わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

窯焚き (点火 1)

2008-05-26 16:17:42 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
窯詰めが済んだら、いよいよ点火(スイッチ ON) と成ります。

 ・(温度計のスイッチもONにし、メモ帳等も用意する)

 1) 窯の扉(又は蒸気穴)を若干開け、釉薬の水分や、窯道具(棚板等)

   の水分を蒸気として、外に逃がす様にします。

  ・ 蒸気を逃がさないと、窯の天井部に水滴が溜まり、それが落下して作品に

   掛かると、作品にシミ等の汚れとして現れます。

 2) 温度を上げる(昇温)スピードは素焼ほど神経を使う必要は有りません。

   どんどん上げて下さい。

 3) 炎の出る窯(ガス、灯油、薪など)では、強い酸化炎や、強い還元炎では

   昇温のスピードは遅く、時には温度が下がる場合があります。

   ・ 燃料の供給量を増やしたら、温度が下がった場合、慌てずに、そのまま

    の状態を保持して置けば、5分程度で又温度が上がる場合が多いです。

    (10分たっても、温度が上がらない場合には、空気の供給量を増やすか

     燃料の供給量を減らします)

   ・ 酸化炎にして、温度が下がる場合、煙突の引きを弱くします。

   ・一番昇温スピードが速いのは、中性炎で焚いた時です。

    後で述べますが、酸化、還元の分かれる温度は、900℃ ~ 950℃

    ですので、その温度まで中性炎で焚いても問題無いと思います。

 4) 400℃程度になると、蒸気の発生量はほとんど無くなります。

   ここで扉を完全に閉めます。(蒸気穴を閉じます)

 5) 窯には幾つかの調整機能が付いています。

   イ) 燃料(又はアンペア数)の量を調節する。

    ・ ガス圧、灯油の供給量、薪のくべ具合の調整。

    ・ バーナーのバルブの開き具合による調整。

   ロ) 空気の供給量を調節する。(電気の場合はありません)

    ・ バナーと一緒に送り込む空気量。

    ・ 煙突の引きの強さを調整した空気量。

  少なくとも以上二つの調整は必要です。窯に拠っては、更に調整機能がある

  場合がありますが、調整機能をいじくり回すと、どの調整機能が作用したのか

  解からなくなり勝ちですので、なるべく固定して使った方が良いでしょう。

 6) 点火時の窯の状態をどうするかには、二つの 考え方があります。

  イ) ともかく早く昇温する為に、中性炎で焚く方法。

  ロ) 窯全体の温度をなるべく一定にして昇温する、やや酸化炎で焚く方法。

  ・ どちらが良いかは、窯により、経験により決めて下さい。

 7) 今回の窯焚きは、酸化焼成か、還元焼成か、予め決めて置くと良いです。

   ・ 実際は窯が大きいと、窯の部分部分に寄って、酸化の部分、還元の部分

    と分かれる場合が多いです。(特に燃料を使う窯)

   ・ 陶芸教室など複数の人が、色々な釉薬を使う場合、完全に酸化、還元と

    区別して焼くことは実際的ではありません。
  
    上記の窯の特性(クセ)を把握して、窯詰めをする場合もあります。

    (窯が小さく、小回りのきく場合には、酸化、還元を区別します)

   ・ 尚 電気で焼成する場合、基本的には酸化焼成ですが、

    ガス(プロパン)を供給して還元で焼成できる窯もあります。

    窯が傷みますが、炭を窯の中に置く方法もあります。
   


 
コメント
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