名古屋城天守閣(2015年12月撮影、今は工事中で見ることができません)
少し前のことですが、名古屋市が名古屋城天守閣復元問題で市民説明会を行いました。そこでの説明について報告します。現在名古屋市は、文化庁に対して調査結果を提出し、現天守の解体の許可を待っている状況です。
名古屋城天守閣の木造復元は、河村市長によって2009年ごろから言われだし、2015年には「オリンピックのある2020年までに完成させる」「工費は400億円」という話になりました。
しかし、専門部会である石垣部会が「石垣保全が不十分」という指摘をしたり、文化庁から「現状変更」(現天守閣の解体)の許可が出なかったりで、結局2020年完成は破綻し、2022年に延期しましたが、それも破綻し、今では2028年(リニア開通予定の年)に延期されています。
1月22日、市民向け説明会があり、それに参加しました。この説明会は、はじめに学芸員の講演が1時間ぐらいあり、そのあと、ユーチューブで公開している説明をそっくりそのままプロジェクターで流しました。説明は名古屋城の武将隊の一人である「徳川家康」が行いましたが、「でござる」とか「拙者」「その方」など、わざとらしいしゃべり方で、聞いていて市民を馬鹿にしているのかとも思いまた。
その後で、河村市長が参加して、質疑応答が行われました。
「復元事業の進捗状況」ということで、下記の4点が話されました。
復元事業の進捗状況
1の「き損事故への対応」と言うのは、2020年3月に、本丸の工事中、地下に埋蔵していた江戸時代の蔵跡(礎石)を破損したという事故です。学芸員の立ち合いのない中で、工事が行われたようです。
2の「文化庁からの指摘事項への対応と今後の流れ」については、2019年9月に文化庁から「指摘事項」という形で、名古屋市に対して注文がなされました。要約すれば、本丸の堀や、天守台の石垣等をしっかり調査(発掘を含む)しなさい、また、天守閣解体と言うが、耐震対策のためか、木造復元のためか考えをまとめなさいということです。
文化庁からの指摘事項への対応と今後の流れ
これを聞いてびっくり。「えっ、まだ文化庁の許可が出てないの?木材はもう買っているって聞いたけど?」今年4月に指摘事項の回答を提出するそうです。
3の「木材の調達及び保管状況」で、なんと2071本の木を買い、5つの県で保管していることが分かりました。
木材の調達及び保管状況
しかし、2018年の議会決議には、「木造復元の見通しが立った時に」という付帯事項があり、まだ見通しの立たない段階で購入したのはどういうわけだとの質問が出されました。また、いくらか言いませんでしたが、共産党の資料によると725本で約22億円です。単純計算で約62億7000万円がかかっていることになります。
4の「バリアフリーの検討」では、史実に忠実であることと誰でも天守に登れるためのバリアフリーの両立をめざすという考えだけが述べられました。しかし、具体的な方法は一切語られませんでした。
5の「機運醸成」では、後からの質問への回答で分かったことですが、天守閣の金シャチをおろし、それに触るというイベントを計画しているようです。コロナ禍の中、触るイベントはいかがなものかという意見が出されました。
ということで、現在の復元事業には、やはり無理がありすぎると感じました。
なお、名古屋市の説明動画はここをクリックしてください
名古屋の地名 由来
名護 (沖縄県)
名子 (福井県 敦賀)
奈胡 (福井県 小浜)
奈古 (山口県 阿武)
砂浜海岸に在る魚子ナゴ(漁夫)屋。
愛知県の愛知 由来
土着邇波氏(縄文人、エドム系)言語で、矢の多い所の意味。武器庫。
変遷 (郡号)
吾湯知→年魚市→年魚道→相津→愛育知→阿由知→愛知→愛智→愛知