わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

骨董入門 13 (酒器2)

2011-01-28 22:09:46 | 縄文土器の話、骨董の話
前回に続き、徳利の話をします。

酒を注ぐ容器には、徳利の他に、お銚子や、片口などが有ります。

1) 徳利とお銚子

  お銚子と徳利は、普段、同じ様な物として、扱われますが、実は、全く別の物です。

 ① お銚子: 元々は長い柄と、注ぎ口のついた、鉄製の容器で、改まった酒宴や、結婚式の

   三三九度や、神事などの儀式に、用いた物です。

   時代が下るに従い、鉄製から陶器・磁器、更には漆器製となります。

 ② 燗 鍋(かんなべ): 酒を温める杷手と、注ぎ口のついた、専用の鉄鍋です。
 
   平安時代に誕生し、江戸時代中期まで、使われていました。

   お銚子は、直接火に架けず、燗鍋で温めて、お酒を移して使用しました。

 ③ 徳 利: 湯煎(ゆせん)方式で、間接的に酒を、温める容器で、注ぎ口のついた、壷状の器です。

   湯煎方式が、普及した背景は、酒の風味が良い事と、燗の手間(温度調整など)が、省ける事により

   ます。その為、徳利が普及する事になります。

   注: 湯煎方式とは、徳利にお酒を入れて、お湯の中に浸ける方法です。

  ・ 徳利の語源は、「『トクトク』と注ぐ事から」ではなく、「朝鮮語の容器=トックルが徳利に

   成ったから」と、言われています。特に江戸の後期以降、盛んに使われる様に成り、色々な形の

   物が、登場すると共に、お銚子は、姿を消して行きます。

  ・ 上記の様に、お銚子から、徳利に変化して行く中で、言葉が混同され、お銚子も徳利も同じ物を

    指す言葉に成ったと、言われています。

 ④ 片口と鯛酒

   私事ですが、先日お結い事が有り、ある割烹店に行った時、径が20~25cmほどの、焼しめ

   陶器の片口(鉢)に、日本酒が入れられて、供されました。片口の中には、お酒と焼いた鯛が

   一匹入っていました。(焼いた鯛の匂いが、強くて酒は、それほど美味しくは、感じませんでした)

   その時、古い時代には、片口も酒の器に、使用されていたのだと、初めて気がつきました。

2) 磁器製と陶器製の徳利

 ① 磁器製の徳利

   染付けされた徳利や、色絵が施された伊万里製や、九谷製、それに京色絵などの、豪華な、徳利

   などが、有ります。磁器は熱伝導がよく、中の酒も冷えやすい、弱点も有りますが、大量に量産でき、

   色絵以外は、安価に取引されている様です。特に明治以降の、印版手と言われる、染付けの徳利は、

   容易に手に入る利易いです。

 ② 陶器製の徳利

   釉が掛けられた、徳利と、無釉の焼締めの、徳利が有ります。

  ・ 施釉の徳利では、唐津焼き、萩焼などが有名です。

    唐津焼きでは、斑唐津、朝鮮唐津、絵唐津などの他、飴釉、黒釉、灰釉等が、掛けられています。

  ・ 無釉の焼締めでは、備前、信楽などが、代表的な物です。

    自然釉のビードロや、胡麻、火襷など、景色を楽しむと、同時に、土ものは、熱を伝え難いため、

    保温効果もあり、趣味(蒐集)的には、磁器製よりも、好まれるようです。

    土味を楽しんだり、持ち易さ、手触り、大きさ(酒の入る量)などを、考慮に入れて、集めるのも

    楽しい事と、思います。

以下次回に続きます。
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