わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶磁器の絵付け(チャイナペイント) 2

2010-01-19 22:04:46 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
前回に引き続き、チャイナペイントの、話を致します。

・ チャイナペイントの制作方法

  ① 陶磁器用の絵具は、“顔料”と呼ばれる、鉱物の粉末から出来ています。

    色々な鉱物を、混ぜ合わせて、様々な色を、作り出す事が出来ます。

  ② 絵付け方法は、粉末状の絵の具を、専用オイルで、良く練り、平筆か丸筆で、描きます。

    乾燥後に、重ね塗りも、可能です。

    オイルの種類は、大分すると、速乾性のオイルと、遅乾性のオイルに、分けられます。

  ③ 手法は、溶剤で溶いた、専用の絵の具を、丸筆、平筆、細い筆などを、使って、花やフルーツなど

    様々な絵を描きます。絵付けの段階では、何度でも、描き直す事が出来ます。

  ④ 焼成窯は、メーカーによって、何種類かあります。

    陶芸用電気炉の場合、焼成温度は800℃程度で、焼成時間は3時間半~4時間位かかります。

  ⑤ アメリカンスタイルでは、更に描き加えて、再度焼成します。

    この焼成を、数回繰り返しながら、画面に深みと、色彩の広がりを、表現していきます。

  ⑥ 豪華な、作品にしたい場合は、金彩を施すと効果的です。

    但し、金は焼成温度が低い(780℃位)ので、最後に焼成します。
 
  ⑦ 一つの作品が、出来上がる迄には、大変な手間と時間が、掛かる場合もあります。

    一般に、市販されている磁器は、転写紙によるものが、ほとんどです。

    それに比べ、手描きには、色の美しさや、微妙なグラデーション、細い線描など、転写紙では

    出せない、魅力が多くあります。

  ⑧ 焼成された器は、装飾品や食器として、使用できます。

    但し、絵の具は、食品安全合格品(食器専用)を使います。 

 ・ 前回お話した、「イングレーズ」の方法を、使う方法も有ります。

   即ち、下絵付けの様に、染付けをしたい場合、釉の上に、専用の絵の具で、絵を描いて、

   高温(1250℃位)で焼成し、釉の中に、滲み込ませる、方法をとります。


日本は、質の良い白磁や、絵の具が、簡単に手に入り、色々な、道具類を、売っている店も多く、

もっと、もっと愛好者が、増えていくと、思われます。


・ 絵の具の有毒性

 ① 陶磁器の絵具の中には、一般に、水彩や油絵で使われている、カドミニウムを含んだ、赤、黄色の、

   絵具もあります。

 ② チャイナペインティングと呼ばれる、技法の絵具のほとんどには、鉛が含まれていて、

   食器には向いていません。装飾として使用する場合には、さほど問題に成りません。

   又、食器専用の絵の具を使えば、問題ありません

   装飾用の絵具も、そうとは知らずに、食器をつくる際に、使っている人が、いるも知れません。

   たとえ、微量でも、人体に直接悪影響を、与える可能性が、有ります。

 ③ 有害な物質は、赤やオレンジや黄色など、派手な絵具が多いが、そうとはかぎらず、

   逆に派手な色でも、鉛やカドミニウムの、入っていないものが、開発されています。

・ 尚、市販されている、飲食用食器には、以下の規制があり、一般には、出回っていません。

・ 飲食用食器の、装飾面からのPb(鉛),Cd(カドミウム)の溶出規制

  飲食用食器の、装飾面(上絵付け装飾品が主)からの鉛、カドミウムの溶出は、食品衛生試験法で、

  規制されています。

  上絵具は、食器の釉面上に、顔料を焼付で、固着するために、融剤(フラックス=鉛ガラス)を

  混合して、作られていて、鉛及びカドミウムの溶出規定に、合格しないと、製造販売は許可されません。

・ 現在、国産の飲食器は勿論、メーカー自身、業界の検定機関でテストし、また輸入食器は、通関の際、

  厚生省関連の試験機関で、検査していて、市場には、不合格の食器は、販売されていません。

以下次回に続きます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする