訪問日:令和5年8月29日(月)
因島と聞くと、すぐに思い浮かぶのは村上水軍かもしれませんが、近年では人気の時代小説の影響もあってか、村上海賊という言葉もよく耳にします。しかし、今回私が訪ねるのは、テレビドラマ「グレースの履歴」のロケ地となった、重井西港の突堤です。グーグルマップで検索すると、なんと“NHKテレビドラマ「グレースの履歴」のプロポーズ突堤”として、観光スポットになっているではありませんか。(残念ながら9月中旬には消えてしまっていましたが)
実は、この素晴らしいドラマを見てから、私は源孝志さんの原作本(河出書房)を購入し、既に3回も読み返しました。人間愛と夫婦愛に溢れた作品です。そして、ドラマでも脚本と監督を同じ源孝志さんが手がけているため、まさに思い通りの作品に仕上がったのではないでしょうか。
亡くなった妻・美奈子(尾野真千子さん)が愛車・グレースのカーナビに残した履歴を追い、不貞を疑う夫・希久夫(滝藤賢一さん)の物語が展開します。神奈川県藤沢市、長野県松本市、滋賀県近江八幡市、高島市、広島県尾道市、愛媛県松山市と各地を訪れます。それぞれの地で出会う素晴らしい人々によって、亡き妻の夫に対する想いが明らかにされていきます。これらの場所は観光地として有名ですが、あえて代表的なスポットを外して撮影の背景としているところに好感を持ちました。
エンディングでは、高島市のメタセコイアの並木が登場し、私にはとても懐かしい景色でした。私がその場所を訪れたのは10年以上前のことです。
ドラマの鍵となる要素は、モナコ公妃グレース・ケリーとホンダのスポーツカーS800(通称エスハチ)です。
愛車の名前である「グレース」は、もちろんグレース・ケリーに由来しています。しかし、実際にグレース・ケリーがこのS800に乗っていた(物語上)という事実を美奈子は知る由もありません。その事実を知ったなら、彼女は歓喜したことでしょう。
私が、一番感動したシーンは、幼少期、希久夫の父母の離婚により離れ離れになった兄弟(父親側・希久夫、母親側・由起夫)。今では、認知症を患う母が、次男・由起夫の長男を希久夫とよび、その甥が初めて会った希久夫に、「僕、希久夫でもかまへんよ。ばあちゃんがそれで幸せなんやったら、おじさんのかわりでもかまへん」というシーンでした。
キャスト陣も素晴らしかったです。S800の開発者の一人である仁科征二郎役を演じた宇崎竜童さん、そして孫の晴香役を演じた山崎紘菜さん、どちらもかっこよかったですね。
再放送があるのかどうかわかりませんが、ぜひ原作本をお読みになってください。きっと感動しますよ!
以下、先日の因島と、私が過去に訪ねた物語の舞台となった各地をご紹介します。
広島県尾道市因島重井町 希久夫が美奈子にプロポーズした突堤
希久夫(滝藤賢一)は、最後の目的地・愛媛・松山市に向かう途中、美奈子(尾野真千子)にプロポーズした思い出の地である因島を訪ねる。そこで、希久夫は美奈子が大事にしていた写真の釣り人の真相を知る。
重井西港を巡る海岸線を進むと、前方に長い防波堤が見えてくる
突堤の先で、希久夫は釣り糸を垂れる。魚が釣れたらポロポーズをしようと思っていたが、、、
現在では、観光用としてのみ除虫菊が栽培されている (撮影日=2023.8.21)
除虫菊の花と港は実に絵になる
毎年5月初め、白い花を咲かせる (撮影日=2010.05.03)
マーガレットに似た白い花弁から漂う清々しい香り 正式名称はシロバナムシヨケギク (撮影日=2010.05.03)
美しい日本の原風景がそこにある(撮影日=2010.05.03)
滋賀県近江八幡市
次の目的地である滋賀・近江八幡市に向かう。到着すると、目の前に30年前に生き別れたままの弟・由紀夫(柄本佑)が現れる。驚く希久夫に、由紀夫は2カ月前に美奈子が訪ねてきた日のことを語り始める。
新町通りは、巨額の富を築いた近江商人達の本宅が軒を連ねる通り (撮影日=2013.11.09)
八幡山麓に鎮座する日牟禮八幡宮は、成務天皇元年131年に創建された滋賀県を代表する古社の一つ
琵琶湖へと続く水路、八幡堀沿いには、白壁の蔵や美しい意匠が施された町屋建物が軒を連ねており、その景観の美しさから国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。鬼平犯科帳など時代劇のロケ地として知られています。
滋賀県高島市
希久夫(滝藤賢一)は、母・千江(丘みつ子)が認知症を患っていると聞き、勇気を出して会う決心をする。琵琶湖のほとりで穏やかに暮らす母と30年ぶりに対面した希久夫の目には、大粒の涙があふれる。
エンディングにも使用されているメタセコイアの並木。農業公園マキノピックランドを縦貫する県道小荒路牧野沢線には、延長約2.4kmにわたりメタセコイアが約500本植えられ、マキノ高原へのアプローチ道として高原らしい景観を形成しています。(撮影日:2014.07.19)
びわこ箱館山 ゆり園 ゴンドラで630mの山頂へ。(撮影日:2014.07.19)
愛媛県松山市
愛媛・松山を訪れた希久夫(滝藤賢一)は、宿泊先が見つからず、元恋人・草織(広末涼子)の家に泊まることに。亡き妻の思い出話を語るうち、希久夫は美奈子(尾野真千子)に会っていない、と言う草織のうそに気が付く。やがて全ての真相にたどり着いた希久夫は、妻の深い愛情と切ない望みを知り、涙を流す。
道後温泉本館 (撮影日:2021.03.14)
松山城は松山のシンボル
松山城の創設者 加藤嘉明像 沙織のお店はちょうどこの付近
最後までご覧いただきありがとうございました!
余談ながら
日曜劇場「VIVANT」堺雅人さん演じる主人公・乃木憂助のふるさとです。
ロケに使われたのが島根県奥出雲町にある国指定重要文化財「櫻井家住宅」
当時の訪問記は、こちらをご覧ください。
因島と聞くと、すぐに思い浮かぶのは村上水軍かもしれませんが、近年では人気の時代小説の影響もあってか、村上海賊という言葉もよく耳にします。しかし、今回私が訪ねるのは、テレビドラマ「グレースの履歴」のロケ地となった、重井西港の突堤です。グーグルマップで検索すると、なんと“NHKテレビドラマ「グレースの履歴」のプロポーズ突堤”として、観光スポットになっているではありませんか。(残念ながら9月中旬には消えてしまっていましたが)
実は、この素晴らしいドラマを見てから、私は源孝志さんの原作本(河出書房)を購入し、既に3回も読み返しました。人間愛と夫婦愛に溢れた作品です。そして、ドラマでも脚本と監督を同じ源孝志さんが手がけているため、まさに思い通りの作品に仕上がったのではないでしょうか。
亡くなった妻・美奈子(尾野真千子さん)が愛車・グレースのカーナビに残した履歴を追い、不貞を疑う夫・希久夫(滝藤賢一さん)の物語が展開します。神奈川県藤沢市、長野県松本市、滋賀県近江八幡市、高島市、広島県尾道市、愛媛県松山市と各地を訪れます。それぞれの地で出会う素晴らしい人々によって、亡き妻の夫に対する想いが明らかにされていきます。これらの場所は観光地として有名ですが、あえて代表的なスポットを外して撮影の背景としているところに好感を持ちました。
エンディングでは、高島市のメタセコイアの並木が登場し、私にはとても懐かしい景色でした。私がその場所を訪れたのは10年以上前のことです。
ドラマの鍵となる要素は、モナコ公妃グレース・ケリーとホンダのスポーツカーS800(通称エスハチ)です。
愛車の名前である「グレース」は、もちろんグレース・ケリーに由来しています。しかし、実際にグレース・ケリーがこのS800に乗っていた(物語上)という事実を美奈子は知る由もありません。その事実を知ったなら、彼女は歓喜したことでしょう。
私が、一番感動したシーンは、幼少期、希久夫の父母の離婚により離れ離れになった兄弟(父親側・希久夫、母親側・由起夫)。今では、認知症を患う母が、次男・由起夫の長男を希久夫とよび、その甥が初めて会った希久夫に、「僕、希久夫でもかまへんよ。ばあちゃんがそれで幸せなんやったら、おじさんのかわりでもかまへん」というシーンでした。
キャスト陣も素晴らしかったです。S800の開発者の一人である仁科征二郎役を演じた宇崎竜童さん、そして孫の晴香役を演じた山崎紘菜さん、どちらもかっこよかったですね。
再放送があるのかどうかわかりませんが、ぜひ原作本をお読みになってください。きっと感動しますよ!
以下、先日の因島と、私が過去に訪ねた物語の舞台となった各地をご紹介します。
広島県尾道市因島重井町 希久夫が美奈子にプロポーズした突堤
希久夫(滝藤賢一)は、最後の目的地・愛媛・松山市に向かう途中、美奈子(尾野真千子)にプロポーズした思い出の地である因島を訪ねる。そこで、希久夫は美奈子が大事にしていた写真の釣り人の真相を知る。
重井西港を巡る海岸線を進むと、前方に長い防波堤が見えてくる
突堤の先で、希久夫は釣り糸を垂れる。魚が釣れたらポロポーズをしようと思っていたが、、、
現在では、観光用としてのみ除虫菊が栽培されている (撮影日=2023.8.21)
除虫菊の花と港は実に絵になる
毎年5月初め、白い花を咲かせる (撮影日=2010.05.03)
マーガレットに似た白い花弁から漂う清々しい香り 正式名称はシロバナムシヨケギク (撮影日=2010.05.03)
美しい日本の原風景がそこにある(撮影日=2010.05.03)
滋賀県近江八幡市
次の目的地である滋賀・近江八幡市に向かう。到着すると、目の前に30年前に生き別れたままの弟・由紀夫(柄本佑)が現れる。驚く希久夫に、由紀夫は2カ月前に美奈子が訪ねてきた日のことを語り始める。
新町通りは、巨額の富を築いた近江商人達の本宅が軒を連ねる通り (撮影日=2013.11.09)
八幡山麓に鎮座する日牟禮八幡宮は、成務天皇元年131年に創建された滋賀県を代表する古社の一つ
琵琶湖へと続く水路、八幡堀沿いには、白壁の蔵や美しい意匠が施された町屋建物が軒を連ねており、その景観の美しさから国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。鬼平犯科帳など時代劇のロケ地として知られています。
滋賀県高島市
希久夫(滝藤賢一)は、母・千江(丘みつ子)が認知症を患っていると聞き、勇気を出して会う決心をする。琵琶湖のほとりで穏やかに暮らす母と30年ぶりに対面した希久夫の目には、大粒の涙があふれる。
エンディングにも使用されているメタセコイアの並木。農業公園マキノピックランドを縦貫する県道小荒路牧野沢線には、延長約2.4kmにわたりメタセコイアが約500本植えられ、マキノ高原へのアプローチ道として高原らしい景観を形成しています。(撮影日:2014.07.19)
びわこ箱館山 ゆり園 ゴンドラで630mの山頂へ。(撮影日:2014.07.19)
愛媛県松山市
愛媛・松山を訪れた希久夫(滝藤賢一)は、宿泊先が見つからず、元恋人・草織(広末涼子)の家に泊まることに。亡き妻の思い出話を語るうち、希久夫は美奈子(尾野真千子)に会っていない、と言う草織のうそに気が付く。やがて全ての真相にたどり着いた希久夫は、妻の深い愛情と切ない望みを知り、涙を流す。
道後温泉本館 (撮影日:2021.03.14)
松山城は松山のシンボル
松山城の創設者 加藤嘉明像 沙織のお店はちょうどこの付近
最後までご覧いただきありがとうございました!
余談ながら
日曜劇場「VIVANT」堺雅人さん演じる主人公・乃木憂助のふるさとです。
ロケに使われたのが島根県奥出雲町にある国指定重要文化財「櫻井家住宅」
当時の訪問記は、こちらをご覧ください。