6月30日から、7月1日に日付が替わって、雷鳴が響き始めた。
深夜2時30分・・・或いは、3時になっていたかもしれない。
物凄い雷鳴は、うとうと・・・と、珍しく深夜の眠りを掴まえた私を揺さぶり起こした。
豪雨・・・。
・・・ああ、雨なのだな・・・と思いながら、LEDスタンドのスイッチを入れる。
今日から7月か・・・。
毎月、月初めに思うことは、失業してから・・・もう・・・こんなに時間が経ってしまったのか・・・ということだ。
先の見通しは、全く立たず、この先一体どうなるのだろうか・・・と、焦燥感を募らせる。
・・・そう言えば、先週、隣々市のシネ・コンで映画を見た帰り道、国道へ合流する少し先の交差点の高架線の下に、ダンボール・ハウスとおぼしき物体があって、中から、薄明かりが、零れていた。たぶん、人が寝起きしているのであろう。
雨を凌げて、街灯もあり・・・。
排気ガスさえ我慢すれば、住めるのだろうか・・・?
そんなことを思った。
雷雨は、ますます強くなって、一度、目が覚めてしまったから、なかなか寝付けないでいた。
明け方に・・・雨脚が弱まって、あたりが明るくなってきた頃、起き出して、水筆習字をする。
墨を使わないから、汚さずに済むし、練習用の特殊な用紙は、水筆で、練習をしても、すぐ乾いて、何度も何度も繰り返し書けるので便利な世の中になったものだと思う。
小学生の頃、こういうお習字道具があれば、もっと上手くなっていたかもしれないが、もともと筆字は、ダメだから、せめて香典袋の上書きが出来ればと思い、自己流で、練習を始めたのだが、葬儀の多かった部署で、役に立たないまま、会社を追い出されるはめになった。
皮肉なものだ。
辞めてから、また練習を始めるなんて・・・。
終日・・・雨なのかと思ったけれど、朝には雨が、上がり、極上の夏空が広がった。
夏は、まだ生まれたばかりで、湿度が、ぐんぐん下がって、午後から風が立ち始めた。
爽やかな美しい風だ・・・。
こんな風に吹かれていると、このまま、ここに居るだけでもいいような気がしてきて、一時、夏の風を楽しんだ。
風立ちぬ。いざ生きめやも・・・。
ポール・ヴァレリーの詩が、口をついて出るのも、こんな風の日なのかと思うけれど、堀辰雄の小説は、たぶん、季節が違っていたかもしれない。
光あふれる7月最初の日。
美しい7月・・・今日始まる・・・。