ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

長年の、政治に対するわたしたちの無関心が生んだ『支持政党なし』という幽霊党

2016年07月02日 | 日本とわたし
初めてこの、『支持政党なし』という奇妙な名前の党の選挙ポスターが、参院選候補者用の掲示板にずらりと並んで貼られているのを見た時、何かの広告なんだろうか?と思いました。
候補者の顔も名前もわかりません。
支持政党なしというのが、党の名前なのかどうかもわかりません。
とにかく、意味がわからないことだらけだったので、ネット上に流れている情報を読んでみました。

まず、支持政党なしという党の議員は、どのような仕事をするつもりなのでしょう?

『支持政党なしでは、党としての政策はなく
議会において出てくる各種の議案や法案については、その議案や法案ごとに、一つずつインターネット等を通じて、皆様方にその議決に参加して頂き
一括してお任せ頂く訳ではなく、個別に、その議案や法案ごとに、賛成多数であれば賛成に、反対多数であれば反対へと、
皆様方の使者として、議決権を行使しに行くだけ
、と考えております』
と書かれています。




確かに、「支持したい政党が見つからない」という人が、多くなったとよく聞きます。
でも、自分の考え方に全て合致していないと、投票できないのでしょうか?ダメなのでしょうか?
そもそも、自分の考え方に全て合致している、なんていうような人物や党なんて、有り得るのでしょうか?
議員その人に、その議員が所属するその党に対しても、全部賛成できる、共感できるというようなことが叶わなければ、投票できないのでしょうか?

確かに、選出された後の議員が、所属政党の政策に合わさざるを得ず、選挙運動の時に言っていたことと違う態度を取ることはあります。
また、当選したら全く学ばなくなり、議会では居眠りをし、税金泥棒だと言われても仕方がないような仕事っぷりを、次の選挙まで続ける人もいます。

それはでも、
政治を自分のこととして捉えてこなかったから、自分の暮らしのありとあらゆる部分につながっていることに気づかずにきた、わたしたちが長年かけて作ってしまった政治の姿です。
たとえ気づいたとしても、直接議員の事務所に意見を伝えたり、自分が暮らす市町村の議会に足を運んだり、陳情を送ったりする人はとても少なく、
そんなことに首を突っ込んだら最後、生活のリズムは壊れるわ、好きなことが好きな時にできなくなるわ、友だちが減るかもしれないわと、いろんな理由をつけて、
だから自分には絶対に無理だし、別に今までも、何となく窮屈な感じはあっても、とりあえず普通に暮らせてきたんだからと、見て見ぬふりをしてきたわたしたち。

政権維持のために、金融政策に無理強いし、資産バブルを生みだし、その結果、所得格差、資産格差を拡大させた安倍政権が、
本来、年金積立金の運用結果は、先月中に行われていなければならないのに、
8兆円近くもの損失が出ていることが選挙前にバレるとマズいからと、発表を先延ばしされていることも知らない。
経済がー経済がーと、何かというと暮らしとお金のことを心配しているわりに、年金減額などの将来不安が待ち構えていることも知らない。

だって、新聞もテレビも伝えてくれないもん。
政治家だって、選挙の時だけ調子のいいこと言って、あとは何をやってるのか全然見えないもん。

経済がー経済がーと騒ぐくせに、そうやって、誰かのせいにして、テレビや新聞が何を隠しているのかにも気づかない。
そんなわたしたちを尻目に、
すごい執念と情熱でもって、敗戦後から現在に至るまでの数十年間、『緊急事態条項』と『家族条項』の復活を悲願として掲げ、
わたしたちがサボってきた、市民としてやらなければならなかった民主的な運動を、コツコツやり続けてきた人たちに、政治をすっかり乗っ取られてしまいました。

今だに、政治は苦手とか、さっぱりわからないとか、興味がないとか言う人がとても多いので、投票率がさっぱり上がりません。
それは多分、長年の教育の賜物であり、マスコミなどによる洗脳であり、だから政治に気持ちが動かない人を一方的に責めるつもりはありません。

でも、だからわたしはこの、支持政党なし党の公式サイトに書かれていた、
『国会に出されます全法案につき、党員にネット上で賛否を計り、
賛成が多数な法案は賛成、反対が多数な法案は反対、にと、議員の意志はまったく無視し、党員の方々の使者となりきるつもりでございます』
という政治手法に、大きな疑問を感じざるを得ないのです。

法案のすべて、その一つ一つに、ネット上で賛否を計ることができるようなシステムを、この党はすでに開発しているのでしょうか?
ネット上の党員は、どうやって確認できるのでしょうか?
そもそも、国会に出されてきた法案に対する党員の意見は聞くが、議員の意志は全く無視、
党員の使者となるという、極めて受け身な、自主的な学びや研鑽の無い手法、これを政治と言えるのでしょうか?






http://支持政党なし.comより

法案の賛否を問う前に、議会での議論があるわけですし、その議論のために、本来ならば、質疑応答のための必死の調査や学びが無ければなりません。
現在は、とてもおかしなことになっていて、質疑内容を前もって知らせなければならなかったり、利用するパネルの内容審査まで行われていて、
だから応答する側は、答を準備する時間があるばかりか、答に詰まった時などは、黒子がサッと現れて、こう答えなさいと耳打ちする始末。
だから、応答する側の人たちは、知識も常識も無くても、ふりがな付きの文章を読む練習さえしていれば良いのですから、
そのような体たらくな国会をまず、きちんと立て直さなければなりません。
そして、国会議員として恥ずかしくない、知識と見識、常識を身につけている人を、どんどんと国会に送り込まなければなりません。
そのためには、わたしたち有権者が、もっともっと政治につながっていかなければなりません。
政治の力は、わたしたち有権者の中にこそ、大きく育っていくべきものです。
そうでなければ、議員の質が良くなるはずがありません。

それにしても、この、支持政党が見つからないと悩む、あるいは白けている有権者を救うためというこの『支持政党なし』党の独特性の中に、
何か腑に落ちない、納得できないものが、たくさん存在しているように思えてなりません。
そして何よりこの党名、やはり票狙いではないかと思えてなりません。




↓以下、転載はじめ

「支持政党なし」ってどんな党?
参院選では、比例区と5選挙区で立候補

【The Huffington Post】2016年06月23日
http://www.huffingtonpost.jp/2016/06/22/shiji-nashi_n_10622446.html



7月10日に投開票される参院選に、「支持政党なし」という政党が、参加しているのをご存じだろうか。
比例区の投票用紙に、「支持政党なし」もしくは「支持なし」と記載すると、この政党の候補者が得票することになっている

共同通信によると、政党「支持政党なし」は、2014年の衆院選比例北海道ブロックで、
社民党の約5万3千票を上回る、約10万票を獲得したことが、話題となった。
今回の参院選では、佐野秀光代表と本藤昭子・九州地区代表の2人が、比例代表全国区に立候補しているほか、
北海道、東京、神奈川、大阪、熊本の4選挙区で、候補を擁立している。

「支持政党なし」の公式サイトでは、
「国会に出されます全法案につき、党員にネット上で賛否を計り、賛成が多数な法案は賛成、反対が多数な法案は反対、
にと議員の意志はまったく無視し、党員の方々の使者となりきるつもりでございます」
と、独特の政治手法を訴えている。


■総務省の担当者「法律上の瑕疵はない」

無党派の人が、「支持政党はありません」という趣旨で、間違えて投票する可能性も考えられるが、大丈夫だろうか
総務省選挙課に、ハフポスト日本版が取材したところ、
「公職選挙法では、他の政党とまぎらわしい党名や、代表者名を想起される党名については認めていないが、
『支持政党なし』については、法律上の瑕疵はない」
とコメントしている。(執筆者・安藤健二氏)


「支持政党なし」のポスター、候補者の代わりに4枚ずらり。問題なし?
【The Huffington Post】2016年06月30日
http://www.huffingtonpost.jp/2016/06/30/nashix4_n_10749064.html?ncid=tweetlnkjphpmg00000001



7月10日に投開票される参院選に、「支持政党なし」という政党が参加しているが、
都内各地にある参院選候補者用の掲示板に、なぜか党名しか書かれていない選挙ポスター4枚が、一列に並んでいる。

他は全て、候補者のポスターの中で、異様な光景。
他の候補者からは、「選管は機敏に対応すべき」などと指摘する声も出ているが、問題ないのだろうか。


■「支持政党なし」とは?

「支持政党なし」は、佐野秀光氏を代表者とする政党。
2014年の衆院選比例北海道ブロックで、社民党の約5万3千票を上回る、約10万票を獲得したことが話題となった。今回の参院選では、佐野代表ら2人が、比例代表全国区に立候補しているほか、北海道、東京、神奈川、大阪、熊本の4選挙区で、候補を擁立している。

比例区の投票用紙に、「支持政党なし」もしくは「支持なし」と書くと、この政党の候補者が得票する。
無党派の人が、間違えて投票する可能性もあるが、総務省の担当者は、「法律上の瑕疵はないと判断している」と話している。


■「選管は機敏に対応すべき」との批判も

東京選挙区では、「支持政党なし」から4人が出馬しているが、公営掲示板のポスターには、4人の候補者の姿はない。
その代わりに、「支持政党なし」と大きく書かれた政党ポスターが、4枚ずらりと並んでいる。

このことについて、民進党から、比例区で立候補している有田芳生氏は、「選管は機敏に対応すべき」と、6月28日に苦言を呈した。




■都選管の返答は?

候補者名の全く入ってない政党ポスター、というだけでも異例だが、4枚連続というのも不可思議だ。
一般的に、選挙ポスターの公営掲示板への掲載順は、抽選で決まることが多い。
それなのに、4枚が連続して並んでいるからだ。

ハフポスト日本版は、東京都選挙管理委員会の担当者に、電話取材したが、返ってきたのは意外な回答だった。

――政党名だけで候補者名が書かれてませんが、問題ないのでしょうか?

問題ありません。
公職選挙法では、候補者の名前を書かなくてはいけないという、規定がないからです。

――このようなケースは今までにもありましたか?

今まで見たことはないですね。
選挙区で立候補している方は、候補者の名前を書いてもらわなければ当選できないので、非常に珍しいケースだと思います。

――掲示板のポスター掲載順は、抽選で決まるのでは?

はい、公示日の午前8時半までに、選管に来た候補者は、抽選で決まります
抽選が終わったあとに入ってきた候補者は、先着順に順番が決まります
今回は、20人程度の候補者の抽選が終わった後に、『支持政党なし』の候補者の皆さんが、一列でお見えになったので、4人が連続した順番となりました

――ポスターを見て、その4人の方が候補者だと、分かるんでしょうか?

全く分からないですね。(執筆者・安藤健二氏)
コメント (2)
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