おかげさまで生きてます

日々の暮らしのなかで

愉快な仲間たち その1

2006年06月23日 | 日記・エッセイ・コラム
ふと、昔の事を思い出す時があって、懐かしい人の顔が浮かぶ。

Tさん。
会社に勤めていた時に一緒に働いていた人だ。
中途採用で、僕よりも2~3歳年上だった。

ガチャピンのようなクリクリした目が特徴で、色白の顔にホッペだけが
ほんのり赤く、首をすくめて飛ぶように歩く人だった。

内向的な性格で、声も小さく、何事においても自信無さ気に仕事をする人だ。
それで居て憎めない(上司は違ったと思うが)性格で、
マスコット的存在だった。

ある日、
「T君、カーペットが剥がれてるから直しといて!」

Tさんは小さく頷くと、手にガムテープを握り締め修繕に向かう。

「こらこら、そんなんあかんやろ!」
課長の声が飛ぶ。そりゃそうだろ!剥がれてるカーペットの修繕がガムテープ?

「Tさん、しっかりしてよ!」

周りの僕達もTさんを叱咤激励する。

「うん」

あくまでもマイペースなTさんは、またまた小さく頷くと
今度は両面テープを手に剥がれたカーペットに向かった。

Tさんたら!てな感じで僕達は仕事を進めていると、
今度は課長の笑い声が聞こえてきた。

「Tくん、これでええと思うか?」

普段、クールで通っている課長が涙を流して笑っている。
周りの皆が「何事か?」と言った表情で課長とTさんが立っているところへ向かう。

修繕されたカーペット。
それを見た瞬間、僕達も笑ってしまった。

Tさんが行った修理行程はこうだ。

・剥がれたカーペットを元通りに押さえつける。
・その“上”に両面テープを貼付ける。
・丁寧に何度もその上を押さえ、しっかりと貼付ける。
・そしておもむろに、“両面テープ”のもう片方を剥がす。

「ゴキブリホイホイやないんやから!」

課長の一言に、僕達も涙を流して笑った。
当の本人はと言うと、何故笑われているのか分からないように立ち尽くている。

最年少のS君が、
「Tさん、こうするんやで!」
と、両面テープを使って見事にカーペットを床に貼付けた。

「あっ」

Tさんは小さく驚嘆の声を上げた。

とにかくTさんには逸話が多い。
一冊の本が出来上がるほどに。

次回も乞う御期待!









コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする