わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶芸、陶磁器の諺、格言、名言 2

2011-01-05 22:07:50 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
陶芸の諺や、格言等についての、話を続けます。

3) 冷やしも、窯焚きの内

 焼成は窯を、高い温度にして、釉を熔かす行為ですが、良い作品に仕上げる為には、温度上昇や、

 最高温度だけで無く、火を消して(又は、火を弱めて)から、完全に冷えるまでの間も、重要に

 成ります。その為、上記の格言が生まれました。

 ① 窯の冷える速度は、窯の壁の厚さに、比例します。壁の厚い窯は、冷却スピードは、遅く成ります。

   それ故、結晶釉の様に、徐冷が適する場合には、壁の厚い方が、良い結果が出易いです。

   尚、壁の薄い窯の場合には、火を弱めて、結晶化が起こる温度付近で、一定時間温度を保持します。

 ② 窯の中でも、冷える順序は、場所によって差が出ます。

   窯の下部から冷え始め、次に壁の側面が、下部から順に冷えて行きます、そして上部が冷え、

   最後に上部の中央部分が、冷えます。

   それ故、黒天目の釉の様に、急冷で良く発色する釉は、下部に窯詰した方が、良いです。

   又、結晶釉の様に、結晶を成長させるには、ゆっくり温度を下げる、徐冷が適しますので、窯の上部に

   窯詰します。

4) 冷ます時間は、焼く時間と同じ。

   最高温度までに、懸かる時間と、窯が冷えて、窯出しする迄の時間を、同じにする事で、10時間

   懸けてた場合は、10時間懸けて窯を、冷やします。
 
   勿論、窯の構造によって冷えるスピードは、変化しますが、一応の目安とします。

5) 100℃に成ったら、窯出し

   焼き上がりの結果を、早く知りたくて、まだ窯が熱い内に、窯の扉を少し開けて、見たく成りますが、

   100℃を切るまで、我慢した方が良いでしょう。

  ① 300℃に成ったらば、窯出しが可能と言われますが、窯出しの際、火傷を負う危険があります

    ので、十分冷えてからの方が、安全です。

  ② あえて、温度の高い時に、窯出しを行う事も、有ります。

    温度が高い時に、急に外に出すと、表面の釉に、ひび(貫入)が入ります。

    「ひび割れ釉」を使うと、100℃程度の低温でも、ひびが入りますが、より粗い、ひびにしたい

    場合に、早めに窯出しをします。「チンチン」と音をさせながら、表面に亀裂が入ります。

    尚、無理に早く窯出しをすると、作品自体に、亀裂が入りますので、注意が必要です。

6) 後は窯次第

  一般に芸術品の完成とは、作者本人が、「これで完成だ」と判断した時、全てが完成した事に成ります。

  完全な完成を見ずに、途中で、運を天に任せる様な事をするのは、焼き物位かも知れません。

  それ故、幾ら優れた作品であっても、芸術品とは、呼べないと言う人も、居ます。

  ① 焼き物は、焼くと言う行為の結果の産物ですので、焼き上がるまで、結果が不明です。

  ② 焼きは、ある意味、偶然性が作用する要素を、多く含んでいます。

    それ故、幾ら最善を尽くしても、「後は窯次第」と言う事に成ります。

  ③ この事が、逆に陶芸の、魅力とも成っています。

    自分の力の、及ばない所で、物事が決まる事は、不安でもあり、楽しみでもある訳です。

以下次回に続きます。
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