わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 98 陶芸での失敗事例2?

2015-03-25 15:06:57 | 素朴な疑問
3) 制作途中の失敗。

 ① 作品を作る方法は、色々あります。

  大きく分ければ、手捻り、電動轆轤、機械轆轤、鋳込み方法などです。これらの方法も更に幾つかの

  方法に別れます。但し、ここでは省略します。

  機械轆轤や鋳込み方法は、同じ形の作品を多く作る量産的な方法ですので、普通に陶芸を楽しんで

  いる人にとっては、余り馴染みの無い方法です。

  当然作り方が変われば、自ずから作品の形や表情が変化する事が多いです。

 ② 作品に対する要求を満たす制作方法を見付ける事で、失敗を回避できます。

  一般に電動轆轤では綺麗な左右対称形になります。それに対し、手捻りでは、どの様な形の作品に

  対しても対応が可能です。若干表面に残る凸凹も、削り作業によって、轆轤挽きに引けを取らない

  位に表面を滑らかにする事も可能です。又、手捻りの特徴としては、制作途中で失敗しても、

  幾らでも修復可能な事が上げられます。それに対し電動轆轤では、一瞬にして作品が壊れる事は

  珍しくありませんし、修復技術も難しく、修復するよりも、最初からやり直す方が、時間的にも

  早く、綺麗な作品になります。

 ③ 電動轆轤は慣れれば、形の整った作品を、比較的短時間で作り出す事が可能です。手捻りは

  時間を掛けて作る事が多い傾向にあります。

 ④ 制作途中の失敗事例(手捻り)。

  ) 粘土の量を十分確保しない為の失敗。

    作品を作る際、途中で材料の粘土が不足し、新たの土を加えた時、違う土を使ってしまう

    事があります。生の粘土の色は、同じような色をしている場合が多いです。生で同じ色だから

    と言って、焼成後の土の色が同じである訳ではありません。同じ様に見える粘土でも焼成後に、

    白、黄色、茶褐色、黒色になる場合も有ります。それ故、数種類の粘土を使い分けて使用して

    いる窯場では、粘土の種類を間違えない様に管理する必要があります。

    又、同じメーカーの同じ名前の粘土であっても、ロットによっては、発色が微妙に変化する

    場合があります。それ故、使う量よりも若干多目に土は用意しておかなければなりません。

  ) 繋ぎ目の処置の失敗。

    手捻りでは、繋ぎ目が多く発生します。特に紐を巻き上げる紐作りの際には、一段毎に繋ぎ目

    が発生し、この繋ぎ目を指や竹箆(へら)などを使い、消す必要があります。勿論上下から

    紐を圧着する事で、必ずしも繋ぎ目を消す必要はありませんが、圧着が不十分の場合、繋ぎ目

    から「ひび」や水漏れの原因になりますので、繋ぎ目の線は見えない様に、内外共に処理する

    事が重要に成ります。

  ) 手捻りの場合、下段から順番に積み上げる方法と、各パーツを分割して作り、後から全体を

    組み立てる方法が在ります。

   a) 前者の場合は、全体の構想を頭に描きながら作業しますので、全体の形を把握し易くなる

    利点があります。しかし、背の高い作品は、下段がある程度乾燥し、強度が増さなければ、

    その上に土を載せる事は出来ません。さもないと、下段は上の重みで変形してしまいます。

   b) 後者の場合、各パーツを別々に作る為、作業待ちの状態は少ないです。それ故、割合

    早く、作品を作る事ができます。但し、組み立てる際に繋ぎ目の大きさが、上下で一致して

    いなければ成りません。更に、繋ぎ目部分は乾燥し過ぎでは、上手に接着できません。

    例えその場で完全に接着した様に見えても、時間が経つと、繋ぎ面に亀裂が入り易くなります

    ある程度、生(なま)に近い方が、接着面は綺麗に出来上がります。

 ⑤ 制作途中の失敗事例(電動轆轤)。

以下次回に続きます。

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