おかげさまで生きてます

日々の暮らしのなかで

全米が泣いた?

2006年06月17日 | 日記・エッセイ・コラム
結論から言えば、泣いたのは僕だった。

明日は「父の日」である。とは言うものの、特別何かをする訳でもない。
父の日にプレゼントをしたのは、小学校低学年ぐらいまでだろうか。

うちの家族は、とくに「プレゼント」をするという習慣がない。
弟や妹が入学試験に合格しても、就職・結婚した時でも僕は何もしなかった。

「家族だから」

と思っていたが、周りの話を聞くと結構「祝事」は大事にするようだ。

そんな僕だが、今から3ヶ月とちょっと前、弟と飲む機会があった。
不馴れな東京で飲むことになったので、すべてを弟に任せて飲むことにした。

話題の中心は「両親」の事。長い間会っていないし、
僕よりも家族思いの弟は、熱心にオヤジたちの話を聞いていた。

オカンも愛すべきキャラクターをしているが、
負けずにオヤジのエピソードも沢山ある。
幼稚園の時、はじめてのバス旅行。水族館に行って帰るだけの小旅行だが、
帰って出来事を喋っているとオヤジが怪我をしているのに気付いた。

「お父ちゃんどないしたん?」

言葉を濁したオヤジだったが、オカンが

「あんたの乗ったバスが見えんようになるまで走って追い掛けてこけたんやて!」

子供ながらに、そんなオヤジが誇らしく思ったし嬉しかった。

小さい時に本が欲しいとねだると、たまに連れて行ってくれる事があった。
しかし、決まって本屋はしまっていた。

「あ、あかんわぁ~ 休みやわ!」

何度か続くと子供心にも不信感が募ったが、定休日だと分かったのは
もっと後になってからの事だった。

小さい時には色んな所に連れていってくれた。
物心つく前の写真もいっぱい残っているが、シャッターを切るのはいつも
オヤジだったのだろう。オヤジと写っている写真は少ない。

そんなオヤジたちの話をしながら飲んでいると、しみじみ弟が言った。

「親孝行がしたいなぁ」

僕も賛同した。今まで何もしてこなかった事に後悔を感じていたから。

「旅行なんかええんちゃう?」
「そうやな、どこがええやろな?」

そんな話をしている内に、今迄の事が思いだされて、目に涙が溢れてきた。

「あかん、ちょっと泣いてええ?」

すでに声にならない声で弟に問いかける。

「ええよ、泣き。泣いたらええねん。兄ちゃんも色々思う事あるんやろから。」

もう、ダメ。その声聞いて涙が止まらなくなった。居酒屋で飲んでたんで、
声を押し殺すが、涙は止まらない。

近いうちに、兄弟三人で何かをしようと約束してからも飲み続けた。

明日は「父の日」である。
普段はいっしょに飲む事が少ない。っていうか、正月ぐらいしか
酌み交わす事はない。

少し照れるが明日誘ってみようかな?

「おとうちゃん、いっしょに飲まへんか?」









コメント
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