会議」が、1997年に合流し設立。
会員約3万8000人で、政界とのつながりが深く、同会の国会議員懇談会には、党派を超え300人が所属する

「これは請願署名ではない。国民投票という大空中戦で、投票を呼びかける名簿になる

長野市内で、昨年9月に開かれた、日本会議の支部総会。
東京から来た事務局員は、1000万人を目標とする、改憲賛同署名の狙いを説明した。
会場には、長野県内の神社関係者が目立った。

憲法改正は、衆参両院、3分の2以上の賛成で発議され、国民投票で決まる。
国民の会は、国民投票の有効投票数を、6000万人と想定
署名した1000万人に、2人ずつ声かけをさせれば、改正に必要な過半数の、3000万票に届くと計算する

賛同署名は、改憲の具体的な内容を、これまで明確にしてこなかった。
だが、3日の国民の会のイベントでは、大災害や有事で、人権保障や三権分立などの憲法秩序を一時停止できる、緊急事態条項の新設を、主要テーマとすることを決めた。
安倍晋三首相も、自民党総裁として、ビデオメッセージで、「憲法改正に向けてともにがんばろう」と呼びかけた。【川崎桂吾】












戦前回帰
『大日本病』の再発
山崎雅弘著

http://www.amazon.co.jp/戦前回帰-「大日本病」の再発-山崎雅弘-ebook/dp/B0154KGCJS

『安倍政治が、一政治家の資質に還元できる一過性のものではなく、
明治以来、日本を深く冒してきた「種族の病」の、劇症的な再帰であることを、本書はみごとに解明した。

「病」は想像以上に深く、致死的だ』

(内田樹氏による帯文より)

日本はなぜ、歴史を繰り返すのか?

70年前、この国を滅亡の淵に追い込んだ、歴史の“OS(オペレーティング・システム)"の正体とは?

「国家神道」「国体明徴」「八紘一宇」……、
かつて、熱病のようにこの国を覆いつくし、そして、敗戦と同時に、歴史の表舞台から消えたと思われたこれらの思想や概念が、
21世紀のいま、姿を変えて、復活しようとしている。
それはなぜなのか?

戦前・戦中の日本を、「戦史」の面から再検証、“日本の現在"を解明する。
注目の論客による緊急書き下ろし!

【目次内容】

第1章 戦争のハードウエアとソフトウエア
第2章 国家神道体制と「国体明徴」運動
第3章 戦後日本が怠った「OSの再インストール」
第4章 安倍政権下で再発した「大日本病」





特集ワイド
続報真相

いびつな『大日本病』

【毎日新聞・東京夕刊】2015.11.6
http://mainichi.jp/articles/20151106/dde/012/040/002000c


旧文部省が、日中戦争直前の1937年5月に発行した、国体思想の教育本「国体の本義」を手にする山崎さん。
古書店で入手した貴重な一冊だ=三重県名張市で

人はホメられて成長する--というが、国家の場合はどうなのだろう。
ここ最近、テレビは、外国人に日本をホメさせて、「日本は世界から尊敬されている!」と自賛する番組だらけだし、
書店には、日本礼賛本と並んで、中国・韓国をけなす本が相変わらず並ぶ。
一定の需要があるのは、「日本は他国よりすごい」という大国意識、優越感に浸りたい、という願望なのか。
そんな社会の行き着く先はどこか。
識者とともに考えた。


戦前の価値観への回帰
 
伊勢神宮の西、三重県名張市に、最近の社会・政治状況を、「大日本病」と名付けて憂えている人がいる。
戦史研究家の山崎雅弘さん(48)。
専門誌に、近現代の戦史研究を寄稿し、著書も数多い。
9月に出版した新刊「戦前回帰 『大日本病』の再発」(学研マーケティング)が、波紋を広げていると聞き、会いに行った。

山崎さんが、書斎から引っ張り出してきたのが、戦前に出版された思想教育本。
▽「教育勅語と我等の行道」(教育勅語普及会、1935年)
▽「国体の本義」(旧文部省、37年)
▽「万邦に冠絶せる我が国体」(陸軍教育総監部、38年)
▽「臣民の道」(旧文部省、41年)……。

「自国を賛美する現在の社会状況や、『戦後レジーム脱却』がとなえられる政治状況は、これらの本が出版された時代の風潮と似ています」と、眉間(みけん)にしわを寄せるのだ。

山崎さんが手にした数冊の本が訴えるのは、総じて、
「天皇を頂点とする日本の国家体制は、『世界に類を見ない神聖で崇高な国のあり方』(万邦無比(ばんぽうむひ))とし、
体制存続のみに価値を置き、献身と犠牲をいとわないのが国民の務めで、人権や個人主義の考えは欧米的だ」
という考えである。

「これが国家神道の考えですが、伊勢神宮などが培ってきた伝統的な神道とは、まるで別物です」と山崎さん。

国家神道は、教育勅語の、「危急のことがあれば、国民は公に奉仕し、永遠に続く皇室を助け支えよ」という教えも取り込み、
国民や兵士の命を軽視した戦争を、続ける原因になった。


自国を、独善的・排外的に、偉大な国として存在価値を膨らませ、他国・他者に不寛容になり、個人主義や人権を軽視する状況が、山崎さんが論じる「大日本病」である。

過去の話に見えるが、今も同じにおいがしないだろうか。
自民党の憲法改正草案が、
「現憲法は個人の権利が強調され過ぎている」と、義務規定を10項目も増やし、
さらに、欧米的な「個人」との言葉を嫌ったのか、
「国民は個人として尊重される」という条文を、「人として~」に改めている。

付け加えれば、昨年6月には、教育勅語を肯定的にとらえている、下村博文前文部科学相が会長を務める「人格教養教育推進議員連盟」が発足したし、
安倍晋三首相ら閣僚の多くが、「神道精神をもって、日本国国政の基礎を確立する」と綱領にうたう政治団体「神道政治連盟」や、
「美しい日本の再建と誇りある国づくり」を訴える運動団体「日本会議」の、国会議員懇談会に名を連ねている
ことも見逃せない。

一連の動きから見えてくるのは、国家神道的な価値観をよしとする、体制への回帰です。
安倍首相は、戦後レジームは否定しますが、『戦前・戦中レジーム』には、特に否定的な言及はしません。
安倍首相を支持する人の中に、戦前・戦中を肯定することが『愛国』、と考える人が多いのも気になります。
歴史上、この国を唯一、滅亡の寸前まで追いやったのが、その戦前・戦中レジームなのですが
……」


極度に排他的な「愛国者」
 
「コリアンタウン」とも呼ばれる、東京・新大久保。
在日韓国・朝鮮人や他民族など、少数者を差別・迫害するヘイトスピーチ団体の、取材を続けてきたジャーナリストの安田浩一さん(51)を訪ねた。
かつてこの街でも、ヘイトスピーチの嵐が吹き荒れたが、今は平穏に見える。
安田さんは、韓国料理店で、豚肉のキムチ炒めをつまみながら、
「警察がここのデモを許可しないだけで、彼らは銀座あたりに移って、デモをするようになったのです」と苦い顔をした。

安田さんは、字義通りの「戦前回帰」とは、少し違う見方だ。
『日本が大好き!』と、声高に叫ぶ人が増えていますが、彼らは中国・韓国など他国、他民族をけなし、排他的な言説をセットにしているんです。
他者をおとしめることでしか、自国への愛を確認できない
かつての日本は、上辺だけでも、『大東亜共栄圏』などと、アジアとの連帯をうたっていたが、今の自称『愛国者』は違う。
21世紀型というか、『日本以外みんな敵』ぐらい排他的なんです


日本が他国・他民族に優越する、という考え方は、自国の国益を得るために、他国に、政治・軍事的な影響力を行使してもよい、という大国主義の下地にもなる
「その意味では、彼らの優越感は大国主義に近いのですが、一方では内向き。
まだ受け入れてもいないシリア難民を、敵視・蔑視する言説が、インターネットなどで広がっているし……」

差別の対象は、在日や外国人だけではない。
最近では、福島原発事故で仮設住宅で暮らす被災者に対し、
「国に依存するな、と罵声を浴びせたり、水俣病の患者団体の関係者には、『いつまで国に甘えているんだ』という電話を掛けたりしている」と安田さんは語る。

他人を罵倒する人々に共通するのは、「奪われている」という感覚だ。
国の領土が他国に奪われている、国の社会保障や生活保護が奪われている……。
山崎さんは、「日本ブランド」をまとって自分の存在価値を高めたい、という人が、日本が批判されたり、国のお金が他者に使われると、
「自分が批判され、損をした気になるのではないか」と分析した。

安田さんは辛辣(しんらつ)である。
『領土が奪われている』と言いながら、現に、米軍基地として土地を奪われている沖縄県民が、基地反対運動をすれば、『売国奴』という言葉を投げつける
彼らにすれば、沖縄すら、排他の対象なんです。
自分だけが正しい、美しい、尊敬されたい、という感情しかない。
他国・他者より優れた存在でありたいが、ひたすら排他的
それが21世紀日本の、大国主義の実相かもしれない。
ゲンナリする社会です
」とため息をついた。

排他大国、排外大国という、不思議な言葉が思い浮かんだ。


キーワードは「不安」
 
大日本病や大国志向、自称「愛国」がなぜ今、求められているのか。
山崎さんは、「キーワードは不安です」と読み解いた。

国家神道の考えが強調されだしたのは、満州事変後の国際連盟脱退表明(33年)のころからで、国際的な孤立で国民の不安が高まった時だ。
人口減や景気停滞、原発事故や中国や韓国の経済成長……不安が高まる今の日本が重なる。
国と自分を重ね、「万邦無比」といった「大きな物語」に、自分が連なるという幻想を抱けば、自分の価値を再確認でき、不安の気持ちも軽くなる、というわけだ。

政治学が専門の、一橋大名誉教授の渡辺治さん(68)は、最近の大国志向は、政治・経済的な必要性から生じた、とドライに分析してみせた。

かつて日本は、経済力を背景に、アジアに一定の影響力を持っていた。
しかし、中国の成長で、日本の影響力が相対的に下がると、インドネシアでの大型公共事業の受注を、中国企業に奪われるような事態が増えた。
国益を確保するためには、経済力だけではなく、アジアに対する政治・軍事的な影響力を強めなければ、という考えが、安倍政権や財界にあるのだ、という。

「でも日本は、中国と張り合うような軍事大国にはなれないから、集団的自衛権の行使という形で、米国の戦争に協力し、米国の威を借りる形で、大国化を図ろうとしている

だが、安全保障関連法について、国民の多くが反対しているのは、世論調査の結果から明らかだ。
渡辺さんは、
国民の多数は、安倍流大国化に反対している。この点は重要ですが、安保法が発動されると、状況が一変する恐れもある」と楽観はしていない。

例えば、自衛隊が、海外で武力行使するようになればどうなるか。
まず自衛隊が変わる。
海外で殺し殺され、という状況になれば、自衛隊の政治的発言力は、確実に大きくなる。
軍事が日本の中で大きな地位を占め、必ず、国家意思の決定に関与するようになる。
そういう意味で、今の日本は、岐路に立っていると言えます


山崎さんが締めくくる。
自分の価値観を内面に持ち、一人一人が独立した思考を持つ『個人』でいられるかどうか。
これが、いびつな『愛国』や『大日本病』を、克服できるかどうかのカギです


耳に心地よい礼賛や、繰り返される「愛」に気をつけたい。【吉井理記】




↓以下は、憲法第9条について、3年前のちょうど今頃に書いたブログ記事です。

憲法第九条『戦争放棄』は、世界史の扉を開くすばらしき狂人、幣原首相によって生まれたもの!
http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/d7687e6f43b62b9370cba44a9b11bcd1?fm=entry_awp



そしてこれは、先日の憲法記念日に、報道ステーションが特集を組んで放送したものです。

憲法9条は日本側の幣原喜重郎首相の提案だった。
http://www.dailymotion.com/video/x48iuy5
【報道ステーション】2016.5.3放送

1946年1月24日、幣原は、マッカーサーのもとを訪ねる。
3時間にわたって会談した。
この日はめずらしく、幣原から話を切り出した。

幣原:
自分は、生きている間に、どうしても天皇制を維持したいと考えますが、協力してくれますか?

マッカーサー:
占領するにあたり、一発の銃声もなく、一滴の血を流さず進駐できたのは、天皇の力によるところと深く感じているので、
私は、天皇制を維持させることに協力し、努力したいと考えています。

幣原:
戦争を、世界中がしなくなるようになるには、戦争を放棄するということ以外にない、と考えます。

マッカーサー:
その通りです。

幣原:
世界から信用をなくしてしまった日本にとって、戦争を放棄するというようなことを、はっきりと世界に声明すること。
それだけが、日本を信用してもらえる、唯一の誇りとなることではないか。

マッカーサーは立ち上がり、涙をいっぱいためていた。


衆院議員平野聞き取り 幣原首相の証言

「僕には、天皇制を維持するという、重大な使命があった。
この二つ(戦争放棄と天皇制)は、密接に絡み合っていた。

オーストラリアやニュージーランドなどは、日本を極度に恐れていた。
日本人は、天皇のためなら、平気で死んでいく。
おそるべきは皇軍である。

天皇の人間化と、戦争放棄を、同時に提案することを考えた。

国体に触れることだから、仮にも、日本側から口にすることはできなかった。
僕は、マッカーサーに進言し、命令として出してもらうよう決心した」



幣原・マッカーサー会談から10日後、マッカーサーは部下に、GHQの憲法草案を創るよう指示します。
そこに、”戦争放棄”の言葉があります。
そしてその10日後、GHQ草案には、象徴天皇と戦争放棄が条文化され、それが日本国憲法の元となりました。

マッカーサーは、憲法草案を示した後、連合国にこう説明していました。
「日本が提案した、世界中の人々のことを考えた「戦争放棄」を、私は尊重する」

更に、アメリカに帰任してから、議会で、幣原との会談の詳細を表現しています。

「幣原総理が、私のところにやってきて、こう言いました。
『私が長い間考え 信じてきたことですが、問題を解決する道はただ一つ、戦争をなくすことだ」と。

私は、彼を激励しました。
そして日本は、あの条文を書き込んだのです。


幣原の孫 幣原隆太郎さん(78):
4、5才の頃、いっしょに暮らしていたことがある。
天皇陛下絶対、という感じの人でした。
天皇制をとにかく守っていくというのは、考えていただろうと思います。
その方法として、憲法9条的なことを考えていたかはわからない。

幣原にとって、戦争放棄の理念は、実はすでに熟知していたものでした。
外務次官の頃、第一次世界大戦に突入。
その後、各国は、パリ不戦条約を締結します。
そこに、「戦争放棄」がうたわれていました

幣原は、外務大臣になると、この精神を守ると表明し、「協調外交」を展開
特に、軍部が覇権を強めていた中国に対しては、平等で友好な関係を築く政策を進め、戦争回避を進言し続けました


武力の使用又は脅威は、百害あって一利なし

幣原隆太郎さん:
とにかく、軍部に対し、頭を下げることはしなかったみたいですね。
憲兵がうちにきて、祖父に会って「けしからん」と言うと、懇々と諭した。
諭された憲兵は、「よくわかった」と言って帰ったらしいですけれどね。
平和を何とかしなくちゃいけないという考えには、ひとしおのものがあったと思う。


幣原自身は、著書の中で、戦争放棄は「決して強いられたんじゃない」と語っています。
自分を突き動かしたのは、結局戦争に突入し、多大な犠牲を生み出した、その情景にあったのだと

「終戦の直後、都営電車の中で、乗客の一人が涙を浮かべながら、
「自分等は、日本が何故、戦争に突入しなければならなかったのか、納得できない。
抜き差しならない羽目に追い込まれて、敗戦の苦しみを受けなければならぬ」

と言い、官僚と軍部を呪っていた。

その悲壮なる叫び声は、私の胸に応えた
文明が戦争を撲滅しなければ、戦争の方が文明を撲滅するでありましょう
世界の正義感を味方として行動するほうが、はるかに安全な堅実な政策だと信じる。
この信念を持って、我々は徹頭徹尾、憲法第9条の規定を、誠実に実行する決心であります」


木村草太教授:
幣原さんもマッカーサーさんも、公式の発表の場で、「幣原が発案者である」ことを認めていて、この事実は、憲法を解釈する上で、重く受け止められている

公式発表で言ったということは 幣原さんは、「発案者としての責任を引き受ける」、という態度の表明でもある。

第二次世界大戦の直後、世界の人々が平和への気持ちを高め、どうやったら軍の暴走というものがなくなるのか、世界中で考えていたこと

「戦争を放棄」しようと言う気持ちは、幣原さんやマッカーサーさんだけなく、多くの人にあった

憲法9条は、何を目指していたのかを考える、重要な出発点になる。
9条は、世界を意識した条文
日本が、二度と侵略の道を歩まないというのは、大前提
侵略をしないことを宣言するだけでなく、日本が非武装を選択できるような、そういう国際社会を実現したいんだと。
あるいは、相互の信頼によって、国家がみんなで協力をして、世界の平和に向け、努力する国際社会を創り上げて行こう
そういう理念を、究極の理想として表現した。

この理想を受け、日本政府は、この憲法9条を国家の基本理念としつつ、
万が一、侵略された場合には、国民の生命、幸福追求の権利を守る最低限の義務があるから、その範囲で実力を行使する。
但し、それ以上の実力は、行使しない。
国民を保護する必要最小限度の範囲でしか、実力行使をしない。
これが、日本政府の態度だった。

憲法9条は、国内最高法規としての意味と同時に、外交宣言としての意味がある。

9条の、「究極的には非武装」という理念は、非現実的と見えるかもしれない
時代をさかのぼってみると、国内での非武装が、非現実的に見えた時代があった。
中世の時代、地方の領主が、宗教団体が、武装解除するのは非現実的に見えた。

現代米国は、各人が銃を持っているのは当たり前だが、銃を全てなくしてしまうのは、あまりにも非現実的と見えるかもしれないが、日本ではそういう社会を実現している。

改憲論議は意味はありますが、たいした議論もしないで、非現実的ということであきらめて、止めてしまおうというのは、あまりにも9条に関してはもったいない

幣原さん、マッカーサーさんが、あの時代何を考えていたのか。
あの時代に戻って、理想は何だったのかを、考えてもらいたい
あきらめるには、まだまだ早過ぎると思います。

「武力行使は違法」というのは、国際社会の出発点。
グローバルスタンダードになってきた。

今出来ないからと言って、9条の精神=非武装を捨ててしまうのは、あまりにももったいない





さて、下↓の写真は、友人の幸雄さんが、またまた買ってくれた上にここまで送ってくれるという、嬉しいやら申し訳ないやらの本の写真なのですが、
なにやら「騒ぎになっている本」なんだそうです。
幸雄さんが知らせてくださった文章と一緒に紹介します。


↓↓↓
例の「騒ぎになっている本」を注文した数日後の到着予定日、下のようなメールが着信。

***********

●●●をご利用いただき、ありがとうございます。
誠に申し訳ございませんが、以下のご注文商品の入荷が遅れており、当初の予定通りに商品をお届けできないことがわかりました。

注文番号:●●●●●● 注文日:●●●●●●
菅野 完 "日本会議の研究 (扶桑社新書)"

ご注文商品のお届けが遅れ、お客様へご迷惑をおかけしてしまうことをお詫びいたします。

現在、ご注文商品のお届け予定日が確定していないため、調整を続けております。
お届け予定日が確定しだい、Eメールでお知らせいたします。
万が一、入荷の見込みがないことが判明した場合は、大変申し訳ございませんが、やむを得ずご注文をキャンセルさせていただくこともございます。
なお、●●●マーケットプレイスの出品者が商品を販売している場合は、そちらからもご購入いただけます。
***********

と――まぁ、いつもの「入荷が遅れている」「キャンセルして貰うかもしれない」「他所で買って貰っても良い」と言う…
~買わせておいて、都合が悪くなると梯子を外す~型通りの文面です。
 
多々ある事なのですが、そういう場合、大体が発送が外国だったり、コアな商品の場合が殆どです。
発売開始の新版に、これが起こると言う事は、余程発注が多かったか、それ以外のトラブルがあったかと――
これまでの顛末を知るだけに、とても嫌ぁ~な感じを抱きましたが、今朝、無事に到着!!
 

で、これまでの顛末というのが、これです。

政権に近い保守団体が出版停止を要求 話題の本「日本会議の研究」
【BuzzFeed Japan】 5月4日(水)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160504-00010002-bfj-soci

日本会議とは

4月28日、出版社「扶桑社」に、FAXで申入書が届いた。
差出人は、「日本会議事務総長 椛島有三」。
扶桑社から出たばかりの、菅野完さん著『日本会議の研究』の、出版停止を求めるものだった。

本は、菅野さんによる、ウェブ上の連載をまとめたもの。
日本会議のルーツや歴史、彼らが展開してきた保守系の市民運動について、取材、検証している。
連載時にはなかった抗議が、なぜか出版直後に送られた。

日本会議による申入書の趣旨はこうだ。

この本では、日本会議について、裏付けの取れない証言を並べ、活動を貶める目的で編集されており、団体・個人の名誉を傷つける。
「日本会議が、宗教的背景を持つ特定の人物」に束ねられているという結論部分に対し、特に強く反応しており、「全く事実に反している」と主張。
直ちに出版停止するよう、求めている。

1冊の研究本に対し、即座に出版停止を求めた「日本会議」は、民間の保守派団体だ。
彼らのホームページによると、
「全国に草の根ネットワークをもつ国民運動団体」であり、
「日本会議は、美しい日本を守り伝えるため、『誇りある国づくりを』を合言葉に、提言し行動します」とある。

すみやかな憲法改正、日本会議の女性組織による、夫婦別姓反対の集い…。
活動方針や、彼らが進める国民運動は、ホームページに公開されている。

日本会議が注目を集めるのは、政権と近い関係にある点だ。
朝日新聞によると、「超党派による『日本会議国会議員懇談会』」のメンバーに、2015年9月時点で、安倍晋三首相を筆頭に、閣僚、自民党役員らが名を連ねている


日本会議「出版停止を求めたのは事実」

抗議は、申入書だけにとどまらない。

申入書とは別に、『日本会議の研究』に登場する人物から、代理人を通じて、出版差し止めを求める法的文書が、扶桑社に送られているという。
BuzzFeed Newsの取材に対し、複数の関係者が認めた。

なぜ、日本会議は、ここまで抗議をするのか。

「出版停止を求めているのは事実だが、これ以上詳しいことはコメントはできない。見解は後日、明らかにする」
日本会議の担当者は、BuzzFeed Newsに、こう話した。


BuzzFeed Newsは、出版側にも話を聞いた。
扶桑社は、
「係争関係にあり、コメントできない」
菅野さんは、
「1年間かけて、取材と資料を読み込んだ結果を、世に問うたまでだ」とコメントした。
【BuzzFeed News / 石戸諭】




長崎で原爆に被曝して、多くの被爆者の救護にあたった、永井隆医師の遺言を、記事の最後に紹介させていただきます。


私たち日本国民は、憲法において、戦争をしないことに決めた。
わが子よ!
憲法で決めるだけなら、どんなことでも決められる。
憲法は、その条文どおり実行しなければならぬから、日本人として、なかなか難しいところがあるのだ。
どんなに難しくても、これは善い憲法だから、実行せねばならぬ。
自分が実行するだけでなく、これを破ろうとする力を防がねばならぬ。
これこそ、戦争の惨禍に目覚めた、ほんとうの日本人の声なのだよ。

しかし、理屈はなんとでもつき、世論はどちらへでもなびくものである。
日本をめぐる国際情勢次第では、日本人の中から憲法を改めて、戦争放棄の条項を削れ、と叫ぶ声が出ないとも限らない。
そして、その叫びがいかにも、もっともらしい理屈をつけて、世論を日本再武装に引きつけるかもしれない。

もしも日本が、再武装するような事態になったら、そのときこそ…誠一(まこと)よ、カヤノよ、
たとい最後の二人となっても、どんな罵りや暴力を受けても、きっぱりと〝戦争絶対反対〟を叫び続け、叫び通しておくれ!
たとい卑怯者とさげすまされ、裏切り者とたたかれても、〝戦争絶対反対〟の叫びを守っておくれ!
コメント (2)
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桜の赤ちゃんと湯たんぽと原っぱとダリル

2016年05月03日 | ひとりごと
多分、想像では、ぽんちゃんと同じではないか…(自信があまり無いのだけど)と思われる桜の木の赤ちゃんが、うちにやって来た。
これは夫からの、誕生日のプレゼント。
どこに植えるかで、かな~りもめたが、今回は夫の意見を尊重することにした。

植える前に、根っこにお水をたっぷり飲ませてあげる(3時間から6時間)。


この見た感じかなり弱々しい桜の赤ん坊…散々リスにかじられたボロバケツに馴染んでる。

ずっと雨降りだったり寒かったりの、5月だなんて全く思えないお天気が続いている。
ベッドの足元にはまだ、湯たんぽが!
そんな鬱陶しい毎日の中のこの晴れ間!
逃してなるものか!

それにしても、うちのはほんとに庭ではなくて原っぱだ。


今年はたんぽぽが大にぎわい。


そして、毎年顔ぶれが変わる野草の、今年の顔は?




去年はこの方々だった。(今年は隅っこの方でちらほら生えている)


どこを撮ってもたんぽぽ。


すみれの群生にもたんぽぽ。


控えめに咲いてた白い花。


いやもう、うさぎさんには天国だろう。


夫がせっせと穴掘りをして、説明書通りに植えてくれた。


土は、特別に用意しない方が良いのだそうだ。肥料もいらない。植えた後、木に直接触れないように、薄っすらと木屑を撒いて終わり。
水やりは1週間に1回。それも、ジャアジャアと勢いよくかけてはいけない。
なのに、その後ずっと雨続きなので、根腐れしないか心配しながら、窓からずっと眺めている。



今日からまた、伴奏バイトが始まった。
毎日一クラスずつ、8つの曲を練習する。
ディレクターのダリルはメールで、「今回で引退しようと思っている」と書いてきた。
これまでにも何度も、特にここ数年は毎年のように、もう辞めたい、もう辞めると、ブツブツ言っていたので、やっと決められてよかったと思う。
校長が変わるたびに、芸術に対する学校の方針や彼に対する待遇が変わり、わたしが伴奏を引き受けた頃(もう10年以上も前になる?!)からすると、練習や本番までの段取りに、彼の不満は積もりに積もっていた。
彼はとにかく、音楽を通していろんなことを学ばせたいと思っていて、コーラスだけではなくて、ミュージカルのようなものの台本も書いて、生徒たちを指導してきた。
使う楽器や曲のジャンルは様々、そして彼が書く台詞はユーモアたっぷり。
毎年、観客は、泣き笑いをしながら、大いにショーを楽しんだ。

わたしの50代の始めから終わりまで、年に2回、それぞれ2ヶ月を、太鼓腹のダリルと一緒に過ごしてきた。
ダリルが教えるのは、心や体に問題を抱えている子(こちらではギフティッド、神さまから贈られたというふうに呼ばれる)たち。
だから指導中、いろんなハプニングが生じる。
顔を真っ赤にして怒ったり、肩を抱いて慰めたり、その子その子に応じた臨機応変な接し方から、学んだことは少なくない。
彼の指揮そのものは、テンポは変わるわ楽譜は読み間違えるわで、伴奏者からするとありがたくないタイプなのだけど、
彼の音楽の好みと歌心が、なぜかとても合うところが多くて、だから伴奏の練習が楽しかったりした。

ダリルは、前にわたしが伴奏を担当していた学校の、コンサート会場にやって来て、弾き終わったピアノを片付けているわたしの横にスッと立ったかと思うと、
「いい伴奏だね。こんなとこで弾いてないで、うちの学校に来ないか?払いはここよりいいことを約束するから」と、いきなり引き抜き屋のようなことを言った。
確かに彼が言う時間給は前の学校よりかなり多い額だったし、音楽なんてどうでもいいような指揮をする教師にも辟易していたので、けっこうすぐにオッケーの返事をした。

毎年のように参加した合唱の学校別コンクールでは、出るたびに最優秀賞をもらった。
本番になると突如、練習とは全く違う顔つきで、すごい歌声を出す生徒たちのおかげだったが、ダリルはいつも、まうみのピアノが点を稼いでくれたと、全然ありがたくなさそうな顔つきで言った。
へそ曲がりで強情っぱり、人情家で怒りんぼ。
終わりは必ずいつかやってくるのだけれど、やっぱりちょっと寂しい。

まあ、彼のことだから、「あ、そんなこと言ったっけか?」なんてことを言い出すかもしれない。
いずれにせよ、いつもと同じように、心を込めて弾くことに専念しよう。
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