パンサラッサがロイヤルアスコットに行くかもしれない、そんな情報がある中で、ドバイターフのパンサラッサは果たして『溜め逃げ』だったのか… という議論も行われているようです。その件に関しては、レース直後は私を含む多くの方が、「いつものパンサラッサと違う溜め逃げだった」と感じていたと思うのですが…。
その後ドバイターフのレースラップが明らかになるにつれ、「実は結構なハイペースで飛ばしていて、見た目大逃げにならなかったのは、後続勢が想定よりついてきて差がつかなかっただけ」との見解も聞こえてくるようになり、今現在は、どうやらそうした見方が主流になっていると思われます。(本ブログにも、フィンチリーさんやななしの素人さんから、そういった主旨のコメントを頂いていますm(_ _)m)
ということで、改めてドバイターフのレースラップを元に、パンサラッサがどんな競馬をしたかをおさらいしてみようと思います。(どんなにおさらいをしても、今から2着になったりしないので気が楽です(^^))
まずはドバイターフのレースラップは以下の通りだそうです。
0-0400m 24.29
0-0800m 47.06
0-1200m 69.60(1.09.60)
0-1600m 92.68(1.32.68)
0-1800m 105.77(1.45.77)
比較対象がないとアレなので、同じ芝1800mの中山記念のラップを参考にのせておきます。
0-0400m 23.9
0-0800m 46.3
0-1200m 69.1(1.09.1)
0-1600m 92.9(1.32.9)
0-1800m 106.4(1.46.4)
フムフム。。こうして並べてみると、確かに楽なペースで逃げていたわけではない事はよく分かります。
ちなみに0-400mの比較では、中山記念が23.9秒だったのに対してドバイターフは24.29秒。出だしがゆっくりだったようにも見えますが、日本では助走区間のタイムをとらないので、その分の差し引きで相殺されてしまうレベル。。逆に、その差約0.4秒を助走区間の取り扱いによるものとして1000m通過タイムを試算すると、中山記念の57.6秒に対してドバイターフは57.93秒となり、ほぼ遜色ないハイペース逃げを敢行していたことになるんですよね。(私の計算が合っていればですけど(^^ゞ)
*助走区間のタイムをとらない:ご存知の方も多いと思いますが、日本ではゲートが開いてから計測区間に入るまでに助走区間(約5m)があり、その間のタイムは計測されません。
そうなると、パンサラッサはいわゆる自分の競馬、ハイペースで消耗戦に持ち込むスタイルをやったことになるわけですが、確かにパンサラッサをぴったりマークした強豪カーネルリアムは直線でバテて脱落しましたし、他の先行勢も全く勝ち負けに絡めませんでしたからね。逆に、「掛かるのが怖くて」後方待機に徹したヴァンドギャルドには展開がどハマリだったと言えそうで、結果として(比べるわけではないですが)オクトーバーSにおけるプレシャスブルーのようなレースができたのかもしれません。
一方で、断然人気に応えられなかったシュネルマイスターに関しては、ルメール騎手が「直線で加速せずワンペースの走りになり、最後は疲れてしまった。原因は分からない」とコメントしていますが、これこそ消耗戦の沼に引き込まれ、力を出せなかった馬の典型的なパターンに思えますので、強いシュネルマイスターに実力を発揮させずに勝つ!という観点では、パンサラッサと吉田豊騎手は最高の仕事をしたと言って良いでしょう。
そんな中、シュネルマイスターと同じ位置から競馬をして、最後にパンサラッサと1着を分け合うことになったロードノースの強さには本当に驚きました。陣営がレース前にアピールしていた通り、長期休養明けを一度叩いてフレッシュかつ絶好調でレースに臨んだことも大きいのでしょうが、そもそも昨年の勝ちっぷりが素晴らしかったわけですし、もしも相手ホームのロイヤルアスコットで再戦となれば、その時はドバイターフ時以上の強敵になること間違いなしですね。
ここまでレースラップを元に振り返ってみましたが、ロードノースが想像以上に強かったことに加え、もともと強いヴァンドギャルドが『時々出てきてしまう展開どハマリ馬』化したことで、ゴール前3頭雁行の大接戦になったと考えると、パンサラッサはよく凌ぎ切って残してくれたものだと、改めて感心してしまいます。
ただ、吉田騎手や矢作先生の現場の実感としてパンサラッサがいつもと違っていたこと、思ったほど最初から行く気になっていなかったことは、それはそれで真実なのだろうと思います。例えば1000m通過タイムの比較にしても、中山の芝1800mはスタートしてから坂を越えての時計なわけで、平坦なメイダンと『タイムが同じぐらいだから…』とはいきませんよね。
いやぁ、この手の分析もやり出すとキリがなくなりますねぇ。。(^^;) でも、何らかの結論を出さないと終われない雰囲気なので、あえて大雑把に、私なりの解釈を書いてしまいます。(想像も入ってますm(_ _)m)
レース前、陣営が想定していたのはハイペースで逃げて消耗戦に持ち込む『中山記念パターン』だった、つまり、溜め逃げするつもりは全然なかったのだと思います。ただ、初めてのナイター競馬、初めての海外競馬(パドックから本馬場に入ってすぐにスタートするなど日本とは違ったやり方)への戸惑いがあり、パンサラッサの行きっぷりがいつもほどでなく、結果的に中山記念パターンより(平均ペース逃げだった)オクトーバーSパターンに少しだけ近づいてしまったのではと…。
それでもピッタリついてきたカーネルリアムを着外に沈め、中団待機のシュネルマイスターに力を出させなかったのですから、当初の目的は概ね達成できたわけです。あの時さらにペースを上げていたらどうなっていたか…については全然わかりませんし、消耗戦だったかどうかについては『概ねそうだったと思う』としか言いようがありませんが、それがどうであれ、自ら勝ちにいって最後まで凌ぎ切ったパンサラッサの強さが光るレースだった、これだけは間違いないと思っています。
レース後のコメントで吉田騎手が、「逃げ馬に乗っていて、ゴールの瞬間に勝ち負けが分からない時は大体差されているもの…」と語っていましたが、本当によく残してくれましたし、臨機応変にパンサラッサの力を引き出してくれたことには感謝しかありません。ロードノースとヴァンドギャルドの強襲には肝を冷やしましたが、やはり、初めての海外遠征でG1を勝つなんて、簡単にはさせてくれませんよねぇ。。(できちゃいましたけど(^^ゞ)
それにしても、本当にロイヤルアスコットにいきますかね?? どうするんでしょうねぇ…
スポーツ報知『【ドバイ・ターフ】「ドキドキでした」吉田豊騎手のパンサラッサは同着でG1初制覇』
ゴール前の混戦はパンサラッサ(右)とロードノース(中)が1着同着。左は3着のヴァンドギャルド
◆ドバイ・ターフ・G1(3月26日、メイダン競馬場・芝1800メートル=14頭立て)
JRAの海外馬券が発売された芝の中距離G1は、逃げたパンサラッサ(牡5歳、栗東・矢作芳人厩舎、父ロードカナロア)が、後方から追い込んできた昨年覇者のロードノース(セン6歳、英国・Jゴスデン厩舎、父ドバウィ)と1着同着。ゴール前の大接戦に加わったヴァンドギャルド(牡6歳、栗東・藤原英昭厩舎、父ディープインパクト)は惜しくも3着に敗れた。シュネルマイスター(牡4歳、美浦・手塚貴久厩舎、父キングマン)はいつもの末脚を発揮できず8着に終わった。勝ち時計は1分45秒77(良)。
日本馬の関係者コメントは次の通り
▼パンサラッサ(1着)
矢作芳人調教師「ナイターの競馬のせいか、思ったほど馬が行かなかったですが、その分の粘りは大したものでした。恐らく負けてはいないと思っていましたが、同着でも嬉しいです」
吉田豊騎手「馬が以前と変わってきた感じです。返し馬では少しイレ込んでいましたが、レースでは落ち着いていました。ゲートの中でも前走のように大人しく、うまくスタートを切ることが出来て自分のペースで行けました。後ろから他の馬も来ていてドキドキでしたが(勝てて)良かったです」
▼ヴァンドギャルド(3着)
藤原英昭調教師「騎手はしっかりと乗ってくれました。最後は勝ったと思いましたが、残念です。ヴァンドギャルドは100%の力を発揮してくれました」
ミカエル・バルザローナ騎手「ゲートは普通に出ましたが、ひっかかりそうな雰囲気があったので、後方で脚をためる競馬となりました。良い脚で追い込んできてもう少しでしたね。馬はよく走ってくれました」
▼シュネルマイスター(8着)
手塚貴久調教師「状態は良かったですし、直線もスムーズに外に出せたので正直なところまだ敗因がつかめていません。道中で揉まれたのが影響したのかもしれません。人気に応えられなくて申し訳ありません。また馬を作り直して頑張ります」
クリストフ・ルメール騎手「良いポジションで冷静に走ってくれましたが、直線で加速せずワンペースの走りで、最後は(馬が)疲れてしまいました。原因は分からないです。残念です」
観てるコッチとしても
他馬がついてくると
タメ逃げにしか見えませんよね。
「原因がわからない。」と
ルメールが気付けないくらいの
淀みのないペースが演出でき
パンサラッサへと誘ったのでしょう。
かつて地球に存在した唯一の海に・・
正直なところ、もっと前半で後ろと離れる想定でしたから、『あれ?どうしたんだろう…』と思いながら見ていました。
矢作先生も同じような気持ちで見ていたのかなぁ…
それにしても、ロードノースの強さはすごかったですね、さすが昨年のチャンピオン。
強いレースをした2頭が好タイムで同着優勝ですから、レースとしてもドバイターフは素晴らしかったと思います。
見た目今までと違いましたが、他の先行馬が崩れたのに対して死んだふりしていたヴァンドギャルドが激走し、4着以下が離れたところを見ると、ロードノースが強かっただけでいつものパンサラッサだったのではないかと推測していました。
こうして見ると戸惑わずに落ち着いて馬の気に任せた吉田豊騎手の好プレーが光ったレースだったということですね。やっぱり経験豊富でパンサラッサに乗りなれた彼以外の選択肢はありませんでしたね。
シュネルマイスターについても同じ意見。沼にはまったと思います(笑)パンサラッサはいつも1番人気をしっかり沼にはめますね。
シュネルマイスターとルメールには何の恨みもありませんが、あのNHKマイルの悪夢が晴れた気分です(笑)
あと外人騎手にはどういう言い方をしたか知りませんが、ヴァンドギャルドは絶対組長によるパンサラッサを意識した作戦だったと思います。矢作祭りと言われていますが、この人も今回すごい結果を出しましたからね。
パンサラッサ対藤原組というのもなんか因縁めいた勝負でワクワクします。
仰る通り、吉田豊騎手を鞍上に配したこと、これが大きかったように思います。
パンサラッサのペース、走っている時の感触をよく分かっていること、ベテランで落ち着いていて変な気負いがないこと…
リーディング順位に関わらず、しっかりしたジョッキーに継続騎乗をお願いした時の良い面がモロに出たレースだったと思います。
シュネルマイスターさんは今回は残念だったでしょうが、もともと強いので大丈夫でしょう。
国内に戻ったら、きっと末脚勝負のレースで活躍すると思います。
(安田記念でバスラットレオンと当たったりして(°◇°;) )
あとは藤原先生…
やはり、ただ黙って矢作厩舎祭りを見ているような甘いお方ではありませんでしたね。
怖いなぁ… ホントに怖いなぁ… いろいろな意味で(^^;)
ラップを見て、レース内容の理解が深まりました。
いずれにしても、逃げてジャスタウェイさんのレースレコードに0.2らしいので、強いレースでしたし、それに迫ったロードノースさんは、メチャクチャ強かったです。
どんなレーティングになるか、楽しみです。
ロイヤルアスコットの件ですが、宝塚記念でファン投票1位になっちゃったら、どうしましょう🤔(ない話では、ないような…)
そうなんです、1.45.77の時計はめちゃくちゃ優秀だと思います。
スローペースで2.26.88の決着だったシーマクラシックとは対照的で、やはり、パンサラッサが出るレースは総合力を厳しく問われる争いになりますね。
レーティングは118とか120とか… もらえないかなぁ(^^;)
宝塚記念のファン投票は忘れてました。
確かに、上位に入ったら矢作先生の気持ちも変わるのかな(^^ゞ
凄いレースだったんですね(・・;)
やはり吉田豊騎手だからこそ勝てたレースですね!
これからどこへ向かうのか大変楽しみです。
吉田豊騎手と共にさらなる活躍を期待です。
ですねぇ~
118はいくでしょうが、120はどうか…
もらえてもおかしくはない気がしますけどねぇ(^^ゞ
キタサンブラックなどがそうでしたが、前で勝負をする晩成馬というのは、レースを重ねるごとに強さを増していきますからね。
パンサラッサ&吉田豊コンビも、キタサン&武豊コンビと同じように熟成されつつあると思います(^^)