わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

本焼き (窯詰め)

2008-05-21 18:35:39 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
A 窯詰めの方法

 1) 作品を棚板に載せ、段々に積上げる方法

   一般的な窯詰めの方法です。(電気、ガス、灯油窯の場合)

 2) 「さや詰め」による方法。(釉薬を掛けた作品を薪窯で焚く場合)

   ・ 「さや」と呼ばれる箱の中に作品を入れ、蓋をして其の上に更に、

    「さや」を段々に重ねていく方法です。

   ・ 作品に薪の灰が掛からない様にします。
  
   ・ 薪窯以外でも、強還元に焼くために、「さや」の中に作品と伴に炭を入

     れる場合も在ります。

  ここでは、1)の方法の窯詰めについて述べます。

B 窯の性質(くせ)をつかむ。

 1)釉薬は溶ける温度や、窯の冷める速さ(徐冷、急冷)によって、作品の色が

   変化します。その他 酸化炎、還元炎、釉薬の流動性など色々な要素が絡ん

   できます。

 2) 何度か窯焚をすると、その窯特有の「くせ」をつかむ事が出来ます。

   ・窯が大きくなるに従いその「くせ」はハッキリして来ます。

   ・どの作品を何処に置いたら、望み通りに焼き上るかを考える。

C 作品のグループ分け

  作品の大小や、多種類の釉薬が混在している作品群を、窯詰めするには、予め

  作品のグループ分けをしていれば、効率的です。

  ・作品は重ねて窯詰めが出来ませんので、スペース的にも有効です。

 1) 作品の高さを揃えて、グループ分けする。

 2) 釉薬の種類別に、グループ分けする。

 3) 上記を取り混ぜて、グループ分けする。

D 窯詰め

  釉薬は種類によって、溶ける温度が、20℃程度の差が出る事があります。

 1) 最下段は最上部に対して、温度が窯の大きさや窯の種類によって、

   10℃ ~ 20℃程度低いのが一般的です。

  イ) それ故 最下段は融点の低い釉薬を掛けた作品を並べる。

  ロ) 又窯の温度は、最下段ほど早く冷えます。それ故 黒天目など早く冷や

    した方が良い作品は、最下段に並べます。

  ハ) 結晶釉など、結晶を成長させる為に、ゆっくり冷やす間合いは、最上部

    に並べると良い。

  ニ) 流れる(流動性がある)釉薬は、最上部では高温度が長く続く為、ここ

     には並べない方が良いでしょう。


 2) 窯詰めの実際

   イ)窯詰めは、奥の最下段から作品を並べていきます。(窯が大きい場合)

   ロ) 作品の高さを、なるべく揃える。

   ハ)棚板に無駄なく載る作品を組み合わせて、無駄なスペースを少なくする

   ニ) 作品と作品の隙間(スペース)は、指一本入る程度開ける。

   ホ) 棚板から作品が、はみ出さない様にする。

   ヘ) 支柱を3(又は4)本立てて、その上に棚板を載せる。

    ・作品と天井の棚板との隙間は、指一本程度開ける。

   ト) 窯の天井部分が、アーチ状になっている場合は、そのアーチに沿って

     作品を並べると、無駄が無い。

   チ) 貝を置いて作品を、下から支える。

    ・ 本焼きは1200℃~1280℃で焼きます。高温になると素地は
    
     やや軟らかくなります。(一般的には1200℃~1250℃が多い)

    ・ 脚の付いた角の平皿など、中間点が垂れ下がるのを防ぐ。

    ・ 逆に軟らかくなる性質を利用して、「ひび」の入った部分が垂れ下が

      る様に、両側に貝を入れて「ひび」をくっ付ける。

    ・ 貝は赤貝、アサリ、ハマグリ、シジミなど何でも良い。

    ・ 貝の下に丸めた粘土片入れ、上から押さえて底面を平らにする。

    ・ 本焼きすれば、貝は手で崩れ粉々になり、取り除けます。

     釉薬に貝の痕が付きますので、目立たない位置に置いて下さい。



  
コメント
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