わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 88 窯の調整の仕方は?3

2015-03-06 16:30:42 | 素朴な疑問
1) 窯の調整機能とは?(どんな事が調整できるのか?)前回の続きです。

  ④ 酸化、還元焼成と温度上昇の関係。

   燃料を使う窯の場合、温度を上昇させる為には、適度の窯内の雰囲気が必要です。

   酸化が強すぎても、還元が強すぎても温度上昇は低下するか、最悪温度低下を招きます。

   例えば、一定温度に保つ「寝らし」と呼ばれる行為では、強酸化焼成する事で一定に保つ

   事ができます。又、薪窯やガス、灯油窯の場合燃料の供給を増やした瞬間、温度が低下する

   事が有ります。これは、酸素(空気)の供給が追いつかないなどの為と思われます。

  ) 燃料の供給を増やした時、温度低下に対する処置。

   温度上昇が鈍る高温部では、徐々に燃料の供給を増やすのが一般的な方法です。しかし予想に

   反し、温度低下を招く事も稀では有りません。その際あわてて、窯の調整部を操作して、

   温度上昇に変え様とすると上手く行かない事も多いです。

   a) 温度がどんどん低下し、10℃以上落ちる事も珍しくありません。これは、供給量が

    多過ぎたのが原因と思われます。それ故、供給量を若干少なくするのも一つの解決策です。

   b) 冬場などでは、燃料が冷えている為、冷たい物が多量に窯に入り込み、結果的に窯を

    冷やすとも考えられます。

   c) 供給量が増した為、還元焼成気味になり、空気量を増す様に煙突の引きを強くした場合、

    冷たい空気が外部より入り込み、窯の温度を低下させたとも考えられます。

   d) 私の経験からすると、多くの場合、何もせずに放置すると、5~10分程度で、温度上昇

    に転じます。即ち、乱された窯の雰囲気が一定になり、温度上昇に転じたものと思われます

    それ故、「ジタバタ」しないで、静観した方が良い結果が得られる場合が多いです。

  ) 一般に温度が一番上昇するのは、中性炎と言われています。

    実際には、やや酸化気味かやや還元気味に成り、完全な中性炎は難しいです。

   a) ガス窯の場合、バーナーヘッドから出る炎の色を見て判断できます。

    炎の色は青であれば酸化焼成であり、オレンジ色になえれば還元焼成に成ります。

    バーナーの空気流入口の開閉具合で調整し、炎の色を見ます。

   b) 窯の壁に設けられた、色味穴(空気穴)の状態で判断できます。

    窯は呼吸を繰り返しているとも言えます。即ち、色味穴から窯の中に空気が流入している

    場合は、酸化焼成とし、炎が吹き出ていれば還元焼成と見て良いでしょう。

    中性炎では、この流入と流出が適度の間隔で繰り替えされている状態とも言えます。

   c) 薪などの燃料の場合、煙突から黒い煙が出ている状態が、還元焼成であり、白っぽい煙が

    酸化焼成の状態と言われています。

  ⑤ 炎の流れを調整する。

以下次回に続きます。

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