前回に続き、徳利の話をします。
酒を注ぐ容器には、徳利の他に、お銚子や、片口などが有ります。
1) 徳利とお銚子
お銚子と徳利は、普段、同じ様な物として、扱われますが、実は、全く別の物です。
① お銚子: 元々は長い柄と、注ぎ口のついた、鉄製の容器で、改まった酒宴や、結婚式の
三三九度や、神事などの儀式に、用いた物です。
時代が下るに従い、鉄製から陶器・磁器、更には漆器製となります。
② 燗 鍋(かんなべ): 酒を温める杷手と、注ぎ口のついた、専用の鉄鍋です。
平安時代に誕生し、江戸時代中期まで、使われていました。
お銚子は、直接火に架けず、燗鍋で温めて、お酒を移して使用しました。
③ 徳 利: 湯煎(ゆせん)方式で、間接的に酒を、温める容器で、注ぎ口のついた、壷状の器です。
湯煎方式が、普及した背景は、酒の風味が良い事と、燗の手間(温度調整など)が、省ける事により
ます。その為、徳利が普及する事になります。
注: 湯煎方式とは、徳利にお酒を入れて、お湯の中に浸ける方法です。
・ 徳利の語源は、「『トクトク』と注ぐ事から」ではなく、「朝鮮語の容器=トックルが徳利に
成ったから」と、言われています。特に江戸の後期以降、盛んに使われる様に成り、色々な形の
物が、登場すると共に、お銚子は、姿を消して行きます。
・ 上記の様に、お銚子から、徳利に変化して行く中で、言葉が混同され、お銚子も徳利も同じ物を
指す言葉に成ったと、言われています。
④ 片口と鯛酒
私事ですが、先日お結い事が有り、ある割烹店に行った時、径が20~25cmほどの、焼しめ
陶器の片口(鉢)に、日本酒が入れられて、供されました。片口の中には、お酒と焼いた鯛が
一匹入っていました。(焼いた鯛の匂いが、強くて酒は、それほど美味しくは、感じませんでした)
その時、古い時代には、片口も酒の器に、使用されていたのだと、初めて気がつきました。
2) 磁器製と陶器製の徳利
① 磁器製の徳利
染付けされた徳利や、色絵が施された伊万里製や、九谷製、それに京色絵などの、豪華な、徳利
などが、有ります。磁器は熱伝導がよく、中の酒も冷えやすい、弱点も有りますが、大量に量産でき、
色絵以外は、安価に取引されている様です。特に明治以降の、印版手と言われる、染付けの徳利は、
容易に手に入る利易いです。
② 陶器製の徳利
釉が掛けられた、徳利と、無釉の焼締めの、徳利が有ります。
・ 施釉の徳利では、唐津焼き、萩焼などが有名です。
唐津焼きでは、斑唐津、朝鮮唐津、絵唐津などの他、飴釉、黒釉、灰釉等が、掛けられています。
・ 無釉の焼締めでは、備前、信楽などが、代表的な物です。
自然釉のビードロや、胡麻、火襷など、景色を楽しむと、同時に、土ものは、熱を伝え難いため、
保温効果もあり、趣味(蒐集)的には、磁器製よりも、好まれるようです。
土味を楽しんだり、持ち易さ、手触り、大きさ(酒の入る量)などを、考慮に入れて、集めるのも
楽しい事と、思います。
以下次回に続きます。
酒を注ぐ容器には、徳利の他に、お銚子や、片口などが有ります。
1) 徳利とお銚子
お銚子と徳利は、普段、同じ様な物として、扱われますが、実は、全く別の物です。
① お銚子: 元々は長い柄と、注ぎ口のついた、鉄製の容器で、改まった酒宴や、結婚式の
三三九度や、神事などの儀式に、用いた物です。
時代が下るに従い、鉄製から陶器・磁器、更には漆器製となります。
② 燗 鍋(かんなべ): 酒を温める杷手と、注ぎ口のついた、専用の鉄鍋です。
平安時代に誕生し、江戸時代中期まで、使われていました。
お銚子は、直接火に架けず、燗鍋で温めて、お酒を移して使用しました。
③ 徳 利: 湯煎(ゆせん)方式で、間接的に酒を、温める容器で、注ぎ口のついた、壷状の器です。
湯煎方式が、普及した背景は、酒の風味が良い事と、燗の手間(温度調整など)が、省ける事により
ます。その為、徳利が普及する事になります。
注: 湯煎方式とは、徳利にお酒を入れて、お湯の中に浸ける方法です。
・ 徳利の語源は、「『トクトク』と注ぐ事から」ではなく、「朝鮮語の容器=トックルが徳利に
成ったから」と、言われています。特に江戸の後期以降、盛んに使われる様に成り、色々な形の
物が、登場すると共に、お銚子は、姿を消して行きます。
・ 上記の様に、お銚子から、徳利に変化して行く中で、言葉が混同され、お銚子も徳利も同じ物を
指す言葉に成ったと、言われています。
④ 片口と鯛酒
私事ですが、先日お結い事が有り、ある割烹店に行った時、径が20~25cmほどの、焼しめ
陶器の片口(鉢)に、日本酒が入れられて、供されました。片口の中には、お酒と焼いた鯛が
一匹入っていました。(焼いた鯛の匂いが、強くて酒は、それほど美味しくは、感じませんでした)
その時、古い時代には、片口も酒の器に、使用されていたのだと、初めて気がつきました。
2) 磁器製と陶器製の徳利
① 磁器製の徳利
染付けされた徳利や、色絵が施された伊万里製や、九谷製、それに京色絵などの、豪華な、徳利
などが、有ります。磁器は熱伝導がよく、中の酒も冷えやすい、弱点も有りますが、大量に量産でき、
色絵以外は、安価に取引されている様です。特に明治以降の、印版手と言われる、染付けの徳利は、
容易に手に入る利易いです。
② 陶器製の徳利
釉が掛けられた、徳利と、無釉の焼締めの、徳利が有ります。
・ 施釉の徳利では、唐津焼き、萩焼などが有名です。
唐津焼きでは、斑唐津、朝鮮唐津、絵唐津などの他、飴釉、黒釉、灰釉等が、掛けられています。
・ 無釉の焼締めでは、備前、信楽などが、代表的な物です。
自然釉のビードロや、胡麻、火襷など、景色を楽しむと、同時に、土ものは、熱を伝え難いため、
保温効果もあり、趣味(蒐集)的には、磁器製よりも、好まれるようです。
土味を楽しんだり、持ち易さ、手触り、大きさ(酒の入る量)などを、考慮に入れて、集めるのも
楽しい事と、思います。
以下次回に続きます。